block.fmライターが選ぶ、2021年アップカミングなソロアーティストを紹介

須田修矢、Lil' Leise But Gold、TSHA、July 7。2021年、さらなる活躍が期待される注目のソロアーティスト4組を紹介。
SHARE
2021.01.12 05:00

Written by Tomohisa Mochizuki


自宅のベッドルームから世界的なミュージシャンになる、それがSNSの普及によって夢物語でなくなった昨今。日々、新しいアーティストが現れ、音源はネット上の広大な海を漂っている。そんな中で偶然出会った音楽が気分を変えてくれたり、今後の人生を支えるようなテーマのひとつとなるかもしれない。2020年は自粛によってそういった楽曲・アーティストとの出会いが多かった1年のように思う。



須田修矢、Lil' Leise But Gold、TSHA、July 7。2021年に注目したい気鋭のソロアーティスト4組を紹介。


2021年、再びの緊急事態宣言の発令。音楽とともに過ごす時間はまだまだ多くなりそうだ。生活を彩り不安な日々に希望を灯してくれる音楽をクリエイトし続けるアーティスト、プロデューサー、チームに感謝しつつ、2021年注目のソロアーティストを紹介する。




1年の沈黙を破りカムバックしたミステリアスSSW:須田修矢



実は1年前にも紹介していて、そのときは一切情報が出ていなかった。ノンプロモーションの EP『YOU』から1年。2020年末にアルバム『ME:』がリリースされた。昨年の1st EPから「クイズ☆正解は一年後」のような連続性のあるタイトルが洒落ていて粋だ。もっと楽曲が聴きたかったので素直に嬉しい。


東京のヒップホップクルーBSTA所属のアーティストで、今作ではkiLLaとしても知られるBSTAのレーベルメイトBlaiseが「don’t know none」で参加している。ポエトリーリーディングとラップとボーカルを満遍なくミックスした独自の歌い回しがどこか懐かしくもあり斬新である。アンビエントやインダストリアルなサウンドを彷彿とさせるトラップや、オフィシャルのビジュアライザーが公開された今作のリード曲的な「Light house」ではアップテンポな四つ打ちのトラックも取り入れている。独特の歌唱と野太い声。退廃的な雰囲気はそのままに、『ME:』ではより歌唱表現と音楽性の幅が広がった印象だ。スタンドアローンなその孤高の存在感が魅力なのだけれど、さまざまなプロデューサーとの絡みも見てみたい。




深淵でただ静かに、しかし確かに輝く無二のボーカル:Lil' Leise But Gold



須田修矢もそうなんだけれど今、SNSやインターネットである程度のことは分かってしまう中で、謎に包まれたアーティストに魅力を感じてしまう。2019年よりその頭角を顕したLil' Leise But Goldは東京出身のSSW。田我流や(sic)boyを始めとしたヒップホップアーティストとのコラボレーションから企業タイアップまで、2020年幅広い活躍を見せたプロデューサー、KMとのコラボ・シングル「(no) Reason」「24 rules」で注目を集め、2020年にはKMと再びタッグを組み「Aenaiya」、年の瀬の12月「Sleepless (Pt.1 & Pt.2)」をリリースした。現在、KM・(sic)boy擁する「add.some labels」に所属し活動をしている。


Kehlani、AMA、H.E.R.、Summer Walker、Kali Uchis、Doja Cat、Teyana Taylor、と若手ベテラン入り混じって海外のR&Bシンガーがパワフルな活躍を見せた2020年だったが、歌モノで個人的にいちばんぶっ刺さってしまったのが日本のLil' Leise But Goldだった。「Aenaiya」、「Sleepless (Pt.1 & Pt.2)」で歌われた“会うことができない”という根源的な不安に思いを馳せたリリックはさることながら、水の中で反響しているような声がその深淵の世界へと誘い、どっぷりと浸からせてくれる。特に「Sleepless (Pt.1 & Pt.2)」では前半と後半で展開が変わるKMのトラックメイキング、サウンドプロダクションの妙技が光り、抜群の相性の良さを感じる。優しく愛おしい孤独な歌声はコロナ禍の不安に覆われる2021年の世界でどのように響くだろうか。






