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インタビュー|NYの注目コレクティブ<Body Hack>のメンバー、ARCHANGEL。DJから社会支援まで、ジャンルを越えて活躍するアーティストの魅力

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ブルックリンのネットラジオ「The Lot Radio」ではCharli XCXと共演するなど、話題を集めるDJ/プロデューサーのARCHANGELが来日。block.fmを訪れた彼女に☆Taku Takahashiが「ARCHANGELとは何者か?」を探るインタビューを行った。
2024/07/18 19:00
Moemi
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NY拠点のアーティストコレクティブ<Body Hack>のメンバーとして活躍する、DJ/プロデューサーのARCHANGELが来日を果たした。

ジャージー・クラブやボルチモア・クラブ、テクノやハウスまで縦横無尽にグルーヴを繋ぐDJとして、さらに社会支援も果たすパーティーのキュレーターとして、世界的にファンを増やし続けている注目の存在だ。

そんな彼女の多様な音楽バックグラウンドについてや、パーティーのキュレーションを始めた理由、DJとして大切にしていることなど、「ARCHANGELとは何者か?」を探るインタビューを実施。インタビュアーは☆Taku Takahashiが務めた。

ARCHANGELとは何者?多様な音楽バックグラウンドを持つ理由

☆Taku:最初に、あなたがどんな活動をしているか教えて。DJ以外にも音楽を作ったり、いろいろな活動をしているんだよね。

ARCHANGEL : そうだね。音楽をプロデュースすること、DJ。イベントのラインナップを組んだりするキュレーションも8年くらいやっているよ。

イベントのキュレーションはDJを始める前からやってるんだ。バージニア州のリッチモンドに長いこと住んでいたんだけど、リッチモンドのシーンに全然魅力を感じなかったのがきっかけ。自分がワクワクするようなパーティーがなかったから、友達と一緒に新しいことを始めようと思ってスタートしたんだよね。

音楽を作り始めたのはその後かな。ラッパーの友達に音楽の作り方を教えてもらったから、私の音楽はヒップホップやラップの影響が強いと思う。普段のDJではテクノや他のダンスミュージックをプレイしているけど、バックボーンにはヒップホップがある。

あとはマイノリティ支援のために、地域や非営利団体のための資金調達イベントの企画もしている。音楽より、この活動のほうが長くやってるから、もう10年近くになるかな。

☆Taku:ありがとう。イベントのキュレーションを始めた頃、バージニアのクラブではどんな音楽を求めてたの?

ARCHANGEL : 当時はいろんなところを旅行してたんだ。その頃は家族がフィラデルフィアに住んでいて、フィラデルフィアではいつもクラブミュージックを聴いてた。私の言う“クラブミュージック”というのは、ボルチモア・クラブ、フィリー・クラブ、ジャージー・クラブみたいな東海岸の音楽のこと。

それらがきっかけで、ハウスやテクノにハマったんだ。でも、バージニアではパーティーに行ってもそういうサウンドが全然聞けなくて、退屈だったんだよね。だから、フィラデルフィアのクラブの雰囲気が恋しくて。あとはもっとヒップホップも聞きたかった。リッチモンドにもヒップホップのシーンがあったのに、パーティーではラップもヒップホップもクラブミュージックも全然聞けなかった。

それだけじゃなく、ハウスやテクノも流れてなかったかな。普段はポップミュージックしか流れてなかった。ジャンル特化のクラブナイトはあったけど、私は一晩でいろんなジャンルが聴けるパーティーを求めてたんだよね。シーンがマンネリ化してて、新しいものが欲しかった。

☆Taku:なるほどね。あなたのDJプレイはすごく個性的で、多様な要素を取り入れているよね。だから、これは答えるのが難しい質問かもしれないけど、普段プレイするジャンルのトップ3ってある?

