5年ぶりにアップデート。最新版「Ableton Live 10」、ここがすごかった! ポップなデザイン、録音していないフレーズも再現

2013年に前バージョンが発売されて以来、約5年ぶりのメジャーアップデートバージョンがついに発売された。その実際の使用感は?
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2018.02.07 02:15

音楽機材メーカーのAbletonが開発し、世界中のDJ/プロデューサー/トラックメイカーから支持される人気音楽制作ソフト「Ableton Live」が最新版「Ableton Live 10」をついにリリースした。


約5年ぶりのメジャーアップデート版「Live 10」ついに発売


Ableton Liveは、音楽制作に興味があり、趣味としてDTMを楽しんでいる人はもちろん、Skrillexのような世界の有名音楽プロデューサーたちもこぞって使用しているため、現在の音楽業界にとってはなくてはならないツールの1つだ。


そんなLiveの前バージョンのAbleton Live 9は、2013年に発売されて以降、何度かのマイナーアップデートはあったものの、メジャーアップデート版のリリースは約5年ぶり。それだけに昨年、ついにLive 10がリリースされるというニュースが報じられた時には胸踊る感じになったという人は少なくないはず。


そこで今回は、リリース前から発表されていた注目のLive 10の新機能のうち、特に気になっていた部分を実際に使ってみた感想をレビューしてみたい。


カラフルでポップなデザインが目を引く操作画面


Live 10では、まず目に付くのが操作画面のグラフィックがポップなデザインに進化したことだ。細かいところで言えば、これまでとは表示する文字のフォントが変わったなどが挙げられるが、最大のデザイン面の進化はアレンジメントビューにあると思う。この部分についてももちろん、Live 10発表時にお気づきかと思うが、実際に使ってみて、これまでのバージョンに比べて各トラックごとのオーディオやMIDIクリップもカラフルでめちゃくちゃ見やすい。




また各トラックのボリューム、エフェクトの調整をあらかじめ設定し、トラック再生時に自動化できるオートメーションを書く際はクリップの色が淡く変化し、視認作業がやりやすくなるところもニクい。そのため視覚的にもアレンジメントの編集作業がやりやすくなったと感じた。




Liveのアレンジメントビューはこれまでどちらかというとほかの音楽制作ソフトに比べシンプルであっさりしたイメージがあったが、Live 10では、まずここの変化が改めて新バージョンが発売されたんだな〜と感じさせてくれる。


新シンセ「Wavetable」の直感的な使用具合


今回のアップデートで新たに加わったのが「Wavetable」という付属のシンセだ。これは簡単に説明すると様々な音の波形から構成されるもので、組み合わせや設定次第では無限に自分だけの音が作れるのがポイント。ただ、ある程度音楽制作になれた人ならかなり自在に使いこなせると思うが、初心者が直感的に使えるのかどうかという点は気になっていた。というのも、先述のとおり、Liveは業界の有名プロデューサーがプロの現場でも使う一方、初めて音楽制作をやってみたいと思った人が最初に購入することも多いからだ。






しかし、Wavetable自体にはベース、ギター、シンセリード、パッドなど即戦力になるプリセットも多かった。実際、最初から音作りを始めなくてもプリセットの波形やフィルターの設定をいじるだけで非常に個性的な音作りが可能だというのが触ってみての感想。なので初心者の人はまずはプリセットを自分好みにカスタマイズしながら、Wavetableに慣れていくのが良いのではないだろうか。


個人的に楽しみなのは、今後Wavetableを使ってトレンドの音を再現したり、自分だけのヤバいサウンドを作る中上級者が出現するであろうこと。自由度はめちゃくちゃ高く、音の性能も申し分ないと感じているので、これは使い倒してマスターする価値あり!


Echo、Pedal、Drum Bussの新エフェクトの感触


Live 10では新たにEcho、Drum Buss、Pedalという新エフェクト3種が追加されているのも発売前から気になっていた点。Echoは、アナログとデジタルのハードウェア・ディレイをこれのみで再現できるのが魅力的な点。特にヴィンテージ系機材にあるような揺れやノイズまできっちり再現してくれるところは個人的には激アツ。これもプリセットが超心強いのがありがたいところ。一方、Pedalは、歪みや温かみを与えてくれるギターエフェクトを回路レベルまでモデリングしたエフェクトだ。試しにギター音色にかけてみたが効き具合はバッチリ。シンセリードにかけてもダイナミックさが増すので、攻撃的なエレクトロ系の曲を作る場合は心強いと感じた。




そして新エフェクトで1番イケてると感じたのが、Drum Buss。これには劇的にドラムパートの音を変化させてくれることを実感。特にバスドラムをガツンとパンチの効いた音にしたいと思いながら、あれこれエフェクトをかけたり、シンセの設定をこれまでいじってはいるものの上手くいかないという人は是非試してほしい。Raw Houseのようなバスドラムが太く効いたものからTrapのようなズーンと響く超低音ドラムの音作り是非。


録音していない時に弾いたフレーズをキャプチャーできるCaptureの再現度


そして、Live 10の新機能としては1番気になっていたのがレコーディングしていない時に弾いたフレーズでもキャプチャーし、それをデータ化、再現できるCaptureという機能。これは本当にすごい。普通、音楽制作ソフトで手弾きで何らかのパートのフレーズを作る場合、録音ボタンを押して、メトロームやビートに合わせてレコーディングするのだが、実際に弾く時にはその事前練習の方が上手く弾けたりすることは多々あると思う。そんなレコーディング前の良かったテイクを自動でキャプチャーしてくれるという点は本当に素晴らしい。


ただ、気になっていたのはその再現具合。試しに下の画像のようにかなりランダムにキーボードを弾いてみたところ、それでも忠実に再現、データ化してくれた。フレーズのアイデアのラフスケッチを後からMIDIデータとして呼び出せるのはマジで画期的だしありがたい部分だ。これに関しては実際に使って体験してみるのがベスト。絶対最初、その便利さにマジかよ? って驚くことになるはず。




ちなみにこちら、自分が打ち込みたい楽器パートを録音待機状態にしておくだけで自動でキャプチャー開始。最初どうやってこの機能をスタートさせるかよくわからなかったので、参考までに一言付け加えておくよ。


中上級者向けの痒い所に手が届く的な機能も充実


そのほかにもこれまでのLiveにもあった複数の楽器パートをひとまとめにできる「グループ」の中に別のグループを作成、複数のMIDIデータを1つのクリップでまとめて編集、30HzだったEQ 8の周波数レンジが10Hzまで広がったことでより超低音を追求できるなど中上級者が求める痒い所に手が届く実用的な機能が追加されている。




そして、お気に入りの音色などをタグ付けし「コレクション」として管理できるところも作業の効率化を測る上では心強い。


またこのバージョンからはMax for Liveと完全統合したことでこれまで以上に安定して使えるようになるだけでなく、マルチチャンネルオーディオにも対応するようになった。さらにLiveと連動させることができるハードウエアのPushもアップデート。特にPush 2では画面のグラフィックや操作性が向上するなど、音楽制作の現場でこれまで以上に活躍してくれそうだ。


このレビューを読んでLive 10について、もっと詳しく知りたくなった人はAbletonの公式サイトをチェックしてみよう!


参考:

https://www.ableton.com/ja/live/


Written by Jun Fukunaga

Photo: Ableton

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