2019年最もブレイクするアーティストに選出された沖縄のラッパー・Yo-Sea

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期待の若手ラッパー・Yo-Sea
Yo-Seaは沖縄から上京してきて間もないラッパー・アーティストである。2018年3月にシングル曲「I think she is」でデビューして以来、甘くメロウな歌声で他を圧倒してきた。沖縄から東京へと拠点を移し次々と話題曲をリリースし続けている。各種メディアが大注目する期待の若手Yo-Seaについて、彼のルーツと共に紹介していく。
デビューシングルで大きく飛躍
デビューシングルである「I think she is」はリリース直後から大きな反響を呼び、Yo-Seaの名を一気に広めることとなった。沖縄のビートメイカーの助けもあって「I think she is」を作ることができた、とYo-Seaはあるインタビューで話している。そのビートメイカーとはまったく面識がなかったものの、Instagramを介してコンタクトを取ったのだという。そこで初めてYo-Seaの歌声を聞いた彼(ビートメイカー)は、とんでもない才能の持ち主だと驚愕したのだった。その後、BCDMGのNobuが「I think she is」を聞き、同様に衝撃を受けることとなる。NobuはInstagramからメッセージを送り、Yo-SeaをBCDMGへ誘った。
BCDMGといえば、日本を代表する音楽クリエイターチームとして知られている。KEIJU as YOUNG JUJUやIOなどを輩出した実績があり、特にラッパーのプロデュースを得意としている。そのBCDMGと、Yo-Seaは契約を交わしたのだ。上京後は唾奇やHIYADAM、Taeyoung Boyといった数多くのアーティストとコラボ曲をリリースしている。さらには、『SUMMER BOMB 2018』などの大型HIP HOPフェスに出演したり、宇多田ヒカルの楽曲「Too Proud」をビートジャックしたりするなど、度々注目を集めてきた。またYo-Seaの楽曲だけでなく、彼のファッションやルックスにも関心が寄せられているようだ。
ラッパーよりもアーティストを目指したい
ラッパーとして紹介されることが多いYo-Seaだが、実はアーティストと呼ばれるほうがしっくりくるらしい。ラップだけを専門にするのではなく、ラップもあり歌もありというスタイルが理想だという。そういう意味では単なるラッパーではなく、アーティストなのだろう。従来のラッパーとは異なるハイブリッドなスタイルこそが、Yo-Seaの魅力ともいえる。本人的には新しい音楽をやってやろうというスタンスではなく、純粋に作りたい音楽を作っているにすぎない。
そんなYo-Seaだが元々ラッパー・アーティストを目指していたわけではなかった。大学へ進学して、英語教師になる予定だったのだ。それにもかかわらず大学を中退してまで東京へ行き、ラッパーとしての活動を本格的に始めることになる。きっかけとなったのは、アメリカのサンディエゴに3ヶ月ほど滞在したことらしい。その際に自分のやりたいことは英語教師ではなく、本当は音楽なのだと気づいたようだ。そもそも歌うことは好きだったので、中学生の頃からずっと歌っていたという。自宅の風呂場やバスケットボール部の更衣室などが、歌声がよく響いてお気に入りのスポットだった。
また幼少期からゴスペルをはじめとする様々な音楽を耳にする環境で育ったことも大きく影響しているようだ。母親は山下達郎や松任谷由実、RIP SLYMEを好んで聴き、父親はJack Johnson(ジャック・ジョンソン)やNorah Jones(ノラ・ジョーンズ)を聴いていた。それから従兄弟が、Eminem(エミネム)やZeebraなどの曲を流しながらバスケットボールをしていたことから、ヒップホップという音楽ジャンルを知るようになった。このようなバックグラウンドもあって、Yo-Seaならではのハイブリッドな音楽が生まれたのかもしれない。BCDMGから誘われたときは一切の迷いはなかったそうだ。自分の求めるものはこれだという確信があったからこそ、すぐに大学を中退して沖縄から上京した。
沖縄のチーム・SouthCatに所属
Yo-Seaはソロでの活動とは別に、沖縄のメンバーで構成されているSouthCatにも所属している。SouthCatには、3HouseやKiyoraなどがいるが、その他のメンバーも含めて沖縄から東京へと拠点を移し始めているようだ。Yo-SeaがSouthCatに所属するきっかけとなったのは、やはりデビューシングルの「I think she is」の影響が大きい。沖縄を同郷としていることもあり、ゆったりとしたチルな雰囲気がSouthCatには流れている。ラッパーにありがちなクラブにくり出すよりも、海でのんびりと過ごしたり、バスケットボールをしたりするほうが好きだとYo-Seaは語っている。そんなゆっくりした時間からインスピレーションを受けることも少なくない。
自分がその時に感じたことをそのまま歌詞にする、それがYo-Seaの曲作りのスタイルだ。激しい歌詞を作ることも不可能ではないというが、これまではチルな歌詞しか生まれてこなかった。自分が作りたいと思った曲を素直に作った結果、たまたまチルな曲になったというわけだ。それでも、新曲をリリースするごとに、少しずつ考え方が変化してきているのを感じているという。この先どうなっていくのか自分でも予想できないが、曲を作り続けることで加速度的に更新されていくと思うと話している。その上で2019年はもっと様々な面を見せていきたいとの発言もあった。
初のEP作品『7878』をリリース
2019年3月27日、初のEP作品となる『7878』がリリースされた。2018年12月リリースの「LOOK AT ME NOW」と、新曲の「Me&You」を収録した計7曲だ。「LOOK AT ME NOW」はYENTOWNのChaki Zuluプロデュースによるラブソングであり、「Me&You」は再びChaki Zuluとのコラボが実現した曲である。さらに上岡拓也とIOがアートワークを担当した。Yo-Seaの美しくシンプルな歌声に、酔いしれることだろう。
written by 編集部
photo: https://www.youtube.com/watch?v=8k7bmrUXdr0