耳に嬉しいお年玉。年末年始にリリースされたPUNPEE、釈迦坊主らの新作をチェック

釈迦坊主、PUNPEE、SKOLOR、lil beamz、Moment Joon、注目アーティストたちのMV・EP・新譜は聴き逃し厳禁。
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2020.01.06 08:00

written by TOMIO


あけましておめでとうございます。お正月休みとはいえ、アーティストの皆さんは年末年始に合わせて作品リリースすることも多いですね。出先や帰省先で新作が聴けるのはありがたいです。年末年始にリリースされた個人的に注目の、国内を拠点に活動するアーティストの音源やMVをピックアップしました。





釈迦坊主、PUNPEE、SKOLOR、lil beamz、Moment Joon、年末年始にリリースされた注目アーティストの新作をチェック



精神世界からあけおめ:釈迦坊主/NAGOMI EP+Light MV


渋谷VISIONで行われた、年末の「trackmaker」でも圧倒的な存在感を示していた釈迦坊主。予告通りに新たな6曲入りのEP「NAGOMI」をリリース。かねてよりオカルトチックでありながら、ゲームなどサブカル要素を織り交ぜて洗練されたサウンドとラップを構築し展開する釈迦坊主。インドへの旅でさらにそのクリエイティビティが深化。スピリチュアルトラップとでも形容すべきか、無国籍で無秩序なオカルトサウンドがパワーアップして、混沌とした世界観を炸裂させている。スピリチュアルに振り切るわけでなく、ちゃんと踊れる、ライヴでノれる強度を持っているところが、釈迦坊主楽曲のすごいところ。Dogwoods&OKBOYも参加。最後に収録されたレイヴィーな「Alpha」の気持ち良さは異常。「NAGOMI」リリースの翌日にはシングル「Light」をリリース・MVを公開しており、Tohjiら注目アーティストが出演する1月7日開催の自主企画イベント「TOKIO SHAMAN」に向け準備万端の模様。


 

 


ブーンバップ? この人たち、ずーっとやってる:PUNPEE/Pride feat. ISSUGI


大晦日にP様が早めのお年玉をドロップ。『MODERN TIMES』収録、ISSUGIをフィーチャーした「Pride」のMVが公開となった。アルバム中でも特に近年話題のブーンバップ色強め、オーセンティックなトラックに乗せ、ガチガチの固い韻を踏みまくったPUNPEEとISSUGIのラップがたまらない楽曲。MVもモノクロ仕様。美術に木村カエラ、サカナクションなどのMVに参加したり、ブランドBrain Deadとのコラボコレクションや数々の空間デザイン、作品提供を行っているアートユニット(個人的に大好き、ファン)Magmaが参加しているのもアツい。こういうことやらせたらHIPHOPオタクのPUNPEEに敵うものなし。これを2年前にやってるってこともすごい。今年はThree 6 Mafiaがリユニオンするなんて話もあったり、R&Bの大ネタ使いのリバイバルがヒットしていたりと、2000年代の風はしばらく吹きそうな中で、昨年の5lackの「Grind the Brain」も凄かったし、板橋の高田兄弟が好きでやりたいことやってるのが時代の真ん中にズドンと着弾する感じ、痛快。








クールなものにしか「興味ないね」:SKOLOR/MATERIA EP


韓国と日本、2拠点で活動する気鋭のラッパーSKOLOR。年末のイベントで一緒になる機会があったが、好奇心旺盛でカッコイイものには国も言葉も関係ないっていうスタンスが好感持てるアーティストである。そんな彼が新年早々にリリースしたのがこの「MATERIA」EP。すでに自身で第2弾のリリースも示唆している。RPGファンにはお馴染みのこの「MATERIA」というアルバムタイトルが示す通り、SKOLORのクールな感性が凝縮された1枚。韓国の気鋭のプロデューサー/ラッパー、Laptopboyboy/Futuristic SwaverやラッパーRakonを迎え、日本勢からShurkn Papをフィーチャーしたエモチューン「Star Trail」も収録。1曲目の「M21」のMVが公開されているが、交流のあるACE COOLやJinmenusagiと過ごした日本での様子が映し出されている。Post Maloneの「Circles」を彷彿とさせるラストトラック「DRIVE」は冬晴れの爽やかな日にドライヴに出かけたくなる1曲だ。





