Pitchforkが高評価、The Libertines以来の音楽性を放つ新人black midiを知るべき理由

デビューアルバム『Schlagenheim』をリリースしたUK最注目の新人バンドはなぜ今、シーン注目の存在なのか?
SHARE
2019.06.28 11:30

近年のEDM、ヒップホップ人気により、ポップ・ミュージックの最前線からいつのまにかロックは後退してしまったかのような印象を少なからず受ける今日この頃。去年のコーチェラではBeyonce、今年はChildish Gambinoといったように今では音楽フェスでも大きな注目を集めるのは非ロック系のアーティストであり、あながちその見方も間違いではないのかな? と思ってしまう。しかし、実は今、その裏でロックの復権は進んでいるのだ。



メンバー全員が19歳か20歳、結成1年足らずでシーン注目の存在になったblack midi  


近年、ロックの復権が語られる際に名前がよくあがるのが、Led Zeppelinの再来と称されるGreta Van Fleet(グレタ・ヴァン・フリート)。または昨年のフジロックでも圧倒的に個性的なパフォーマンスを見せたStarcrawler (スタークローラー)といった若手バンドなのだが、彼らの共通項はバンドの平均年齢が10代、20代歳だったりと圧倒的に若いこと。 


ミュージシャンの低年齢化はEDMでもヒップホップシーンでもポップスシーンでも起きている。少し前のEDMならMartin Garrixがそれに当てはまり、10代で大ブレイク後、今や3年連続で「DJ MAG TOP 100 DJs」1位に輝くほどの大物アーティストになっていることが証明している。 一方、今年に目を向けると「Old Town Road」の大ヒットで目下、大躍進を続けるLil Nas X、ポップスシーンではデビューアルバム『When We All Fall Asleep, Where Do We Go?』が欧米諸国のチャート1位を獲得したBillie Eilishなど、Z世代と呼ばれる2000年前後に生まれた新人アーティストたちが連日のように世界中のメディアに取り上げられるほど活躍している。 


このように若手ミュージシャンの世界的なブレイクは今や日常茶飯事といった感じすらあるのだが、現在、イギリスのロックシーンでもその傾向は見られ、まだメンバー全員が19歳か20歳で、結成から1年足らずでUKロックの未来を担う存在として注目されているのが、今月デビューアルバム『Schlagenheim』をリリースした新人バンドのblack midiだ。





Adeleらを輩出したブリット・スクール出身、Boredomsにも通じる音楽性 


バンド名にある”black midi”というとエレクトリックミュージック好きならネット音楽の”Black MIDI”が頭に浮かぶと思うが、彼らはシンセやドラムマシーンを使用することはあっても、れっきとした4人組のロックバンドだ。しかも、メンバー全員が、Adele、Amy Winehouse、King Kruleら有名ミュージシャンを多数輩出している名門音楽学校ブリット・スクール出身で、アカデミックな音楽教育を受けていることがバックグラウンドにある(バンド名の由来は先述の”Black MIDI”らしい)。 


音楽性の面では、80年代に活躍したポストパンク・バンドのSwansや、日本のアヴァンギャルドバンドのBoredomsとの類似性が指摘されるなど、先述のGreta Van FleetがLed Zeppelin、StarcrawlerがBlack Sabbathと比較されていることと比べるとかなりアンダーグラウンドな音楽性だという印象を受ける。しかし、アカデミックな音楽教育を受けた経歴の持ち主だけあって、若手ながらすでにその演奏力はすでに高く評価されており、それが彼らのマスロック的な音楽性を支えている。



UKロックファンがバンドに寄せる期待とノスタルジー  


興味深いのはそのようにどちらかといえばアンダーグラウンドよりの音楽性を持つ彼らが今、本国イギリスでは彼らの登場が熱狂的に迎えられている点だ。UKのメインストリームの音楽はこれまでもダンスミュージック、バンド、ダンスミュージックのようにトレンドが循環してきた。そして、今、現在は数年前から続くグライムリヴァイバルの真っ只中で、かの有名ロックスターのLiam Gallagherでさえ、同シーンの有名グライムMCを認める発言を行なっており、最近も若手UKラッパーのSlowthaiの「Doorman」を絶賛するなどロックはシーンのトレンドの中心とは少し離れたところにあるように感じる。(とはいえ、The 1975は今年ブリットアワードを2部門受賞しているが…) 

関連記事:サマソニ2019出演The 1975と世界一稼ぐDJのカルヴィン・ハリスがブリット・アワードで2冠達成!


さらにPitchforkは、black midiについて、音楽性の面でKing Crimson、Emerson, Lake & Palmerのようなイギリスのプログレッシヴロックバンドを引き合いにだしつつ、バンド像的には長年イギリスのロックシーンが待ち望んでいたThe Libertines以来の”ギターを持った少年”バンドとして評価。UKロックのノスタルジーを想起せる存在として『Schlagenheim』のレビューに「8.2」と高得点を付けている。black midiとThe Libertinesのメンバー構成によるところもあるだろう。





そういう意味で、プログレッシヴロック要素はKing Crimson、ポストパンク要素はPiL、ノイジー要素はシューゲーザー勢、”ギターを持った少年”像はThe Libertinesとやや強引ながらこじつけてみると、60年代後半から現在までに起こったUKロックのトレンド要素を多数見出すことができる。そのためUKロックファンがblack midiにノスタルジックさを感じたり、シーンの未来への期待を寄せるのは必然だといえる。 


それだけにUKロックIQが高いファンにとって、black midiは、まさに”待っていた感”のあるバンドであり、そこに先述のアカデミックな音楽教育による技術の高さが加わることで、The Libertinesをアップデートしたかのような”ポストThe Libertines”的なバンド像が生まれるのではないだろうか? 


『Schlagenheim』は、マスロック、ポストパンク、ノイズの要素が強いため、厳密にいえば、The Libertinesの”ファジーな質感ながらもメロディックなロックンロール”とは少し違う。ただ、その見方からはいかに長い間UKロックシーンにおける新たな時代の寵児となり得る存在が不在だったかを感じ取ることができるはずだ。 


日本のロックバンドでいえば、Zazen Boysであったり、toeであったりとマスロック/ポストロック系の音楽が好きならきっとblack midiの音楽が心に刺さるはず。気になった人は『Schlagenheim』を是非チェックしてほしい。 



なお、black midiは9月に東京、大阪、京都をめぐる初来日ツアーを行うことが発表されている。

▶︎イベント情報
black midi Japan Tour 


9/5 (THU) 東京:UNIT

OPEN 18:00 START 19:00 前売¥5,500(税込)

※別途1ドリンク代 / オールスタンディング ※未就学児童入場不可

INFO: BEATINK 03 5768 1277 [www.beatink.com]


9/6 (FRI) 大阪:CONPASS

OPEN 19:00 START 19:30 前売¥5,500(税込)

※別途1ドリンク代 / オールスタンディング ※未就学児童入場不可

INFO: CONPASS 06 6243 1666 [http://www.conpass.jp]


9/7 (SAT) 京都:METRO

OPEN 17:30 START 18:00 前売¥5,500(税込)

※別途1ドリンク代 / オールスタンディング ※未就学児童入場不可

INFO: METRO 075-752-2787 [info@metro.ne.jp]


written by Jun Fukunga


source:

https://pitchfork.com/reviews/albums/black-midi-schlagenheim/

https://pitchfork.com/features/rising/get-to-know-black-midi-a-new-type-of-british-guitar-band/

https://pitchperfectpr.com/black-midi/




SHARE