ローカル発信のヒップホップに注目 YUNGYU×PARKGOLF、T-STONE×KOTETSUらの新曲を聴く

ローカルから発信するラッパー、プロデューサーが組んだヒップホップの楽曲をセレクト。
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2019.07.11 11:30

四国の徳島と香川を拠点とするT-STONE(T・ストーン)とKOTETSU(コテツ)、山梨のYUNGYU(ヤンユー)と、札幌出身東京在住のPARKGOLF(パークゴルフ)、同じく山梨のラッパーCHARLY(チャーリー)と沖縄のLeofeel(レオフィール)といったラッパーとトラックメーカーの相性の良さを感じる楽曲をピックアップした。





T-STONE/T-STONE-Let's Get Eat (Prod by KOTETSU):四国の恐るべき才能の共演




徳島生まれ徳島育ちのラッパーT-STONEの新曲。T-STONEは2017年、2018年のUMB(Ultimate Mc Battle)徳島予選を2連覇している。同年にEP『PURPLE GARDEN』をリリース。2019年には「Badass」という曲を発表し、他のラッパーたちによる多数のリミックスも収録。そして今回の「Let’s Get Eat」は当初はYouTubeでしか公開されていなかったが、現在はサブスクサイトでの配信も開始されている。


楽曲プロデュースを務めたのは香川を拠点にトラックメーカー、映像作家、プロデューサー、ファンクバンドピクニック・ディスコでの活動に加え、イベント運営やDJなど多岐にわたる活動を行っているKOTETSU。tofubeatsの配信する動画コンテンツ「HARD-OFF BEATS」 にも出演している。


新宿NEWoManの今夏のイメージ映像に過去楽曲が採用されるなど、かっこいい楽曲を作りまくっているトラックメーカーだ。ライターとしてもさまざまな音楽媒体へ寄稿、block.fmでも記事を執筆していて、in the blue shirts(イン・ザ・ブルー・シャツ)のエクスクルーシヴなインタビューを手がける。



同じ地方に身を置く立場として、アーティスト・KOTETSUの多岐にわたる活躍を僕は率直にすごいと思うのだ。Twitterも面白くて、ボケーッと眺めていたところT-STONEとコラボしたこの楽曲を知った。


まず、T-STONEのラップが際立つスカスカのトラックがめっちゃカッコイイ。そこにT-STONEのブツ切りフロウによるラップが、トラックの隙間にポコポコと放りこまれ聴いていて気持ちがいい。

SFアニメの金字塔「AKIRA」で音楽を担当した芸能山城組が鳴らしていたような鐘の音が特徴的で、不穏な雰囲気を醸し出している。ローカル感溢れるリリック、だけどサウンドはめちゃくちゃアーバンでSFという世界観に軽くパニックに陥る。


楽曲プロデュースだけでなく、MVのアニメーションもKOTETSUが担当。たまごっちオマージュのキャラクターが登場するのだが、僕は未だにデジモン初代とたまごっちホワイトをキーホルダーとしてぶらさげているようなヤツなので刺さった。


今やもうローカルも東京も関係なく、作品さえかっこよければあっという間にブチ上がる。あらためてそう感じさせてくれたラッパー×プロデューサーのコラボレーション。こういった事例が今後もっともっと掘り起こされていったら、日本の音楽がもっと面白くなるし、シーンがフリップするかもしれない。KOTETSUによるインストトラックがT-STONEからアンロックされたのでリミックスチャレンジしてみては。




T-STONE-Let's Get Eat (Prod by KOTETSU):https://linkco.re/MH6tZmvt



PLAY/YUNGYU&PARKGOLF:シンガロンしたくなる、フューチャーポップなヒップホップ




僕の地元山梨在住で、個人的にもイチオシのアーティストYUNGYU(ヤンユー)。都内のイベントにもたびたび登場しているので既知の方は多いかもしれない。山梨に住みながら都内を始め、関東圏や最近では東海エリアへのライブなど活動の幅を広げている。


3月リリースの「you are on my mind」で共演したトラックメーカー/プロデューサーであるPARKGOLFと再びタッグを組んだ。彼もまた、tofubeatsによる動画コンテンツでピックアップされた人物。「HARD-OFF BEATS」、最近ではBUDDHAHOUSE(ブッダハウス)、DJ WILDPARTY(DJ ワイルドパーティ)とともに「THREE THE HARDWARE」に登場している猛者だ(僕の中で、tofubeatsの企画に出たトラックメーカーの人は技術もあって叩き上げのイメージがある)。


PARKGOLFに制作のプロセスをDMで聞いてみると、「PLAY」が先にできていたが、「you are on my mind」のほうがリリースは先だったという。「you are on my mind」の方はより歌物っぽく作られていて、YUNGYUのシンガーとしての一面が際立った楽曲だ。「全部フックなんじゃないかってくらい耳に残るメロディだった」とYUNGYUのメロディとその印象を振り返っている。