UK気鋭のプロデューサーが描く異国のランドスケープ:TSHA



シティボーイ&ミュージックラバーの通行手形的ラジオ番組、野村訓市氏のJ-WAVE「TRAVELLING WITHOUT MOVING」。コンセプトである“動かない旅”という概念がコロナ禍の今、図らずも違った意味合いを持ちはじめているなあなんて思いながら聴いていると、今やイビサ島のアイコンのひとつであるDJバーラウンジ「Cafe Del Mar」について野村氏が語り始めた。クリエイティヴを務めていたDJ、José Padillaの訃報を受けての、追悼の意を込めた野村氏らしいダイナミックな交遊エピソードを披露した。


僕は数年前に行ったイビサを思い返していた。「Cafe Del Mar」で音楽を聴きながら観た地中海に沈む夕陽の光景は忘れられない。お土産に買ったオリジナルミックスはどこにしまったっけ? と考えながら、バレアリックサウンドを求めてサブスクをシャッフルしていた際、偶然流れてきたのがTSHA(ティーシャ)だ。以来、僕の中でいちばんホットなダンスミュージックプロデューサーのひとりとしてプレイリストに君臨している。Lianne La Havasの「Can’t Fight」のTSHA RemixはR&Bファンにもおすすめ。


NME、Mixmag、Billboard、DJ Mag、BBC といったメディアからの脚光を浴び、2019年『Moonlight』でBONOBOから支持を受ける彼女は今年、待望の新作EP『Flowers』をリリース。収録の「Sister」は別居中の父に異母妹がいることを知りロックダウン中に作った曲で、連絡を取り合い、最近になって初めて会うことができたこと、新しい家族ができた喜びを表現した曲。


UK出身でありながらそのサウンドはバレアリックな雰囲気も携えつつ、アフロ、アジアンな要素も感じさせるなど異国情緒漂う音楽性がビートの狭間で神秘的に美しく入り混じる。彼女の音楽を聴いているとまさに“動かない旅”と形容するにふさわしく、海外諸国を旅している気分にさせてくれる。




ベッドルーム発、世界で羽ばたくUKの麒麟児:July 7



7月生まれなので名前に思わず反応してしまったUKのラッパー・シンガー・プロデューサー。名前の由来は主に数字の7は“完成”と“完璧”を表すからだという。2018年の「Sweets」、2019年のEP「Chocolate」でバイラルヒットを飛ばすと、2020年も「Vibe With Me」、「Long Time No See」、「Waistline」、「Bando」などシングルを立て続けにリリース。快進撃を続けている。


ダンスホールの影響を色濃く残したビートに、セクシーでスムースな歌声を持つ彼はまだ22歳。驚くべきはTravis Scott、Young Thug、T.I.といった世界的なアーティストを10代にしてすでにプロデュースしていること。天才か。July 7のサウンドプロダクションの実力はすでに証明済みというわけだ。「部屋の奥でビートを作っていて、抜け道となる機会が必要だった」とキャリア初期をインタビューで振り返る。


幼少期からギターを独学で学び、学校やバンドに参加し作曲のノウハウを修得。プロデュースの道へと進み今に至ったJuly 7の音楽は、深く沈むベースラインが鼓膜に太く鋭く鳴り響き、自らのルーツであるジャマイカのダンスホールを軸に、ヒップホップ、インディーロック、ポップスのエッセンスを感じさせる。バラエティに富んだポップなサウンドとボーカルの両面を耳心地良く楽しむことができるのはさすがという他ない。シングルリリースが続いたので2021年はアルバムリリースをぜひとも期待したい。




Source:https://www.pentagonmagazine.com/we-sat-down-with-july-7-for-a-chat-through-his-music-journey/


photo:

https://youtu.be/RGeA0lhPoV4

https://youtu.be/i843ERvEaIQ

https://youtu.be/WdTy_LkmEwQ

https://youtu.be/hjNjENMUv6E






SHARE