「Skrillex」来日、DJ視点で表舞台では見せないクリエイターの実像を追ってみた。TJO語る

突如来日を果たしたSkrillex。一般人には見えない彼の素顔やアーティストとしての側面を共演者であるTJOが回顧
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2018.01.26 02:01

OWSLAとBrownies & Lemonadeによるポップアップストアのアフターパーティーとして12月27日に渋谷WOMB、28、29日に京都WORLDで開催され、その三日間共に彼はDJとして出演。秋以降から東京や京都でSkrillexの目撃談はあったもののDJを行うのはULTRA JAPAN 2015での来日以来。しかも世界でもなかなか見れないクラブDJという貴重な公演にファンは殺到した。

僕は12月29日に京都WORLDで行われた公演に参加した。オープンからの2時間セットの終わりの時点ですでにWORLDのメインフロアはほぼ埋まっていて、プレイする曲への反応も含めて、そこに集まった人々の期待感と音楽へのアンテナ感度の高さに驚かされた。CRAYやPoint PointのDJを挟んで、Skrillexのプレイは前日と同じ2:00〜4:30という長めにセットタイム。自身の楽曲をたっぷりと織り交ぜながらもクラブでしか聞けないVIPバージョンやヒップホップ、Bass Musicも多数投下し、2時間フロアはダレることなくハイテンションで盛り上がった。正直あんなにオーディエンスのいるWORLDのフロアは過去に見たことがなかった(いつもならお客さんが休憩がてら談笑している廊下に1人もいなかったぐらい)。


3日間同じスタイルのミックスがない



彼が何をプレイしたかは「1001Trackliast」を参考にしてもらうとして、 一番驚いたのは、三日間連続で通っていた友人曰く「この三日間どれも同じ流れのプレイをしていない」という事。これだけの忙しさとギグの数をこなすアーティストなら少なからず定番の流れとかもあるはずなのに、3回ともその日の雰囲気で流れを変えているとの事。


https://www.1001tracklists.com/tracklist/pl31pwt/skrillex-at-owsla-x-brownies-and-lemonade-pop-up-kyoto-japan-2017-12-28.html


この日オモシロかったのは、4:30までのプレイ時間だったはずが4時過ぎで会場のテンションが最高潮に上がり、その熱量に合わせるようにCinemaのVIPバージョンを投下。会場の大合唱とSkrillexからの感謝のMCを経て、まさか?と思ったらそのままDJ終了。あれ?と思ったけど、Skrillexはじめブースにいたクルー達がハグし合っての「やり切ったよ!」感が凄かったから、これがこれで美しい締めだったなと思ったのはいいけど、その後にプレイするはずだったクルーのDJまで全員が一緒に会場を出てしまい、満員のフロアは無音に包まれたまま。WORLDの店長はじめ、スタッフも呆気にとられる展開に。結局そのままクルーの誰も戻って来ず。結局、WORLDオーナー中本氏と店長本多氏のマイクアナウンスで、フロアに残ったお客さんにテキーラショットが振る舞われ一本締めで終わるという、これまたなかなか見ない終わり方で斬新だった。


楽屋でのSkrillex


楽屋に戻ると、もう帰ったかな〜と思っていたSkrillex御一行はそのまままだ揃っていた。普段は置いてないDJブース一式も置いてあり、クルーと日本人の関係者で打ち上げが行われていた。DJはクルーの女性DJ(誰かは分からず)がヒップホップをガシガシかけていて、みんな楽しそうに横揺れ。その中でSkrillexは関係者との挨拶やクルーと談笑。あれだけの激しいDJが終わった後にも関わらず(しかも三日連続)疲れた顔を見せず、始終穏やかな顔で仲間達と楽しそうに過ごしている。そして仲間達も彼に必要以上に気を使うわけでもなく、とてもリラックスした雰囲気があり、Skrillexの人柄と彼らクルーとの信頼関係がこの短時間でも見えてきた。


打ち上げはまだまだ終わらず。5時過ぎた頃におもむろにDJをはじめるSkrillex。前の女性DJのグルーヴを引き継ぎながらアメリカ産のヒップホップ〜TRAPをプレイ。SkrillexのDJと共に楽屋のテンションも再加熱。そこからが凄かった。


一つのジャンルでは物足りないと言わんばかりにラガMCをfeat.したヒップホップからルーツレゲエ〜そしてダブな雰囲気を受け継ぎながらDub Phizixのクラシック・ドラムンベース「Marka」をプレイ。


   



ドラムンベースまでかけると思わなかったから僕も思わずブースまで身を乗り出して激踊りした。その時ふと冷静になって「あれ?Skrillexの手元?こんな近くで見れる事ある?いやないわ!」って、さっきまで当たり前だと思っていた状況のレアさ、スゴさに熱くなってしまった。その後もテンション下げる事なく、Justiceの「Waters Of Nazareth」のエレクトロ・クラシックな流れに、そして唐突にToto「Africa」に行ったりして、それが皆のダンスの足を止める事なく気持ちの良い横揺れタイムに消化して、ダフト・パンク「One More Time」なんてベタな曲にまで行くと思ったらそれまた(Ricky West Flip)というどこかSkrillexのプレイしそうなベース感のあるカットアップ・リミックスVer.で、ちょっとした発見や新しい刺激をこの打ち上げ会場のDJでも与えてくれるというエンターテイメントぶり。


 


 

そして酒も踊りも止まらない中で投下されたのがフレンチ・ロックバンドPhoenix。ロックまでかけるのかよ〜憎いよ〜スクリ〜なんて思いながら身体は揺れ続ける。時間にしてもう2時間近く経ってるのにまだ終わらない。途中途中繋がなかったりもするのになんか彼の楽しそうにやってるグルーヴに引っ張られるというか。さっきのメインフロアでのプレイと同じで「この人ホントに身体の底から音楽が好きなんだな〜」ってのが伝わるDJで見てるこっちまで楽しくなる。 

 
他にもQrionの『iPhone Bubbling』や、さらにはAphex Twin「Windowlicker」からOrbital「Halcyon」とテクノまで縦横無尽な選曲にもほどがある、そして余りある体力にもほどがあるだろ、と嬉しいツッコミをしたくなるレベル。時計を見えるとすでに朝の8時30分越え。


 


尽きない体力と音楽へのアイデア

この人東京〜京都のスリーデイズDJした上に、渋谷のWOMBでは4時過ぎに楽屋でもアフターDJして、京都でも昼には観光してて、そんな体力どこにあるの?!というレベルのスゴさ。1流のアーティストは体力もないとダメなのね、なんて勝手な思いを胸に体力限界だった自分は8時30過ぎに一足早く退散。後で聞いたら9時近くまでやっていたらしい。本番と合わせると2時間+4時間=6時間!


とにかく彼のDJを見ていて感じたのは、心の底から溢れる音楽愛と無限の体力が本当に尽きないんだな〜って。そして素晴らしい楽曲を生み出す才能はもちろんだけど、それ以上に印象的だったのが疲れやイヤな顔一つせず常にリラックスした穏やかな優しい顔していること。他でもアンダーグラウンドなアーティストや彼がコミットしていたDUBSTEPのシーンなどでもあれだけの名声を確立した彼を悪く言う人はほとんどいないんだそう。でもそれも納得できるような気がした。音楽愛、そして人柄、超大物アーティストを前に、当たり前っちゃ当たり前のことを再確認出来た素晴らしい日だった。



written by TJO

image by Skrillex via Facebook

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