ヒップホップグループ・CIRRRCLEの音楽のバックグラウンドは?

様々なバックグラウンドを持った若手音楽グループ
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2020.03.11 02:59

様々なバックグラウンドを持った若手音楽グループ


東京とLAを拠点に活動するCIRRRCLE(サークル)。異なるバックグラウンドの3人が集まってできた音楽ユニットとだけあって、LGBTQなど社会への影響力も期待されている。国籍も育った環境も性格も異なる彼らの音楽はどのように作られているのだろうか。



様々な生い立ちのメンバーで構成されるCIRRRCLE


CIRRRCLEはAmiide(アミイデ)、Jyodan(ジョーダン)、A.G.O(アゴー)の3人で構成されている。ボーカル・ラップ担当のAmiideは神戸出身だが、学生時代をロサンゼルスで過ごし当時は映画を先行していた。そのため音楽制作だけでなく映像クリエイターとしてCIRRRCLEのMV制作も行っている。ちなみにAmiideはレズビアンであることを公表している。Jyodanはアメリカ出身で米軍兵の父親を持つ。幼少期は半分を沖縄の米軍基地、もう半分はアメリカで過ごしており、幼い頃から友人とラップをして遊んでいたそうだ。そして新潟県出身のA.G.Oは普段は一般企業で会社員として働きつつ、楽曲制作を行っている。このようにCIRRRCLEは異なるバックグラウンドを持つ3人で構成されている。


3人が出会ったきっかけはA.G.OがCIRRRCLEのディレクターであるMariの紹介でAmiideと知り合うところから始まる。そして2人で楽曲を制作した際に「ラップを入れた方が良い」という意見が出たことからJyodanが加入することとなり、現在の3人体制となる。



バックグラウンドが違っても自分らしさを大切に


CIRRRCLEはレズビアンを公表しLAと日本の2つの場所で育ったAmiide、アメリカ生まれで様々な場所を転々としてきた黒人のJyodan、そして日本生まれ日本育ちという生粋の日本男児のA.G.Oの3人で結成されている。そのため音楽性の違い以前にバックグラウンドが違うことによる、根本的な考え方の違いで衝突することも多いそうだ。


確かに自分と違う環境で育った人のバックグラウンドを理解することは自分の今までの常識を覆されることも多く、かなり難しい。特に同調が求められることが多い日本では、異なる考え方を理解するというよりも多数決で最も多い意見を採用して周りがそれに合わせるということが多いだろう。


CIRRRCLEの3人はこのような3人それぞれのバック グラウンドの違いを活かして、「育った環境が違ってもお互いを受け入れて自分たちの好きなことをする」「国籍などに関係なく自分がなりたい自分になれるという」ということを音楽を聴いた人に伝えていきたいそうだ。黒人差別やLGBTQ問題など、国籍、性的嗜好、肌の色などバック グラウンドのちょっとした違いによる差別は後を尽きない。そんな中でも多様性を受け入れられるユニットとしてCIRRRCLEは社会を変えるきっかけとなってくれるだろう。



CIRRRCLEの音楽づくり


CIRRRCLEはJyodanがLA、A.G.Oが日本、そしてAmiideがLAと日本を行き来しているというユニットであることから、JyodanとAmiideの2人が楽曲の骨組みを作り、それをA.G.Oがアレンジ・修正するという流れで作ることが多いそうだ。3人とも意見がぶつかることはあっても音楽に対する考え方に関してはそれほど差が無く、楽曲制作で揉めることもないとのこと。ただし、Amiideは恋愛ソングを書く際に必ず「She・Her」を使うことを大切にしているそうだ。確かに女性シンガーが歌うラブソングは男性に向けた歌が多い。この点はレズビアンであるAmiideならではの視点であり、女性が歌う女性に向けたラブソングに仕上がっている。


またCIRRRCLEはオンライン・マーケティングに力を入れているという特徴もある。音楽ユニットはとにかく色々な場所に音源を送ってレーベルに見つけてもらい、そこからデビューということが多い。しかしCIRRRCLEはレーベルに所属せず、シングルもリリースせずに配信のみで活動をしている。配信のみでの活動となると、オンライン・マーケティングは欠かせないと言えるだろう。CIRRRCLEは日本発のユニットではあるが、2018年8月にリリースされたアルバム『Fast Car』の表題曲がグローバル版Spotifyのプレイリスト「New Music Friday」に選ばれ、アメリカで注目を浴びたことからブレイクした。このように逆輸入の形でブレイクしたユニットであり、日本に限らず海外も視野に入れた活動を行っている。


ただCIRRRCLEのブレイクはSpotifyのデータを分析した結果だけでなく、偶然な面も持ち合わせている。元々CIRRRCLEの「Talk Too Much」の再生数はブラジルが圧倒的に多かった。そこでブラジルにいるファンを獲得するために、ボサノバ要素を取り入れて制作したアルバムが『Fast Car』なのにもかかわらず、なぜかこれはアメリカでブレイクしブラジルのプレイリストに入ることは無かった。このように狙って音楽を作っても予想外の結果となることは多いそうだ。


しかしCIRRRCLEは想定外のことがあってもハッピーな雰囲気の楽曲性であることは変わらない。ヒップホップは元々ニューヨークのスラム街で貧困や人種差別に悩まされている人が世の中に対する批判・皮肉を音楽に乗せたものだ。そのため、ヒップホップと言われると暗いイメージを持つ人も少なくない。それに対してCIRRRCLEは聴いている人が楽しくなるような音楽づくりにこだわっている。元々CIRRRCLEはロックやR&B、ファンクなど様々な音楽におけるバック グラウンドを持った集まりであり、ヒップホップの枠にとらわれない「ハッピーな音楽」というジャンルを新たに構築してくれるだろう。




written by 編集部


photo: https://www.youtube.com/watch?v=bfgL-ekB__0


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