ゲームオブスローンズ最終章第4話 デナーリスを英雄から狂女王へと導くファクターを分析【ネタバレあり】

【bfm海外ドラマ部】これぞ『ゲームオブスローンズ』、人間の複雑な感情をドロドロと描いた第4話。デナーリスの変化を☆Takuが細かく分析。
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2019.05.08 03:00

Written by ☆Taku Takahashi(Twitter:@takudj


※ネタバレあり。シーズン8 第4話を視聴した上で読んでください。


モヤモヤしてる人がいっぱい、いるかもしれない。スタバのコーヒーカップがテーブルの上にあろうが、宇宙空間にジャガイモがあろうが、いつも通りに連載を書きます。ヘイターズの声聞こえません(笑)。



(ウィンターフェルより エピソードに登場したあのラテはミスでした。デナーリスが頼んだのはハーブティーです。)


デナーリス・ターガリエンは僕らにとってサクセスストーリーのカリスマだった。最初は何もわかっていない、か弱い女の子だったんけど、そこからどんどん力をつけていって成長を遂げていく。僕も毎シーズン終わりの方で毎回、ワクワクしていた。時には見てる僕らの納得がいかなくても、それをねじ伏せられるような力強い意思や台詞があった。「ヤバイ、このねーちゃんかっこいいじゃん!」って熱くさせられるシーンが僕らを虜にした。それが見事に崩されたのが今回のエピソード。彼女がどんどん弱くなっていくキッカケが各シーンに散りばめられている。


物語は「長い夜」のあとの葬式から始まる。最初から彼女を支えていたジョラー・モーモントの死がここまで彼女の精神状態を不安定にさせるとは考えもしなかった。実際、裏切りを知り彼を一度追放したあとは、今回ほど不安定にはなっていなかったと記憶している。いや、むしろ許したあと、彼の大切さを再認識したのかもしれない。彼の存在が大きかったことを、今回の死で大きく痛感しているような台詞が見られた。


デナーリスは公平さを大切にするリーダーだ。奴隷制度を廃止させたり、民の幸せを考える。戦闘であっても慈悲深ささえ兼ね備えている。確かにターリー家を火あぶりにしたが、ひざまずく機会をちゃんと与えている。政治は大事なことと理解しつつも細かい根回しなどは嫌うタイプ。『ゲーム・オブ・スローンズ』の中でも、ジョンと同等にヒーロー気質の塊のような存在だった。そんな彼女がこのエピソードでは小さく見えるように描かれていた。


まずはジェンドリー(英語発音:ゲンドリー)のシーン。自分のポジションをアピールするため、ジェンドリーに「ストームズエンド」の領主にすると約束する。普通だったら感動的な音楽がBGMで流れてもおかしくないシーン。でも無音。フォローするかのようにサー・ダヴォスが乾杯の音頭をとる。しかもわざわざジェンドリーの父、ロバートがデナーリスの父親を殺したことを持ち出して、それでも褒美をやるんだってアピール。「権力者は私で、さらに私はとても寛大なんだよ」って皆にアピールしている感じ。ティリオンに「あなただけが頭がキレるわけじゃないのよ」って言い方がまるでサーセイを彷彿させるようだった。会場は祝盃で盛り上がるが、彼女だけ取り残されてる感じがした。


祝勝会でサンサに笑顔を見せても、警戒された顔をされ立ち去られたり、ジェイミーやティリオンが家族で楽しそうに飲んでいたり、トアマンドがジョンばかりを褒めていたり、挙句の果てに気を使ってアリアを讃えての祝杯。この時のデナーリスは凄く孤独だったと思う。せめて隣にジョラーがいたら。ヴァリスはその状況に気づきつつも、彼女の気持ちに立って何か気を使った言葉をかけることはできない。





そしてその後、デナーリスファンにとって、いちばん見たくない行動を彼女はしてしまう。ジョンとの愛、そして忠誠を確認する瞬間の話。ジョンの出生の話を誰にも言わないでと彼にお願いをする。今まで人々のために必死になってるデナーリスを見たことはあったけど、自分の地位のために必死にお願いするのは見たことが無いし、誰もそんなカリーシを見たくないよね。


観てる方の感情として納得いかないかもしれないが、僕らがそういう気持ちになってるのは製作者のベニオフとワイスにとってはシメシメって感じだと思う。いやね、ぶっちゃけ、ここんところ物語のツメの甘さがポツリポツリと見えることもあったし、逆を言えば『ゲーム・オブ・スローンズ』を観てる人たちのリテラシーも高くなりすぎちゃってると思っている。僕もそうなのかもしれない。ただ今回は、わかりやすい見せ方だったかもしれないけど、デナーリスが暗黒サイドへ引っ張られるのを78分で見事に持ってったんじゃないかな、とも思う。僕的にはアニメ『クローン・ウォーズ』と『スターウォーズ/シスの復讐』でのアナキンの孤立を1話で感じさせてくれた感じ。


