アディダスがトップアスリートに支払うスポンサー料、その衝撃の内容とは?

NBAスター選手デリック・ローズとアディダスが交わしたスポンサー契約書が暴露され、195億円の生涯契約書の内容に激震走る
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2018.02.25 11:30

アディダスが世界で契約するトップアスリートたちに支払っているスポンサー料が、果たしてどれくらい巨額なのか、想像したことがあるだろうか?


アメリカのプロバスケットボールリーグ「NBA」のスター選手とアディダスが交わした契約書がメディアによってレポートされ、スポーツ業界のスポンサーシップ・ビジネスが想像以上の内容だったことが話題となり、スポーツの世界でのスポンサーシップがギャンブルか、スマートなビジネスか、について議論が起きている。


モンスター契約の現代版


Sports Illustratedが入手した契約書は、2011年に当時22歳というNBA史上最も若くして「MVP」を獲得して、若くしてスーパースターの地位を手に入れたポイントガードのデリック・ローズ(Derrick Rose)が、アディダスと結んだ巨額のスポンサー契約で、スニーカー製品や支払いに関する内容が詳細に公開されている。


2013年にアディダスのイベントで来日したこともあるローズは、現在アディダスが契約するNBA選手の中で2番めに高額の契約を交わしている(1位はヒューストン・ロケッツのジェームズ・ハーデン)。


しかし、現在ローズは29歳で無所属、つまりバスケ選手として休業中である。


シグネチャーシューズに留まらないスター選手の報酬


ローズとアディダスは2012年に超大型契約を結び、当時は最も高額なスポンサー契約として話題を呼んだ。その契約金額はなんと14年で1億8500万ドルだ(約200億円)。契約期間は2011年10月1日から2025年9月30日までと明記されている。当時のローズは若干23歳で、14年間の企業サポートは事実上の生涯契約と云える。


このスポンサー契約でローズは自身のシグネチャーシューズ「D Rose」を発表して現在に至る。


彼がアディダスから毎年受け取る金額の内訳は、2012-2013年シーズンから2016年-2017年で1200万ドル(約13億円)。2017-2018年は1100万ドル(約12億円)だ。


さらにローズには年間でロイヤリティ料として最大625万ドル(約6億2500万円)、プロモーション出演料として480万ドル(約4億9000万円)が支払われる。アディダスは個人利用のプライベートジェットも提供している。


これが全て年俸以外で支払われる副収入だから脅威だ。


さらに契約では、ローズだけでなく、ローズの兄レジー・ローズ、さらにローズの友人でパーソナルアシスタントのランダル・ハンプトンにも毎年支払いが行われている。レジー・ローズには毎年コンサルティング料として25万〜30万ドル(約2500万円〜3000万円)、ハンプトンにも毎年5万〜7.5万ドル(約500万円〜750万円)のコンサルティング料が支払われてきた。




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スター選手が契約を全うする条件



via Facebook


契約には、ローズがさらにボーナスを受けるための付帯条項や、普段の行動にまで触れる内容が盛り込まれている。


「All Pro Award」と呼ばれる項目では、NBAのアワードや記録を達成した場合には、ローズに追加で支払いが発生する契約条項が記されている。例えばNBAオールスター戦の出場や、NBA All Teamへの選出、NBAチャンピオンなどがこれに該当する。


「Formal Wear」(正装)の項目では、アディダスのシューズやアパレル製品にモーニング・ドレスやディナースーツなどを組み合わせたファッションが正装であると定義されている。アクセサリーを付ける場合も、Zegnaなど両者が合意しているブランドに限る。これはテレビ出演やスポンサーイベントを含むフォーマルなイベントなどで着用する正装に限る。普段着やカジュアルなファッションとは区別するために設けられたようだ。


ローズは財務リスクを下げるため、本人が契約書にサインする代わりに、アディダスと有限会社「D.M.R. Enterprises, LLC」を契約させている。D.M.R.は「Derrick Martell Rose」の略で、会社の住所はデリック・ローズのエージェンシーでもあるスポーツマーケティング会社大手のWasserman Media Groupとなっていた。


ではデリック・ローズはアディダスから今後も契約金が支払わ続けるのだろうか?


答えはイエスでもありノーといえる。アディダスは契約に「ローズが2025年前にプロ選手として引退した」場合、契約を破棄できると条項を設けている。


30歳前にして選手生命が危ぶまれるローズ




そしてローズは今、引退の危機にさらされている。


最年少でNBAを獲得してスーパースター街道まっしぐらだったローズは、その後のキャリアは30歳を前にしてかつての輝きとスターのオーラは失われている選手に成り下がってしまった。


アディダスと契約を交わしたその年、ローズは所属するシカゴ・ブルズと契約を更新した。5年契約で9480万ドル(約95億円)という巨額の契約だった。


しかし同じ年のプレイオフで左足のアキレス腱を断裂、2012-2013年をリハビリで全休する。


2013-2014年に復帰、しかし試合で右膝の半月版を負傷。手術のため、残りのシーズンを棒にする。怪我とリハビリの間に彼本来の爆発的なスピード、瞬発力が失われ、2010-2011年に記録したアベレージ25.0点をピークに魅力だった得点力は減っていった。


2016-2017年にニューヨーク・ニックスにトレード要員で放出されたローズは、ここでコーチや選手に無断でゲーム直前に私用でチームを離れたことが和を乱す行為としてネガティブに報じらた。さらに4月に左膝の半月版を負傷、シーズン終了前に手術を受けることとなった。


そしてわずか1年でニューヨークを離れ、クリーブランド・キャバリアーズと契約。しかし、ここでも無断でチームを離れ、精神面での弱さが浮き彫りとなった。得点力は戻らず、怪我からの回復もままならないまま、2月にトレード要員としてユタ・ジャズに放出される。2日後ジャズはローズとの契約を破棄した。


現在ローズは無所属となったままだ。


しかし引退しない限り、すでに過去の選手となってしまったローズはあと7年総額8000万ドル(約90億円)を受け取れる。ローズ自体は「契約金」がモチベーションにないと、経済的な理由を否定はしている。


22歳で頂点を極めたアスリートが抱いた未来がわずか7年でここまで転落するとは、デリック・ローズ本人もアディダスも誰も想像できなかったはずだ。



参考:

https://www.si.com/nba/2018/02/06/derrick-rose-adidas-contract-terms-payment-clauses-cavs

https://www.si.com/nba/2018/02/06/derrick-rose-adidas-sneaker-contract-details-cavaliers-knicks-bulls

https://sneakernews.com/2017/12/08/derrick-rose-adidas-contract-80-million-retirement/


photo by Derrick Rose FacebookAdidas

written by block.fm編集部

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