大注目の新星、Kelsey Luって何者? 2019年4月リリースのアルバム『Blood』も徹底解剖

2016年デビューのNY出身チェリスト
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2020.03.04 14:23

2016年デビューのNY出身チェリスト


みなさんはもうKelsey Lu(ケルシー・ル)をご存じだろうか。彼女はノースカロライナ出身で現在はロサンゼルスを拠点に活躍するチェリスト兼シンガーだ。この記事ではチェロを演奏しながら歌うという独特なスタイルで今音楽ファンだけでなくファッション界からも熱い視線が注がれている彼女と、その最新作『Blood』を紹介する。



風変わりな経歴の持ち主


Kelsey Luと音楽が真に出会ったのは彼女が18歳の時だった。地元の芸術学校に進学したものの1年で退学しアルバイト生活を送っていた彼女はNappy Roots(ナッピー・ルーツ)というHIP HOPグループと出会い交流を重ねる。彼らのライブに参加したり彼らが彼女をフィーチャーした楽曲を制作したりする内に、彼女自身も楽曲の制作を始めたという。


その後満を持してニューヨークへ移住するものの、なかなか仕事に恵まれなかった。そんな彼女の転機はなんとリーバイスのファッションモデルの仕事だというから驚きだ。そんな彼女のデビュー作は2016年ブルックリンの教会で録音された作品「Chruch」で、このデビューシングルは音楽界だけでなくモード界からも高い評価を受けた。以降、2018年4月にシングル「Shades of Blue」を、11月にはコロンビア・レコードから「Due West」をリリースするなど、立て続けに作品を発表している。


2018年10月には早くも初来日を果たし、表参道の Jil Sander (ジル・サンダー) のオープニングパーティーにてパフォーマンスを披露した。2019年に入ってからは4月にデビューアルバム『Blood』をリリースしており、5月29日に渋谷での来日公演を成功させた彼女。今乗りに乗っているアーティストの1人と言っても過言ではないだろう。



Kelsey Luの音楽性、作風


Kelsey Luの大きな特徴として挙げられるのは、なんといってもチェロを演奏しながら歌うそのスタイルと魂に語り掛けるようなのびやかで深いサウンドである。チェロとの出会いは9歳のとき。バイオリンのレッスンに通っていた彼女は教室の隅に置かれたチェロに惹かれ、ひとたび弾いて虜になったのだという。以来彼女の音楽活動は常にチェロと共にある。


彼女のサウンドを聞いた感想は「自然に包まれるような気持になる」「霧のように空間を覆うダイナミックな歌声」といった言葉で表現されることが多い。Kelsey Lu自身も、自分のチェロの音は「海底に植えられた長老の木」に例えるのがしっくりくると語り、彼女の魂が感じる自然のダイナミズムがヴォーカルにも表れていることを伺わせる。アルバム『Blood』の制作が決まってからも、チェロ以外の楽器も演奏したり、多重録音やアナログなテープ録音、フィールドレコーディングと呼ばれる手法を取り入れるなど、サウンド作りのテクニカルな面においても常に新しい試みを続け、その世界観は日々進化している。



インスピレーションの源は人、そして自然


そんなKelsey Luのインスピレーションの源は人と自然なのだそうだ。かなり長い間ニューヨークに住んでいたが、現在はロサンゼルスの郊外に移住し自然に囲まれた生活を送る。彼女曰く彼女にとって最も神聖なものはありふれた人々、特に年配者なのだそうだ。そういった意味でニューヨークはとにかくたくさんの人々の姿を目にするのに困らない所だが、一方で「ニューヨークにいた頃はとにかくスペースに飢えていた」と語り、人間の喧騒から離れて「あるのは自分と木だけ」といった生活を必要としたことが移住の決め手となった。新しい家では池や山々広い空が常にそばにあり、曲作りを行う部屋から望む雄大な風景に曲作りが影響を受けることも多いという。またケルシーは、自身の思考回路については「かなりぐちゃぐちゃ。とにかくなんにでも首を突っ込むのが自分なりのやり方」だと語る。


要するに彼女の作る魅力的な音楽は、相反するもののバランスによって成り立っている。そして彼女は自分に必要なインスピレーションを必要な時に得ることに関して絶対的なバランス感覚を持っている。都会と大自然の間で時に近づき、時に距離を取ることで独特な均衡を保っているのだ。



最新アルバム『Blood』について


最後に2019年4月にリリースされたKelsey Lu最新作『Blood』について紹介しよう。このアルバムのテーマは「動き」だ。水全般、そしてドライブする車など、あらゆる「動くもの」から着想を得て制作されている。


共同制作者として イギリス人プロデューサーRodaidh McDonald(ロデイド・マクドナルド)を迎え、Jamie xx(ジェイミー・XX)、Skrillex(スクリレックス)やAdrian Younge(エイドリアン・ヤング)ら豪華メンバーが参加した意欲作『Blood』。「Due West」や10ccの名曲である「I'm Not In Love」のカバーも収録されている他、彼女自身がダンスを披露するミュージックビデオやファッション業界からもラブコールが送られるそのファッションも異彩を光っているので、前からKelsey Luを気になっていた人も最近知ったという人もぜひチェックしてほしい。


30代を目前に控え、殻に閉じこもって自作に集中するマインドセットが徐々に変化し、今までなら目を背けていたことや興味のなかったこと、軽蔑していたようなことにさえ探求心が湧くという彼女。次回作では、予想もしなかったようなアーティストとのコラボや『Blood』からさらに進化したサウンドを我々に届けてくれるのではないだろうか。




written by 編集部


photo: https://www.facebook.com/pg/iamkelseylu/photos/?ref=page_internal


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