ARCHANGEL : 私の音楽とDJの最も大きな要素は“ジャンルを飛び越える”ことだから、それはいい質問だね。

いろんな音楽が好きになったのは、家族も私自身も、アメリカの様々な場所にいた影響を受けているからだと思う。トップ3を選ぶとしたら、まずはクラブミュージック。さっきも話したフィリー、ジャージー、ボルチモア・クラブ、あとはニューオーリンズのバウンス・ミュージック。それに、ワシントンDCのゴーゴー・ミュージックもね。

次に、ハウスミュージック。両親もハウスミュージックが好きで、私が育ってきた中で聴いてきた音楽だよ。最初にSoundCloudにハマって、たくさんのハウスを聴いてきた。Boiler Roomでハウスミュージックのロングミックスを聴くのも好きだった。

最後にテクノ。でも、世界的に人気な“よくある”テクノはプレイしない。常にグリッドに乗ってるわけじゃないけどグルーヴがあって、他のトラックとミックスしやすい独特の魅力があるテクノが好きなんだ。

あとは、ジャンルに分類できないような実験的な音楽も好き。ドラムの要素がたくさんあって、アフリカやカリブ海の影響を受けた音楽も好きだよ。

Body Hackのパーティーはぶっ続けで40時間!?

☆Taku:ARCHANGELという名前はあなたの活動に関係してるの?

ARCHANGEL : 私の名前はエンジェルなんだけど、それをもじってつけたのがARCHANGEL。アークを付けると“大天使”という意味になるでしょ?エンジェルよりも大きな存在を意味する、ぴったりな名前だと思ってる。

他にもいくつか理由があって。この名前はスーパーヒーローや魔法少女みたいな感じがするでしょ。普通の自分がいて、状況に応じて変身するような雰囲気があると思ってつけた。DJのときは何か特別な役割に変身する感じがするんだよね。みんなを踊らせたり、楽しませたり、繋がることができる。それがすごく素敵だと思ってるんだ。

もう一つの理由は、聖書の大天使にちなんで名付けられた人が家族にいて、家族の歴史や雰囲気を引き継いでいると感じるからだね。

☆Taku:確かにあなたの活動は、天使や大天使がすることと近いと感じるよ。あなたが所属しているコレクティブ、Body Hackについても教えて。

ARCHANGEL : もちろん。Body Hackはアーティストのコレクティブで、月に一度のパーティーシリーズでもあり、相互支援の資金調達活動もしている。つまり、毎月パーティーを開催して、あまり注目されていなかったり、十分な資金を得られていない人々や活動への寄付を奨励してる。困っている人々を支援することが目的のひとつなんだ。

☆Taku:ニューヨークを拠点に活動しているの?

ARCHANGEL : 拠点はニューヨークだけど、2020〜2021年のパンデミック初期にはオンラインで活動していた。24時間のライブストリームをZoomでやったんだ。あとは、ペルーに行って、House of Princeと一緒にボールルーム(ダンスイベント)を開催したこともある。ニューヨーク以外の場所でもBody Hackとして活動する計画もあるよ。

☆Taku:Body Hackのパーティーはすごく長いって聞いたんだけど。

ARCHANGEL : そう。通常は夜8時に始まって、だいたい朝の4時か5時に終わる感じ。だから、約10時間かな。今月は40時間ぶっ通しでやるよ。2日間止まらない。「ノンストップ」って呼ばれてる(笑)。

☆Taku:普通のパーティーよりも長く開く理由はあるの?

ARCHANGEL : それについては面白い話があるよ。メンバーになる前、Body Hackに遊びに行ったときにたまたまUSBを持っていたことがあって。たぶん朝の10時半頃だったんだけど、「ちょっとプレイしてみる?」って言われたんだよね(笑)。それまでにも何回かBody Hackでブッキングされたことがあったし、USBも持ってたからOKして、私が音楽をかけ始めたらみんな超大興奮。最終的には「今日はもう閉めないといけないけど、もっとアフターパーティーをやるべきだね」と言われたくらい盛り上がったんだ。

翌月、私は大きな資金調達イベントを手伝うためにBody Hackのプラットフォームを使いたいと相談したら、ラインナップ全体をキュレーションして欲しいと頼まれて。もちろんそれを引き受けて、友達と一緒に素晴らしいショーを創り上げた。それがBody Hackにとって、すごく大きな影響力のあるイベントになったんだ。その後正式なメンバーとして参加して欲しいと言われて、メンバーになった。

それで、パーティーが長くなったんだよね。私はDJを始めると止まらなくなるから(笑)。

誠実な行動の積み重ねが自分の世界を広げる

☆Taku:ブッキングするDJはどうやって見つけているの?

