block.fmライターが選ぶ「ベストトラック 2020 国内編」

Yaffle、MANON、tetsuya tamura、FEMMからKΣITOによるモダンアフリカン曲やCRZKNYによる強烈なリミックスまでを多岐に渡るジャンルからピックアップ。
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2020.12.29 11:00

written by Jun Fukunaga



誰もが予想だにしなかった未曾有のパンデミックに見舞われた2020年。音楽業界でもその煽りを受けて、フェスやクラブイベント、ライブが一時世間から姿を消したため、音楽業界的には“失われた1年”となってしまった印象がある。それでもアーティストたちのクリエイティビティは消えることがなく、今年も様々な音源が国内外問わずリリースされた。その中でも今回は、有名無名問わず、国内アーティストがリリースした作品の中からblock.fmライターが独自に記憶に残ったトラックを選出。「ベストトラック 2020 国内編」としてご紹介。





Yaffle「À l’envers feat. Elia」


小袋成彬、藤井 風、iri、SIRUPらのプロデュースからCM、映画などの音楽制作も手がけてきたYaffleの初のアーティスト・アルバム『Lost, Never Gone』からの1曲。アルバムには日本のフューチャーベースの最高到達点を感じさせるクオリティが高い曲が目白押しだったが、その中でも特に多彩なビートアプローチとどことなく物憂げながらも美しく響くピアノのコントラストが印象的な本曲は特に必聴だ。フランス語で歌われる歌が持つ、言語の響きの艶っぽさにも注目して聴いてほしい。




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Jun Kamoda 「Escape the Night」 


イルリメ、(((さらうんど)))、SPDILLとしての活動でも知られるJun Kamodaによるハウスナンバーでは、KASHIFのアルバム『BlueSongs』に収録された「The Night」がサンプリングネタに。メロディックでハウシーな本曲はフロアキラーな傑作ハウスであるとともに、それ以外のシーンでも聴いても耳に残るキャッチーさも持ち合わせており、クラブシーンにとどまらない2020年のアンセムのひとつとして数えたい名曲だ。




MANON 「WORLD'S END FEAT. DODO (LUV STEP REMIX) - REMIX BY HIROSHI FUJIWARA」  


海外のトレンドと日本のティーンポップカルチャーの要素を掛け合わせた音楽性でデビュー以来、注目を集めてきた次世代ポップアイコン、MANON。客演に人気ラッパーのdodoを迎えた得意の放課後ラップ曲だったオリジナルのリミキサーにストリートのカリスマこと藤原ヒロシを抜擢した本曲では、世代を超えたポップカルチャーのけん引役たちのコラボが実現。往年の小泉今日子での藤原ヒロシ仕事が現代に蘇ったかのような1曲に。今年はその小泉今日子作品も作品もサブスク解禁されたため、そちらと聴き比べてみるのもおもしろいはず。




tetsuya tamura「Confortable Confinement」 


日本のハードダンスシーンのトップランナーとして知られるREMO-CONが、本人名義の「tetsuya tamura」としてリリースした『grokking EP』に収録された本曲では、普段のイメージを覆す超絶IDMを展開。本人もTwitterで「何エアプッシャーだよ」とつぶやいていたことが印象に残っているが、その言葉どおり、Squarepusherの向こうを張るクオリティ激高なドリルンベースぶりは、全WARPヘッズが今年マストでチェックしておくべき1曲だ。



FEMM「Level Up feat. Duke of Harajuku」  


国内のみならず、アメリカのティーン世代を始め、海外からもインフルエンサーからのサポートをきっかけに熱狂的な支持を集めてきたRiRiとLuLaによるラップ・デュオ、FEMMが今年、“FEMM1.0”から“FEMM2.0”へとアップデート。エレクトロニックなスケールの大きいサウンドは鳴りを潜める一方でボトムヘヴィーな重低音とダークなインダストリアルさの強度が増したEP『404 Not Found』に収録されたDuke of Harajukuとの本曲は、チープな音色がセンチメンタルなメロディを際立てる爆エモトラップ曲になっている。また同曲のMVでは、“マネキンデュオ”という機械仕掛けの存在からより人間的な存在へとアップデートされていくEPを巡るストーリーも描かれており、曲とあわせてチェックするとより彼女たちが表現するサイバーパンク的退廃感に没入できること間違いなし。




KΣITO「Toku」  


今年は、今、世界的にも流行しているアフリカ発のモダンエレクトロニックミュージックに対する注目が一段と高まった1年だった。そんな中、現行のアフリカンミュージックをプレイするパーティー・クルーとして注目を集める「TYO GQOM」クルーの一員であるKΣITOは、現在、Gqomとともに人気を博している“Amapiano”を取り入れた「Toku」をビートメイカーに特化したレーベル「XXX//PEKE//XXX」からリリース。ディープハウスにも通じるアトモスフィアリックな浮遊感あるシンセとアフリカンなリズムの融合が心地良い1曲となっている。日本でAmapiano楽曲を制作するプロデューサーはまだまだ少ない。しかし、「TYO GQOM」のレーベル「USI KUVO」からは今年12月にaudiot909によるAmapianoにフォーカスしたEP『This is Japanese Amapiano EP』もリリースされているので、気になった人はこの2つを日本のAmapiano入門編としてチェックしておくといいだろう。





サニーデイ・サービス「センチメンタル -V V V- Remix Remixed by CRZKNY」  


日本のジューク/フットワークシーンの鬼才にして低音地獄大使ことCRZKNYが、これまでにも何度もリミックスを手掛けてきたサニーデイ・サービスを久々リミックス。バンドのリミックスアルバム『もっといいね』に収録された本曲は、疾走感のあるロックナンバーの原曲を4つ打ちにリミックスかと思いきや、トラックの大半を轟音ノイズと超低音にまみれたダークかつカオスな形に調理したものに。そんな本曲の最大の聴きどころは終盤で、原曲のロックなフレーズを狂暴すぎるノイズが飲み込んでいく様はまさにバイオレンスの一言。ベースミュージック、インダストリアルからシューゲーザー好きまでを虜にするCRZKNY流のポストロックにして、「VIOLENCE, VOMIT, VOID!」な1曲になっている。そんなCRZKNYは12月24日に2年振りのフットワークアルバムとなる最新アルバム『夜を / 越えて』をリリースしたばかり。そちらでは極悪ビートと低音を縦横無尽に撒き散らしているので要チェック!




FAKY「little more」


5人組ガールズユニオン・FAKYによる疾走感あふれるダンスナンバーは、プロデュースを手掛けた新進気鋭の音楽プロデューサー maeshima soshiのアイデアが冴える1曲。大枠はEDM以降のメインストリームダンスポップだが、その音色をジャジーなものに置き換えることによって、海外のメインストリームダンスポップにはない独自性が光るといった印象を受ける1曲になっている。特に曲中に差し込めまれているAkufenやmetomeらのカットアップを彷彿とさせるフレーズのファンキーなベースのおかずは技ありの一言で、普段、メインストリームのダンスポップを聴かないクラブヘッズ的にも響くこと間違いなし。またトラックメイカー的にもその手があったかと思わせてくれる学び多き曲ではないだろうか?






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