シンセサイザー(Synthesizer)の特徴と、そのテクノロジーを用いたさまざまな種類の楽器群に迫る

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アナログ・デジタルシンセサイザー(Synthesizer)から、ドラムや吹奏楽器・ギター用シンセなど実に多彩
バンドなどの生演奏やMIDIシーケンサー・DAWを用いた打ち込み、最近ではEDMやエレクトロニカなどのジャンルでも欠かせない楽器、シンセサイザー。鍵盤楽器の形をしたタイプをはじめ、ラックタイプやエレクトリックドラム・ウインドシンセなど多彩な形状を持つシンセサイザーを詳しく紐解く。
シンセサイザーとは、その歴史と特徴
電子楽器の歴史を辿ると19世紀末にまでおよんでしまうが、現在のシンセサイザーの始祖となる「テルミン」が発明されたのは1920年頃のことだ。長方形のケースにアンテナがついた形状で、手をかざして近づけたり動かすことで音程が変わる楽器である。1930〜1940年代には電子オルガンが開発され、1950年代にはシンセサイザーが登場することとなる。
シンセサイザーは大きく分けて、アナログシンセサイザーとデジタルシンセサイザーの2つに分類される。現在主流となっているのはデジタルシンセサイザーの方であり、近年リバイバルブームが訪れてアナログ回路をシミュレートした「アナログモデリングシンセサイザー」も人気だ。結局はこういった製品はデジタルであり、音源部はアナログでありつつも音色の管理はデジタル部が担当するといった、モデリング系もハイブリッド製品が主流である。
音の出る仕組みは、正弦波(サイン波)をはじめとする音波の周波数(音程)や周期(音色)をイコライジング(調節)することによって、多彩な音を作る(シンセサイズ)というものだ。オシレーター部で音波の種類をセレクトしたり複数の波を組み合わせたり、ADSR(アタック、ディケイ、サステイン、リリース)やエンベロープによって音色を変調させて電子音を合成し、シンセサイザーの音を作る。
1970年代に登場したアナログシンセサイザーはモノフォニック(単音)であり、複数音を同時に発音することができなかった。単音のみの表現ではあったが、原始的な回路によって生み出される音色は、不安定でありながらも太く、他に替え難い唯一無二のサウンドである。テクノロジーの発展により、1980年代以降はポリフォニック(複数の音が同時発音できる)や、PCM(実機からサンプリング録音して、ひとつひとつの鍵盤に割り当てる)方式が開発され、シンセサイザーという楽器はどんどん進化していった。
さまざまな形状を持つ、シンセサイザーの種類
シンセサイザーと言われれば、真っ先に頭に浮かぶのは鍵盤(ピアノやオルガンのような、白と黒の鍵が並ぶ形状の楽器)の形態の楽器だろう。確かに、楽器店に並ぶ「シンセサイザー」を見れば、鍵盤の形状を持つものが多い。アナログシンセサイザーやアナログモデリングシンセ、ミュージックワークステーションなどのデジタルシンセなどが多くを占める。
しかし、他の形状を持ったシンセサイザーも多く存在している。音源モジュールといって、音色を作る(シンセサイズする)部分だけをピックアップしたラックタイプや、EWIなどの吹奏楽器の形状を持ち呼気とキー操作によって演奏信号を出力することができるウインドシンセサイザーなどがそれだ。シモンズドラムなどシンセ音を合成して打楽器の役割を果たすシンセドラムや、同じようにシンセサイザーでベースの音を模して作られた音色のシンセベースなども同様にシンセサイザーのごく一部である。この他、外部機器で言えばギターにマイクとプリアンプの役割を果たす専用ピックアップを取り付けて、シンセの音色とギターのタッチをミックスした、ギターシンセもテクノロジーの賜物だ。
またこれらは実機(形ある機器・ハードウェア)だが、プログラム上にデジタルデータとして存在するシンセサイザーもある。ソフトウェアシンセと呼ばれ、パソコンを介したDTM(デスクトップミュージック)・音楽制作に用いられるのが一般的だ。
Photo:https://www.facebook.com/pg/worldofsynthesizers/photos/
Written by 編集部