特に今年はBlack Lives Matterの盛り上がりもあり、注目を集めたブラックミュージックの祭典「BET Awards 2020」。コロナ感染症の影響もありバーチャルでの開催となったが、今年で20周年を記念する祭典とあって豪華な内容となった。
中でも目立ったのが新世代アーティストたちの活躍だ。年々、アーティストのデビューは若くなっているものの、世代交代感を強く感じた一夜となった。
主要部門を受賞したアーティスト
まずは主要部門の受賞アーティストをおさらいしていこう。最優秀アルバム賞を受賞したのは昨年リリースしたアルバム『Please Excuse Me for Being Antisocial』が全米1位にもなったRoddy Ricch（ロディ・リッチ）。去年のBET Awardsでは新人賞にもノミネートされていた彼がリリースしたこのアルバムは”デビュー・アルバム”なのだから驚きだ。さらに最優秀新人賞も獲得しており、今後ますます活躍してくだろう。
最優秀R&B・ポップアーティストに選ばれたのは女性ではLizzo（リゾ）、男性ではChris Brown（クリス・ブラウン）と安定した人気を誇った。特に男性部門では各アワードでChris Brownの名前が挙がることが多いため、次なる男性R&Bアーティストスターの登場が待ち遠しい気も...。
最優秀ヒップホップアーティストでは女性部門でMegan Thee Stallion（ミーガン・ジー・スタリオン）、男性部門ではDaBaby（ダビイビー）がそれぞれ受賞。Megan Thee Stallionは去年のノミネートから受賞と、右肩上がりの人気を獲得しているのがわかる。そしてDaBabyは昨年代表曲「Suge」をパフォーマンスしたものの、ノミネートはされておらず一気に受賞アーティストにまで成り上がった。ヒップホップアーティストでは世代交代が行われたのが見て取れる結果と言える。
Black Lives Matterをテーマにしたパフォーマンスにも注目
Black Lives Matterが色濃く反映された今年のパフォーマンスでは、抗議デモの影響もあり再び注目を集めている1989年にリリースされたPublic Enemy（パブリック・エネミー）による「Fight The Power」がベテランラッパーのNas（ナズ）、自らも反警察権力をテーマにした曲をリリースしているYG、ヒップホップバンドthe Roots（ザ・ルーツ）のラッパーであるBlack Thought（ブラック・ソート）、次世代のリリシストとして期待されているフィメール・ラッパーのRapsody（ラプソディー）が参加したスペシャルバージョンでパフォーマンスされた。
バーチャルということでそれぞれが新たに撮影された映像によるパフォーマンスとなったが、1989年の曲が今再びパフォーマンスされることで黒人への人種差別問題が長く存在することを象徴する瞬間となったのではないだろうか。
最優秀ヒップホップアーティストを受賞したDaBabyは全米1位を獲得したシングル「Rockstar」のBlack Lives Matterバージョンをパフォーム。このバージョンは事前に公開されていたが、その演出は5月にミネアポリスで起こった白人警察に道路で首を膝で押し付けられて殺害されたジョージ・フロイド事件を再現したもので、心に突き刺さる内容に。忘れてはならない事件だということをアワードという大舞台で強調する、とても意味のあるパフォーマンスとなった。
他にも自身のチャリティー団体『BeyGOOD』を通じての活動が評価されたBeyoncé（ビヨンセ）がミシェル・オバマから人道主義者賞を送られるなど、心に残る場面の多かった今年のBET Awards 2020。例年よりもさらに開催する意義が高かったのではないだろうか。
written by BsideNews
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