block.fmライターが選ぶ「ベストトラック 2020 海外編」

Caribou、OPNや話題になったMura Masaとslowthai、Lady GagaとAriana Grandeのコラボ曲などをピックアップ。
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2020.12.29 12:00

Written by Jun Fukunaga



今年は日本以上にコロナ禍の影響を受けた海外音楽シーン。名だたる有名フェスの中止やロックダウンによって、活動の場を奪われることになってしまったアーティストたちだが、それでも数々の名曲が生み出され、音楽の話題は人々の中から消えることがなかった。今回はそんな海外アーティストの今年のリリース作品の中からblock.fmライターが特に印象的だったトラックを選出。「ベストトラック 2020 海外編」としてご紹介。





Caribou「Never Come Back」  


カナダ出身でロンドンを拠点に活動するCaribouが約5年ぶりにリリースしたアルバム『Suddenly』に収録された本曲は、哀愁漂うメロディックなピアノフレーズが印象的なレイヴチューン。コロナ禍さえなければ、おそらく今年のフェスアンセムのひとつになっていただろう。ある意味、“失われた1年”を象徴する曲ともいえる。


なお、本曲にはCaribouの盟友であるFour tetやFloating Pointsによるリミックスも制作されているので、オリジナルとともにチェックされたし。




Mura Masa「Deal Wiv It ft. slowthai」  


ドリーミーかつヒップホップを取り入れたベットルーム・ポップなサウンドで注目を集めていたMura Masaによる2ndアルバム『R.Y.C』では、以前のサウンドとは異なるパンクやインディーロックを彷彿とさせるトラックが目立つ内容になっていたが、その中でも特に印象的だったのは、UKラッパーのSlowthaiを迎えたオールドスクールなパンキッシュナンバーの「Deal Wiv It」。


Slowthaiとは彼のパンクなラップチューン「Doorman」でコラボしているMura Masaだが、本曲はその意味では「Doorman」の兄弟曲といえるような曲だ。


また、本曲はアメリカの人気トークショー「The Tonight Show Starring Jimmy Fallon」でも披露しており、その際のSlowthaiのはっちゃけぶりも含めて、新たな“ブリティッシュ・インヴェイジョン”的な評価を獲得したことも記憶に新しいが、コロナ禍の影響でその流れもうやむやになってしまったことは今年音楽ファン、とりわけUK音楽好きにとっては悔やまれる出来事だった。






Lady Gaga, Ariana Grande「Rain On Me」 


今年はメインストリームのダンスポップシーンでは、Dua Lipa、Jessie Ware、Kylie Minogueらによる00年代の初頭に見られたようなディスコ回帰的な動きが目立った一年だった。


その中でもLady GagaとAriana Grandeという現行ポップスシーンの2大巨頭によるコラボ曲「Rain On Me」は特に00年代の80s風ディスコサウンド、平たくいえば、フレンチハウスのようなフィルターハウスの影響を受けた当時のメインストリーム・ダンスポップを彷彿させる1曲だ。


フィルター使いだけでなくほぼDaft Punkなモジュレーションによる捻れた音やディスコライクなファンキーなベースラインが目立つトラックはあの頃感抜群。10数年ぶりに遅れてやってきたKylie Minogue 『Fever』、Madonna『Confessions on a Dance Floor』への回答という感じでリアルタイムで00年代を通過した世代には懐かしく、今の若い世代にとっては目新しいサウンドとして聴こえたことだろう。


個人的にはこの流れが来年も継続するかどうかも気になるところだ。




Oneohtrix Point Never「I Don’t Love Me Anymore」  


現行ポップスシーンにおける最高峰のアーティストの1人であるThe WeekndことAbel Tesfayeを共同プロデューサーに迎え、制作されたOPNの最新アルバム『Magic Oneohtrix Point Never』。OPNの原点の振り返りであり、集大成であり、同時に最新型と称される同アルバムに収録された「I Don’t Love Me Anymore」は、アルバム中、良い意味で最も単純明快でわかりやすいギターロックナンバーとなっている。


Steve Reich、Brian Eno、Aphex Twinの系譜といわれるOPNの音楽は時に難解であり、その気になればいくらでも小難しく批評できるが、本曲はそういったOPNの楽しみ方の作法から外れても、感覚的にシンプルに「かっけーな」という感想を持つ曲なので、ある種、今までOPNアレルギーがあった人にとっては入門に最適かもしれない。


そういう人はポスト・モダンうんぬんはひとまず置いておいて、曲の後半で聴ける轟音ノイズをうつむきながらシューゲイザー的に感じ取って楽しんでみるのもアリかと。




MICHELLE「SUNRISE feat. Arlo Parks」 


NYを拠点とする6人組インディーポップコレクティヴのMICHELLEが自身の楽曲「SUNRISE」に、「BBCが選ぶ期待の新人アーティスト2020」の1人にも選ばれたArlo Parksを迎えた本曲では、ドリームポップな心地よいメロディーのトラックにArlo Parksのポエトリーリーディングなラップが乗る洒落たトラックに。


どこか夏の日の朝焼けをイメージさせるトラックの仕上がりは、聴いているとノスタルジックかつセンチメンタルな気分にさせてくれる。また、MICHELLEによるRoberta Flackがオリジナルの「Killing Me Softly」のFugeesカバーのコーラスワークも必見だ。






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