時をかけるサブカル少年:lil beamz/LIL BEAMZ 1, 0


東京からグローバルに活動する、アート/ミュージック/ファッションのミクスチャーコレクティヴ、tokyovitaminのストーリーにチラっと名前が登場して知ったアーティスト、lil beamz。12月に最新EP「LIL BEAMZ 1, 0」をリリース。四つ打ちのエレクトロトラックでラップする収録曲「MICHIKO LONDON」がカッコ良かったんだけど、1月1日元旦に同EPから「Different world」のMVを公開した。リリース作品のジャケにはアニメキャラクターを落とし込んでいたり、「Different world」のリリックで「時をかける少女」のオマージュや、有名アニメ作品の監督の名前が登場しており、MVでは自身の名前に通ずる有名セレクトショップ前で撮影した映像も。ファッションとサブカル好きなアーティストというのが分かる。群雄割拠のサブカルオタクラップ勢のなかで、頭ひとつ抜け出すことができるのか注目したい。






手のひらを太陽に透かしてみれば:Moment Joon/TENO HIRA


2020年、あなたの日常は希望に満ちあふれていますか? 仲間や恋人、家族とどんちゃん騒ぎ。楽しかった年末年始が終わって、また日常に戻っていく。それも大切なことだけれど、少し1人になって考える時間も必要だったりする。Moment Joonは昨年、自らのルーツ、韓国における南北戦争や今なお続く兵役制度について掘り下げたエッセイ「三代」を発表。文筆家としてデビューを飾った。歯に衣着せない物言いで、社会に対して真っ向から立ち向かう近年希有なアーティストであり、年号が令和へ改元されると同時期に発表された「令和フリースタイル」は衝撃的だった。大晦日に公開された「TENO HIRA」も我々日本人に疑問を投げかける作品である。香港で若者たちが命がけで権力と戦っている姿をよそに、僕らがコタツでぬくぬくと正月気分に浸っている間、世界情勢は大きく動いた。イランとアメリカはいよいよ戦争の様相を呈し、冗談じゃなくこの楽曲の説得力が高まったと言える出来事である。日本とイランは国交があるから仲良しだけど、力を持ったおっかねえ先輩に「お前ら殴り合え」って言われたら殴り合わなきゃいけないなんてのは田舎の中学生でも知っている。つまり他人事じゃないってこと。Moment Joonは昨年、忙しい合間を縫って名もない一介のライターである僕に、会う時間を作ってくれた。取材でも仕事でもないプライベートで。その行動力と誠実さに感銘を受けたことは確かだ。何事にも逃げずに正面から向き合っているのだな、という覚悟すら見てとれた。僕が彼にできることと言えば、こんな文章で楽曲を紹介することくらいしかないのだけれど。憎しみを向けられても「手のひらを見せてよ」と愛で応えようとする姿勢、亡きECDへの感謝が綴られた「TENO HIRA」は、あげあしをとったり人をネタにしてマウントをとったり、憎しみ合うことは簡単だが愛し合うことの難しさが伝わってくる。田我流が「Ride On Time」で歌う「敵は作らずに無敵」という言葉がリフレインする。いつどうなってもおかしくない時代。拳を振り上げて不条理や理不尽に立ち向かうことは必要だ。しかし、振り上げた拳をどう降ろすのかはもっと大切なのかもしれない。家族や仲間、身近な人を大切に、互いに手の平を見せ合って生き抜いていきたい。






Photo:Twitter/@shakaboo2,Twitter/@SUMMIT_info,Twitter/@MOMENT_JOON,Instagram/lil_beamz,Instagram/skolor





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