「bad guy」「bury a friend」を生み出したBillie Eilishは、Z世代の新たな鬼才だ

「bad buy」「bury a friend」で世界を驚かせた天才アーティスト・Billie Eilishってなんなんだ?
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2020.03.11 12:33

「bad buy」「bury a friend」で世界を驚かせた天才アーティスト・Billie Eilishってなんなんだ?


だぼっとしたバギースタイル。陰鬱な音楽。囁くような歌声。口コミで火がつき、ファーストアルバムがリリースされる前から人気アーティストとなった天才、Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ)。「bad guy」「bury a friend」といった楽曲は全世界で熱狂的なファンを獲得している。彼女のなにがそんなに魅力的なのか?



独特の生い立ち、兄との絆


Khalid(カリード)、Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)、Red Hot Chili Peppers(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)のFlea(フリー)、Halsey(ホールジー)など名だたる有名アーティストから称賛されるBillie Eilish。10年代後半に新たな時代の到来を告げた「bad guy」「bury a friend」などの名曲を生み出した彼女の生い立ちにも注目が集まっている。彼女は2001年生まれ、ホームスクーリングで育っている。兄のFINNEAS(フェニアス)とともに、「自分の好きなことを追求してほしい」という両親の教えのもとで、自発的に行動していった。ダンス、乗馬、ピアノなどクリエイティブな習い事はその例だ。


Billie Eilishを知る上で忘れてならないのが、先程も出てきた兄のFINNEASだ。彼はSoundCloud時代から、前述の「bad guy」「burry a friend」が収録されているファーストアルバム『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』に至るまで唯一の音楽的パートナーとして、Billie Eilishの音楽作りに携わっている。レコーディングも自宅のベッドルームで行われているから驚きだ。


そもそもBillie Eilishが注目されるようになったのも、彼が大きく関係している。13歳のときにFINNEASのバンドのために作詞された「oceans eyes」をダンスの先生とシェアするためにSoundCloudにあげたのが彼女のキャリアのはじまりなのだから。一夜にして彼女は世界的ポップスターになり、翌朝起きるとあらゆるレコード会社から連絡が入っていたという。



ティーンエイジャーの気持ちを代弁するアーティスト


SoundCloudに何気なくあげた楽曲がバイラル化し、デビュー前からスターとなったBillie Eilish。彼女の人気の秘密は、なによりティーンの気持ちを代弁しているから。まず、楽曲について見てみよう。ファーストアルバム収録の「bury a friend」。これはぎょっとするタイトルだ。「bury a friend」とは「友達を埋葬する」を意味する。一見、他者への加害性を示しているかに思える。しかし、ここで言う友達とは自己嫌悪や鬱、希死念慮のことを指す。実は、Z世代はこれまでで1番メンタルヘルス問題を抱えている世代と言われている。Billie Eilishは「bury a friend」でそうした若者の不安について巧みに可視化したのだ。さらに「不安を埋めて」と歌うビリーに勇気づけられる若者も多いだろう。


また、もはや定番ソングと化した「bad guy」も若者らしい感性の歌だ。英語圏のラジオ102.7KIISFMの番組内で、「bad guy」の歌詞の意味について語っている。「私を含め、みんなが自分自身のことをひとつのパーソナリティのみで語るのが変だと思ったし、それを面白がるために作った」「誰もあんたはバッド・ガイだって言わない。でもこの曲では誰かがそれを言ってる。誰かは私たちについて歌っているんだよ。「bad guy」とは自分自身、あなたたち自身なんだよ」普段は話にあがることのない、自分や他人の「bad guy」である部分に着目してこの曲をつくったのだ。彼女はそれを気づかせようともしている。なにかを隠そうとしている社会のおかしさに気付いて、それを皮肉に笑うところはまさにティーンエイジャーの感性そのものだ。


それから彼女について語るときに欠かせないのは、彼女のスタイルだろう。彼女はあまり笑わない。そのパブリックイメージについて触れられたときに、女性への笑いなさいという抑圧へのアンチテーゼだと説明した。またオーバーサイズなものを着る、ヒップホップ女性アクト風ストリートスタイルは、ボディシェイミングにあいがちな若い女性としてのバリアだという指摘がある。Billie Eilishはそれを否定し自分の意志だとしつつ、ボディシェイミングへの苦言を呈している。フェミニストであることが普通となったいまの若者と共有する価値観だろう。


また、Z世代は環境問題にも敏感だ。同じくティーンエイジャーの環境活動家・Greta Thunberg(グレタ・トゥーンベリ)の国連でのスピーチが世界に衝撃をもたらしたあと、 『Our House Is On Fire』という動画を公開。動画内で「地球はどんどん暖かくなってる。そんなことを私たちのもとで、許したらだめだよ」と発言。それに続き、2020年のワールドツワーでは地球温暖化に対して行動すると発表した。ポリティカルな問題意識もティーンと共有し、発言しているのだ。



ファンとの親密性をなによりも大事にしている


Billie Eilishが一夜にしてポップスターになってから一貫しているのが、ファンとの絆だ。「自分のことが嫌いなら、これはあなたの曲だよ」とライブ前に述べるビリーはファンとの親密性をなによりも重要視している。ツアーセットも自宅の作業現場であるベッドを模倣して作っており、リアルな姿を作品に持ち込もうとしているのだ。また、ファンと仲良くなり、友達のようでいたいという気持ちは前述の「bury a friend」の歌詞からもわかるだろう。実際、Billie Eilish自身もそれを認めている。彼女は「有名になったのはクソだけど、ファンに出会えたのはとてもよかった」と述べているのだ。


彼女の親密性へのこだわりが顕著に現れたのがファーストアルバムだ。彼女はファーストアルバムで、ドラッグ、精神疾患、自死といったダークな歌を歌いながら、リスナーを落ち込ませたいのではなく、むしろ精神的にハグするためにこのアルバムを作ったと説明している。特にドラッグはいまのアメリカのティーンエイジャーにとって大きな脅威だ。ファーストアルバムに収録されている「ilomilo」では、ストレートに「これ以上友達を失いたくない」と歌う。ファーストアルバムの最後の3曲は 「listen before I go」「I love you」「goodbye」。「私が行ってしまう前に聞いて。大好き。ばいばい」このメッセージはファンに直接的に向けられたものだ。


ティーンエイジャーのアイコンとして時代の寵児となったBillie Eilish。若くしてポップスターとなったビリーは、これからどのようなさらなる活躍を見せてくれるのだろうか。




written by 編集部


photo: https://www.facebook.com/pg/billieeilish/photos/?ref=page_internal


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