考えてみてほしいのは、彼女がずっと頑張ってこられた理由。散々な目に遭いつつも、大きなモチベーションファクターになってたのは間違いなく鉄の玉座を取り戻すこと。勿論、人々の幸せを願うという気持ちは心の中にありつつも、なんだかんだ自分の中の大義名分でもあったと感じさせられる。そして、自分が惚れた彼氏を助けにいって、自分の部下たちもいっぱい犠牲になって、信頼できる家臣も無くした後に余裕なんかぶっこめるわけないはず。


さらに追い討ちをかけたのがミッサンデイの死。暫定狂女王 サーセイの行動は無茶苦茶のように見えて、実は今のところ彼女の采配は当たりまくっている。最後のミッサンデイの「ドラカリス」という言葉。これを戦う意思として捉えるか、それとも文字通り「燃やせ」と捉えるか。まるで父の狂王のように。デナーリスの決断は次回のエピソードで見えてくるはず。



デナーリスの話を中心に話したが、周りのキャラクターたちの政治劇や個々のアジェンダの食い違いを見られた。僕にとってはこれこそが『ゲーム・オブ・スローンズ』という感じ。ティリオンとヴァリスのデナーリスへの信頼がそれぞれズレてきている。あと、ドラゴンのレイガルがいなくなったのは残念だけど、間違った選択をすると大きな痛手や死が待ってるんだよという、この物語の醍醐味が戻ってきた感じもした。そう。ある意味僕らの好きな『ゲーム・オブ・スローンズ』が戻ってきたということなのかもしれない。ハッシュタグキャンペーンも#ForTheThrone (玉座のために)だし。


あと、ブロン。僕な大好きなキャラクターなんだけど、メチャクチャ感じの悪い方法で登場してきた(笑)。ただ、サーセイの言うがまますぐ暗殺をせずにハイガーデンの交渉をしたのは、彼なりの友情の見せ方だったと信じたい。と、同時に期待しているのは戦闘に参加しないと言いつつも、いつのまにか巻き込まれていくこと。


最後に述べておきたいのが、登場人物たちがどこにいるか。トアマンドとは北に戻り、サンサ、ポドリック、ブライエニー(ブリエンヌ)はウィンターフェルに残る。アリアとハウンドの旅の復活に、ジェイミーの行方も気になる。そしてジョンのダイアウルフのゴーストが北に残る意味はなんなのか?


だいぶ前にも述べたけど、物語の結末で、ジェイミーがサーセイを「全ては愛のため」と言いながら殺す、アリアがハウンドとウェスタロスの西へ向かって旅にいく。3シーズン前から僕が予測してることが実現しそうな展開になってきている。泣いても笑っても、あと残り2話。あなたは今の展開に満足していますか?それとも不満がありますか?よかったら僕のツイッターに声をかけてください。


なお、そんなGoTを丸屋九兵衛氏と語るイベントが2019年05月12日(日)に開催される。


【最終シーズン真っ盛り! 『ゲーム・オブ・スローンズ』アカデミー feat. ☆Taku Takahashi(m-flo) 】



詳細▶https://www.funity.jp/tickets/maruya/show/qb190512/1/1/



「鉄の玉座」の行く末に気を揉みながら、二人の物好きによる日本最高峰のGoTトークをぜひ聞いて欲しい。



☆Taku Takahashi (Twitter:@takudj





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▷丸屋九兵衛による連載「ゲーム・オブ・スローンズの歴史学」バックナンバーはこちら

第1回:七王国まで何マイル? 〜ゲーム・オブ・スローンズの歴史学 chapter-1

第2回:七王国まで何マイル? 〜ゲーム・オブ・スローンズの歴史学 chapter-2

第3回:七王国まで何マイル? 〜ゲーム・オブ・スローンズの歴史学 chapter-3

第4回:七王国まで何マイル? 〜ゲーム・オブ・スローンズの歴史学 chapter-4

第5回:ホワイトウォーカーとワイトの違いって何? GoTビーストを一挙総括

第6回:ジョフリーの剣に込められたGoTファンタジーの意外な流儀とは?

第7回:衝撃の「別惑星」説! なぜGoTはファン心理をくすぐるのか

第8回:コスプレイヤー視点でGoTの服を考える

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photo by farfarawaysite.com


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