2010年代の音楽シーンを裏で支えた音楽制作ソフトウェア

振り返ってみるとDAW, プラグインを無くして成立しない曲が圧倒的に多かった2010年代。
SHARE
2019.12.30 10:00

10’sの音楽シーンではチャートソングからアンダーグラウンドなクラブヒットに至るまで、ベッドルームプロデューサーと呼ばれるクリエイター達が自宅のパソコン一台で制作した楽曲が、当たり前に聴かれるようになった。

DAWと呼ばれる音楽制作ソフトウェアと、DAW上で動作するソフトウェアシンセやプラグインエフェクトは10年代サウンドのコアの部分を担っている。当記事では10’s音楽シーンを成立させる上で外せないソフトウェアをまとめてみた。





1. FL Studio


EDM, Dubstep, TrapなどからボカロPまで、10’sを代表する音楽ジャンルにおいて、多くのトップ・クリエイターが使用しているDAW。それまではマイナーなDAWの一つと言う印象だったが、BPM140を中心とした10年代のポップチャートの大半はこのFLスタジオで作られたと言っても過言ではないだろう。初心者でもなんとなく作れてしまうビートの打ち込みのやりやすさや、デフォルトで入ってるシンセ、エフェクト類の使い勝手の良さ、永久に無償でのアップグレードシステムなど、人気となった要素はいくつかあると言われている。おそらくメーカー側でもここまでの人気となることは予想できなかったのではないだろうか。




2. Auto-tune


日本でもPerfumeのヒットにより一気に知名度があがり、ボーカルエフェクトの代名詞のようになっているが、本来は音痴の修正のためのソフト。だったのだが、極端な修正をかけたときに発生するいわゆるケロケロボイスが、10年代のシンセを中心に構築された音楽と最高の相性を見せ、EDMなど洋楽はもちろん国内でもHIP HOPからJ-POPまで幅広いジャンルで使用されている。流石に人気は落ち着きつつあるものの、一過性のブームで終わる気配はなく、もはや楽器の1つかのごとく完全な市民権を得ている。




3-MASSIVE, Sylenth1などのバーチャルアナログ/ウェーブテーブル・ソフトウェアシンセ


ソフトウェアシンセについては他にもあげるべきシンセはあるが、ともかくソフトウェアならではのサウンドの自由度や、複雑な動きのあるサウンドも簡単な操作で作ることできるよう操作性が進化したことが、10’sサウンドに影響を与えている。


4-808


90〜00年代でもヒップホップやドラムンベースでは使われていた手法だが、808のバスドラム、もしくはそれっぽいサウンドをサブベースのように使用する手法も2010年代ではポップチャートからクラブミュージックまで広く使われるようになった。


5-Waves L2 L3などマスタリングリミッター


2000年代中頃よりプラグインのマスタリング用リミッターの性能は日に日に高くなり、ぱっと聴いただけでは歪みを感じさせることなく、どんどん音圧を詰めることができるようになった。高性能なリミッターを使うと音圧をあげてもひずみを感じないので、ギリギリまで音圧を上げて派手に聴かせようとする、いわゆるラウドネス戦争という現象もおこり、一時期は音圧をあげることへの批判も多かった。それでもプラグインでギチっと詰められた音圧感のあるサウンドは10’s音楽シーンを象徴するものとして外せないだろう。


最近では音楽サブスクリプションでのラウドネス基準の普及とともに、音圧戦争は鎮圧されているが、マスタリングリミッターを使わなくなる気配は全くない。

CDの人気が高いためか、日本の音楽シーンでは今も音圧の高い音源は多く、J-POPは世界的にもラウドネス値が高いジャンルとなっている。




こうしてみると、改めて10年代の音楽シーンはソフトウェアの存在なくして成立しなかった部分が大きい。

おそらく20年代は高機能化したタブレットやスマホを中心に、小さめの音楽ガジェットを組み合わせた制作スタイルがさらに普及するだろう。すでにグラミー受賞者でスマホのみというプロデューサーは出ているし、音楽サブスクリプションサービスでリリースする若手アーティストの多くが、スマホのみという環境のクリエイターが増えている。そして30年代にはアレクサ(実体化してる)に命令すれば曲が作れるようになってると思う。40年代にはアレクサが人間動物園を作り、ペット人間に音楽の演奏などの曲芸をやらせて楽しんでいるのかもしれない。いまからアレクサには優しくしておこう。カモン!デジタルネイティブ世代。


written by Yui Tamura


photo:

https://www.image-line.com/flstudio/





SHARE