ARCHANGEL : ニューヨークでは全然難しくないよ。誰もがDJをやってるし、その母親もDJやってるくらいな感じだから(笑)。直接の知り合いじゃなくても、友達が繋がってたりもするし。

ニューヨークのシーンでは、友達のショーをサポートしに行くと他の友達にも会えて、それが大きなネットワークになるんだ。だから、新しい注目のアクトを発見するのはすごく簡単で、そういう人に大きなクラブで良い音響でプレイしてもらいたいと思ってブッキングするんだよね。

他の方法としては、SNSでDJ動画を投稿している人や、SoundCloudのMIXを見つけて、その人がニューヨーク近郊に住んでるか確認するんだ。良いDJはどうしても呼びたいし。

Body Hackに参加する前は5、6年ほどツアーやショーをやっていて、DJとのつながりを作るのには慣れてたから、Body Hackのキュレーションもすごく自然な流れだった。DJのブッキングリストを作ってみたら、あっという間に3ページ分のリストができるくらい。

だから、友達やよく会う人をブッキングすることも多いけど、Body Hackを通じて初めて会う人もたくさんいるんだ。

☆Taku:素晴らしいシーンだね。若いDJたちにアドバイスはある?今はたくさんのDJがいるけど、その中でどうやって自分を特別に見せているの?

ARCHANGEL : 自分のルーツ、自分が影響を受けたものを忘れないこと。音楽に興奮したきっかけを思い出すこと。映画やゲームのサウンドトラック、両親がレコードでかけていた音楽を思い出すんだ。自分が慣れ親しんでいるもの、好きなものに忠実でいれば、DJの時に楽しめないなんてありえない。観客もDJが楽しんでいるのを求めてるから、DJが楽しめていれば彼らも楽しめるんだよ。

自分を目立たせるために大事なのは、自分のスキルを見せる機会を恐れないこと。磨き上げた技やDJへの愛と情熱を見せるチャンスがあれば、それを逃さないこと。みんなに言ってるけど、怖くなって自分の実力を披露するチャンスを失ってしまうことが誰でもあると思うんだ。私はそのチャンスを逃さないようにしてる。

あとは、記録に残すこと。自分が素晴らしい仕事をしている証明を持つ。DJやプロデューサー、アーティストがたくさんいる業界だから、目立つためには証拠が必要なんだ。

誰かをブッキングするときは、動画があるか、リンクがあるか、それをちゃんと発信しているか、最近何をやったかをチェックする。それでその人のスキルやジャンルの幅を確認するんだ。だから、自分のスキルを証明するものを常に持っていることが大事。

もうひとつは自分のスタイル。自分が何を好きで、どう見せたいか、どんなエネルギーをそこに注ぎたいのかを考えて、それに全力で取り組むんだ。自分自身を発信する理由のひとつには、友達が大好きで、コミュニティも大好きで、ここまでサポートしてくれた人たちが本当に好きだからという思いがある。世界中を旅して回る前からずっと応援してくれた人たちに誠実でいたいから、失敗できないって感じるんだよね。

お互いを助け合って見守ることで、誰かが私を東京に呼んでくれたように、小さな親切の積み重ねが将来大きなショーにつながることがある。私の仕事の記録を持ってる人が私のスキルや評判を他のDJに伝えてくれた。ありきたりに聞こえるかもしれないけど、他人を思いやる気持ちを大切にして、自分の行動に誠実さやポジティブな意図を持って取り組むことが大事だと思う。それが世界と他人に良い影響を与え、未来の大きなショーにつながるんだよ。

☆Taku:ありがとう。最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

ARCHANGEL : そうだね、日本でまたプレイしたいと思ってるよ。日本のシーンは本当に特別だと思う。短い旅行でこんなに多くの友達を作れたことに驚いてるし、ぜひまた戻ってきて、日本のアーティストとコラボしたり、新しいものを作りたい。Body Hackの他のメンバーも日本のグループと一緒に日本でパーティーを開きたいと言ってるから、興味がある人は私のInstagramをチェックして、Body Hackを見つけて連絡してね。

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記事に掲載しきれなかったインタビューは、block.fmのInstagramで公開中!

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