Armin Van Buuren、音楽クリエイターとAIの関係性を問う最新曲「Computers Take Over The World」を発表

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"トランスの帝王"として知られる、EDMシーンのトッププロデューサー/DJのArmin Van Buurenが、AIを取り入れた最新曲「Computers Take Over The World」をリリースした。
最新曲ではMacbook Proの音声アシスタントが生成したボーカルをフィーチャー
「Computers Take Over The World」のプレスリリースには「最近では、クラブ・バンガーを作るのは簡単であり、必要なのは"ビート、クラップ、ハット、そしてベース!"だけだ」との指摘があり、同曲は「世界がいかにテクノロジーに依存しているかを軽やかに揶揄したもの」とされている。
同曲では、Macbook Proの音声アシスタントが生成したボーカルがフィーチャーされているが、このことについて、Armin Van Buurenは以下のようにコメントしている。
「この曲の歌詞は、実は僕のノートパソコンの音声アシスタントで遊んで作ったんだ。あのロボットの声で読み上げるとどんな風に聞こえるのかが面白くて...。今の時代、コンピューターは、ほとんど何でもできるというバカげた曲を作ったら面白いんじゃないかと思ったんだ」
また今回Armin Van Buurenは、曲のボーカルだけでなく、プロモーションに関わる部分でもAIを活用。曲のアートワークやMVもAI関連ツールを使用しているとのことだ。
音楽シーンではすでに多数のAIを活用したサービスが存在
音楽シーンにおけるAI活用といえば、音楽プラットフォームの機械学習によるパーソナライズ機能はよく知られている。また音楽制作の分野でもAIの活用はすでに数多く見られる。例えば最近、最新バージョンがリリースされたマスタリングツール「Ozone」やソニーのAIアシスト楽曲制作ツール「Flow Machines」、音声合成ソフト「CeVIO AI」、DJソフト「VirtualDJ」のAI音声分離機能などはその代表的な音楽制作機材と言えるだろう。
そのほかにも今年は、音楽クリエイターの間でも使用者が多いサンプルプラットフォーム「Splice」がAIベースの無料ループ作成アプリ「CoSo」を発表しているほか、SoundCloudが「さらなる音楽発見能力の向上」を目的にシンガポールのAI音楽キュレーション企業「Musiio」を買収。さらにはプラグインメーカーのWavesがAIで音色を解析・検索できるサンプル管理ソフト「COSMOS」をリリースしたほか、ローファイヒップホップ系トラックメイカーの間で人気のSP-303/SP-404系サンプラーアプリ「Koala」にAI技術を活用した音源分離機能「Split Stems」が搭載されるなど、今年だけでも音楽シーンにおけるAIにまつわる話題は枚挙にいとまがないという印象だ。
またそれ以外にもすでにAIが作成したサンプルを販売する「TapesAI」や、AI作曲プラットフォーム「Boomy」などが存在するなど、現在はAIを活用した音楽制作系サービスも存在する。
近年クリエイティブの分野では、AI活用の是非を問うさまざまな意見が見受けられる。しかし、例えば音楽シーンでは、すでに先述のように多数の活用例もある。このことは今となっては無視できない事実だけに、今後音楽クリエイターはクリエイティブに対するAI活用の是非を問うのではなく、自身とAIとの関係性に向き合っていく必要があるのではないだろうか?
ちなみにこちらの動画では先述のBoomyでの作曲の流れが確認できるが、同動画ではBoomyで生成したトラックを別のアーティストがアレンジしていく様子もあわせて確認できる。このような活用方法にこれからの音楽クリエイターとAIとの関係性を構築していくヒントがあるのかもしれない。