新たな発想を取り入れ躍進。2010年代に活躍した音楽制作ハードウェアメーカー

新しく刺激的な試みを取り入れたテン年代機材の面白さをまとめて紹介。
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2019.12.30 08:00

00年代はDAWやプラグインなど、パソコンのソフトでの音楽制作環境が進化し、10年代に入るころにはパソコンのソフトだけで完結した楽曲がトップチャートの大半を占めるようになった。そのころにはDAWソフトは成熟期に入っており、機能面では何をするにも困ることがないレベルに高機能化している。一方で、10年代のハードウェアはそれまでに見たことのなかったアイディアが、目立つようになってきた。用途は不明でもとりあえず欲しくなってしまう音楽ガジェット、より高度にコントロールできるMIDIコントローラーや、全く新しい方法で演奏ができるシンセサイザーなど、刺激的で新しいアプローチが多く見られたように思う。本記事ではそんなテン年代に活躍したハードウェアメーカーをまとめて紹介する。





Korg


MIDIコントローラーの小型化やシンセサイザーのガジェット化など、Korgはテン年代ハードウェアシーンに一つの流れを作ったといっても過言ではないだろう。もともとハードウェアのメーカーとして他社とは少し違ったアプローチを得意としていたメーカーだが、10年代は特にその方向性がマーケットにはまり、小型コントローラーのnanoシリーズや、シンセガジェットのmonotronシリーズ、volcaシリーズはテン年代シーンに大きな影響を与えている。




Novation


64パッドと言う新たなドラムパッドのカテゴリを作り出し、フィンガードラマのシーンも大きく盛り上げた。ドラムパッドをそのままAbleton Liveのループシーケンサーにしてしまうと言う発想も新しく、Ableton純正を含め多くの派生製品が生まれた。




Teenage Engineering


DAWがより自由に無制限に制作ができる環境へと進化を遂げる中、ハードウェアの制限のある世界で可能性を見つける楽しさを再認識させてくれたのが、この新興ブランドでは無いだろうか。Korgのガジェット製品直系の小型ながらDAWにはない魅力の詰まったシンセサイザーOP-1やPOシリーズ以後、小型シンセのシーンはこれまでにないほど自由な発想の面白い製品が増えていったように思う。




ROLI


新感覚の演奏表現を実現するSeaboardのリリースで、クリエイターだけでなく多くの機材メーカーへも影響を与えたのではないだろうか。もう進化できる余地はないと思って言われていたキーボードの演奏表現に大きな改革をもたらした功績は大きい。Future Bassや○○wave系など、シンセのピッチが揺らめくような演奏表現には最適なハードウェア。




BEHRINGER


安価ながらクオリティーの高いPA機器や録音機器類で知られていたBEHRINGERが、10年代後半に入りまさかの方向に突き進みだした。高級すぎて入手することが難しく「一部の人たちのもの」という印象だった808などのヴィンテージ機材の完全なアナログクローンを突如発表し、ここ数年で一気にクリエイターの最注目ブランドとなった。クローン機器について賛否があるとは思うが、毎回単純なクローンではなく少しのヒネリが加わっているうえ、独自のシンセもリリースしている。ここまで徹底して低価格・高品質なクローンを大量に出し続けていると、否定派でさえも「あ、、これもクローン作るの?」と気になり始めているのではないだろうか。スピーディな開発を裏で支える開発チームも積極的に人材募集し、世界各地に開発の環境を整え、2019年に入ってからは更に凄まじい勢いでクローンをリリースし続けている。2020年代にはさらなる驚きを提供してくれそうだ。




Expressive E


先日紹介した2020発売予定の鍵盤Osmoseも気になるフランスのExpressive E。擦ったり揺らしたりと言うアコースティック楽器の演奏手法を彷彿とさせる表現を、全く新しく不思議なコントローラーTouchéでMIDI化してしまった。一見すると革靴職人が使っている靴の型にも似た用途もよくわからない機材だが、デモ映像で使いこなしている演奏家をみると「ああ~なるほど!」となるMIDI鍵盤の機能を拡張してしまうような新しい発想の機材。このメーカーからはまだまだ楽器の演奏自体を進化させてしまうような新しい発明が飛び出してきそうなので目が離せない。





written by Yui Tamura

photo:

https://www.youtube.com/watch?v=p0BHLMPRyro




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