「you are on my mind」はPARKGOLFが普段多用するディテールが散りばめられており、「良いバランスで曲が出来たなと思う」とコメントをくれた。


このように「you are on my mind」で抜群のコンビネーションを発揮してくれただけに「PLAY」もかなり良い感じ。フューチャーベースなビートと歌心のあるYUNGYUのスウィートなラップがマッチ。それを引き出すPARKGOLFもさすがだ。ポップミュージックとダンスミュージックをクロスオーバーさせ、独自のセンスで再構築する楽曲を生みだしてきたPARKGOLFと、ポップセンスとラップスキルを兼ね備えたYUNGYU。相性の良さと手応えを本人たちも感じている様子。


PARKGOLFは普段、楽曲のメロディ(本人いわくメロディっぽいフレーズ)を自分で作ってしまい、それを制作の中でハメていき、メロディがある程度できた状態で曲を完成させていくのだそうだ。しかし、YUNGYUの持つメロディセンスへの信頼から2曲ともかなり余地を残して楽曲を渡したと話す。


PARKGOLF:YUNGYUくんはメロディを作るのが上手いので。PLAYは実際聴くとかなりシンプルでクセの少ない曲なのですが、メロをバッチリはめてくれたので嬉しかったです


このようにPARKGOLFから高い評価を受けるYUNGYUにも「PLAY」について聞いてみた。


YUNGYU:歌詞にある通りですが、自分(自分とPAPIYONFRIENDS※YUNGYUのクルーのみんな)の日常をイメージして制作しました。まさにこの通りの生活をずっとしているし自分らしい歌詞になったと思います。これを聴いて何を思うかは自由だと思いますが、自分のポジティブ側のマインドを少しでも分け与えられるように作りました。楽曲を聴いて明るい気持ちになって欲しいです。


そう話すYUNGYUはPARKGOLFのトラックに合わせて、明るいイメージにする事を心がけ、ノリやすさとわかりやすさを重視したという。


YUNGYU:PARKGOLFさんと自分の曲を聴いてくれたみんなありがとう!!!! EP出すから気長に待ってて下さい💙



YUNGYUは7月12日金曜日配信、グライムMCであるONJUICY(オンジューシィ)がパーソナリティを務めるblock.fmプログラム「JuicyLIFE by ONJUICY」に、ビデオグラファーのPlenty Ueno(プレンティウエノ)とともに出演する。エクスクルーシヴなスタジオライヴを予定しており、番組のホストを務めるONJUICYとのコラボトラックについて話も聞けるかもしれない。ONJUICY×YUNGYUのコラボMVはYUNGYUの地元山梨でもロケを敢行したようなので公開が楽しみである。




PLAY/YUNGYU&PARKGOLF:https://linkco.re/zzahMAUQ





CHARLY/雨:雨音を聴きながら。等身大のリリックが染みる


 

もうひとり、地元山梨のラッパーを紹介したい。山梨を拠点に活動するCHARLY(チャーリー)だ。もともと筆者と面識のある人物ではあるが、今回たまたまYouTubeで音楽を聴いていたらこのリリース曲にたどりついた。

田我流「Changes」のMVで、藤江琢磨演じる主人公を送り出す人物の1人として夜の甲府の街の中のワンシーンに登場したのがCHARLYである。彼は富嶽Recordsというインディペンデントレーベルに所属しており、地に足ついた謙虚で叙情的なリリックと世界観が特徴。


今回の楽曲をプロデュースしたのは沖縄のLeofeelというトラックメーカー。ラッパーとしても音源をリリースし、過去にはozworld(オズワルドa.k.a R'kuma)へ楽曲を提供したり、block.fmの唾奇×HANGによるglitsmotelの特番でも語られていた沖縄のフッドスター、CHOUJI(チョウジ)とも共演している。CHARLYと同年代のラッパーに紹介してもらい、沖縄でLIVEしたときにリンクして意気投合。以降、遊びに楽曲制作と行動をともにするに至ったそうだ。


Leofeelは2018年にCHARLYがリリースしたシングル「歩」でもトラックを担当している。「雨」ではギターの音色に、雨の音が取り入れられ、今の時期にピッタリな哀愁漂う楽曲となっている。本人にコンセプトなど聞いてみたところ、自分の人生を天気に例えた楽曲とCHARLYは言う。等身大の自分を楽曲に投影するCHARLYの音楽には、派手さはなくても言葉ひとつひとつを大切にしたあたたかみを感じることができる。


こんな曲を部屋でゆったりと聴く雨の日もいいな。そう思える1曲だ。「雨」や「歩」の映像を担当しているコイケユウキもCHARLYと同じく山梨を拠点にしているビデオグラファーである。


CHARLY/雨:https://linkco.re/13dzUsg8


今回の記事では自分の住んでいる山梨を含むローカルで活動するアーティストにスポットを当てセレクトしてみた。今、なんとなくの肌感ではあるが、日本、ひいてはアジアから生まれるヒップホップ、ベースミュージックが特に面白いと個人的には思っている。リリース量然り、ジャンル、世代や国を飛び越えたコラボなどトピックが満載だ。


『AKIRA』で描かれた2020年を目前に、ドメスティックな土壌で育まれた独自のヒップホップカルチャーがネットを経由して世界へと飛び出していっている。


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written by Tomohisa“Tomy”Mochizuki


photo:YUNGYU Link co.re




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