VSTシンセのハードウェア化で注目のデベロッパー・Elkの新リリース「Blackboard」とは?

Raspbery Piを使用した新しいシンセサイザーのあり方。
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2020.05.12 09:00

昨今のパソコンをベースとした作曲環境では必ず使用されているであろうVSTソフトウェアシンセサイザー。すでに膨大な数のVSTシンセがリリースされているのはご存知の通りだが、それらをハードウェア化できるということで話題のElk Audio OS(エルクオーディオオーエス)をご存知だろうか。


今回、そのElk Audio OSに拡張ボードBlackboard(ブラックボード)がリリースされ、より本格的にVSTがハードウェア化できるようになった。


ハードウェア化って具体的にどうやるの?新しいボードでは何ができるの?などなど気になる詳細に迫っていこう。



 

VSTを持ち歩ける!Elk Audio OSとは?


過去にもVSTのハード化をコンセプトに開発された機材は存在するが、Elkの実力は2019年のSUPERBOOTH19で展示されたハードウェア版Retrologue2(レトローグ2)で衝撃を与えた。これはSteinberg(スタインバーグ)社のソフトシンセをハードウェア化したもので、独自のOSであるElk Audio OS(Elk Music OS)で開発されている。

 

 


このハードウェアはDAWユーザーにはおなじみVST規格のソフトウェアシンセサイザーでありながら、PCから完全に独立した音源モジュールになっている。Elkのボードには基本的にオーディオインターフェースが実装されているので、ざっくりいうと部品を組んでコントローラーをマッピングしてしまえば画像のようなハードウェアが簡単に自作できてしまうという製品だ。





遊び感覚のハードウェア化できるデバイス


Raspbery Pi(ラズベリーパイ)ベースの自作系環境なので「面白そうだけど絶対ハードル高そう・・」が正直なところだろう。


このシステムの構築に必要な基本セットはElk Pi Hat(エルクパイハット)と言うボードとRaspberry Piの2つなのだが、組み立ては30秒ほどで終わる。以下の動画を参考にしてみてほしい。



この通り、組み立ては非常に簡単だがVSTの実装についてはどうだろう?


どこまでの機能を組み込むかにもよるが、例として「ひとつのVSTをスタンドアローンで鳴らす」だけであれば上の動画で組んだ2枚の基板に、無料配布のOSとVSTホスト、そして使いたいVSTをインストールしRaspberry Pi用のキットで電源を独立させれば準備完了。あとはMIDI端子もUSBも基盤に実装されているので使いたいコントローラーをつなげるだけ。VSTやMIDIを普段から利用しているなら難しく考える必要はなく、プラモデル感覚で導入できるデバイスになっている。 


Elk Pi Hatをよりハードウェア的に拡張


さて、VSTのハードウェア化だけであれば2枚のボードで事足りると説明したが今回リリースされた3枚目の基盤であるBlackboardは一体どういうコンセプトなのか?


まず4基の縦フェーダーとモノクロディスプレー、そしてつ9つのプッシュボタンが追加され、外部のモニターやコントローラーをつなげない状態でも必要十分な機能が実現できそうだ。既にElk Audio OSのコミュニティでは500を超えるプログラムが共有されている。今後Blackboard向けの開発も活発化していくと思われるので、自分ではプログラミングができなくても、既存のプログラムを活用する形でさらに拡張性が広がりそうだ。


オーディオやCV、ゲートも拡張され、より本来の意味でVSTをハードウェアに近づける存在となるだろう。


さて、気になる価格だが基本の基盤であるElk Pi HatとBlackboardのバンドル価格は328.9ドル(35000円ほど)で、Raspberry Pi(4 Model B)は最小1GBモデルが35ドル(3800円ほど)、最新上位モデルでも55ドル(6000円ほど)だ。40000円少々から50000円以下で、VSTをハードウェア化できるという圧倒的な拡張性と、今後もコミュニティ内で拡張され続ける豊富な機能を持ったプログラムを使えるようになると考えれば、コスパの良い投資になるだろう。


コミュニティの活性化とともにElk Audio OSはどのように進化していくだろうか?今後も注目のデベロッパーElkの活動をチェックしておこう。


Elk 公式サイト

https://elk.audio/


Elk Twitter

https://twitter.com/elkpowered


Elk Audio Facebookページ

https://www.facebook.com/elkpowered/

 

written by Yui Tamura


source:

https://elk.audio/blackboard/

photo:

https://elk.audio/blackboard/





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