Dos Monosの3人がblock.fm『TOKYO BUG STORY』の中で2020年ベスト楽曲を発表していました。
番組情報
▶「TOKYO BUG STORY」
放送日:毎月第4木曜日 21:00 - 22:00 O.A.
番組URL : https://block.fm/radios/728
荘子it:俺、『インディラップ・アーカイヴ』っていう最近出た本……荏開津広さんが関わっているやつ。Genaktionっていう人が責任編集なんだけども。1991年から2020年までのアングラヒップホップに限定したディスクガイドになっているんだけども。これ、めちゃめちゃ勉強になるというか。全然聞いてなかったやつがいっぱいあるし。
没:めっちゃナード道を行っているな(笑)。アニメを見てその本を読んでって、めちゃめちゃオタクじゃん(笑)。
荘子it:もしかして、エアロスミス化している?(笑)。でも、これはやっぱりいいよ。Dos Monosの発生を支えているのってまさにこういう文化なわけじゃない? インディラップ文化っていうかさ。やっぱり大学時代にそのへんをめちゃめちゃ掘って聞いていたっていうのが大本になっているわけだから。それを再度見直す意味で……だし、見直すだけじゃなく、普通に聞いていなかったやつ、いっぱいあるから。これは素晴らしいなって思って。それでついさっきまで、この収録始まる前までもね、今もたぶん同時に走っているんだけども。YouTube上でダースレイダーさんと荏開津広さんとGenaktionさんでそのインディラップを語り尽くすみたいな。
没:ああ、今日やっているんだ。
荘子it:今、やっている。ついさっきまで見ていて。アーカイブっていうか、ちょっとYouTubeって戻れるじゃん? だからこの収録が終わったらまた聞くんだけども。
荘子it:だからダースさんの知見はやっぱり広いね。伊達にダーミヤと話していないよ(笑)。
TaiTan:コロナ初期はよく見てたね。ダースレイダー×ダーミヤ。
荘子it:ああ、『100分de宮台』ね(笑)。
TaiTan:突然切れるダーミヤが面白くてね(笑)。
荘子it:あれさ、もう伝統芸能化してて面白いんだよね(笑)。
TaiTan:嫌な気持ちにすらならないよね(笑)。歌舞伎の中村屋くらいのノリだよね。「クズなんですよ!」って(笑)。
荘子it:で、そんな感じでインディラップをすごく聞いているから新譜よりも……っていう感じで。
TaiTan:じゃあ、没のベストは? 没、すごかったよね。だってこの間、没にソロの出演オファーが来ていたもんね。年間ベストの。
没:あれはネタっしょ?
荘子it:いやいや、じゃなくて普通にそれこそヒップホップの話を……。
没:いや、別に俺、知らないよ。今年のヒップホップとか全然知らないよ。
TaiTan:なるほど、そうか。まあ、ラップに限らず……。
没:あんまり聞いてないからね。
荘子it:とりあえず俺は、さっきは華麗にスルーしちゃったけどさ。今年の年間ベストとかに選んでいるヒップホップ曲で言うと、Westside Gunnのあのアルバムの曲、やっぱりすげえ好きなんだよね。『Frank Murphy』っていう。
没:かけてこうよ。全部はちょっと長いけど。
荘子it:そうね。じゃあ、あれを流しながらしゃべろう。『Who Made the Sunshine』っていうアルバム。Westside Gunn、めっちゃ出しているんだけども。
没:アルバムだけでも2枚、出しているね。それにミックステープでプラス2枚みたいな。
荘子it:この『Who Made the Sunshine』が一応最新かな? ちょっとFebbの『THE SEASON』だっけ? あれを思わせるような手描きの……。
没:あれ、自分の子供が描いたジャケなんだよね。
荘子it:そうそう。でも、ちょっと猟奇的な感じもして。
没:血が塗ってあるんだよね(笑)。
荘子it:これ、いいよね。このジャケは……もうこの時点で傑作なんだけど。まあアルバムがどうとかっていうよりおも、曲の1個1個がゴボゴボとある感じだから。俺も本当、この『Frank Murphy』っていう曲がめっちゃ好きなんですけども。これを聞いてほしいですね。人の名前も全部読み上げているとちょっと大変なのでまとめちゃうと、Westside Gunnの『Frank Murphy』です。
荘子it:で、ビートが全然ないタイプのラップ曲っていうのが割と最近来ててね。ビートがあるっちゃあるんだけど、上モノに残っているカスカスのビートがあるだけで。ほとんどキックとかスネアとかもあんまり足さないみたいな。だからブーンバップともトラップとも全然違う感じの……まあ、ノリとしてはちょっとトラップに近いというか。トラップはだからめちゃくちゃビートが効いているけどさ。要はあれって全部ビートのノリが一緒だから。グリッジ上に沿ったチキチキチキチキ……っていうやつは。だから、ある意味ビートはあってもなくてもいいようなところに行ってると思う……というか、行ききっちゃっているっていう。
没:最近、そういうの結構多いよね。
荘子it:だから、たぶんそれの流れで出てきてるノリっていうか。まあより先鋭的なのはアールとか毎回やっているのもそういう感じだけど。そうでなくても、まさにトラップの中でもほとんどビートがないようなやつが出てきたりとか。ビートが行くところまで行っちゃったからっていうのがある中で、『Frank Murphy』は結構その中でも最有力っていうか。まあフニャフニャの上モノの上でずっと8分間、マイクリレーしてるだけの曲なんだけど。まあこれが本当に素晴らしいエポックな作品じゃないかなと。単曲だけど思いましたね。
没:荘子itがこれを挙げてのがすごいいいですね。
荘子it:おっ(笑)。ありがとうございます(笑)。
没:『Dos Siki』とは真逆ぐらいじゃん。
荘子it:そうだね。
没:一ネタで……下手したらレイヤーもしてないみたいな。
荘子it:そうだね。そうそう。『Dos Siki』なんかはすごいチャカチャカチャカと行くからね。だからそのジョン・オズワルドみたいな……最近、M-1を見たらオズワルドっていうのが……。
没:ジョン・オズワルド、聞いてるの?
荘子it:ジョン・オズワルドをちょうど聞いていたらM-1でオズワルドっていう芸人が出てきてさ。それが本当に面白かったんだよね(笑)。
没:本当にそのタイミングで出てきたの?
荘子it:いや、その「ジョン・オズワルドを聞いてるな」って自分の中で自意識が芽生えていた時にオズワルドが……M-1に出ていたオズワルド、知らない? TaiTanは知っているでしょう?
TaiTan:もちろん。伊藤沙莉のお兄ちゃんですよね。
荘子it:あ、そうなの? それは全然知らなかったけども。オズワルド、結構面白くなかった?
TaiTan:俺は全然好きですよ。オズワルド。
荘子it:そうそう。普通に好きだよね。俺ら的なセンスっていうか。もちろん普通に面白いんだけども。まあ、M-1に出るのがすげえ新しいものかっていうと、ジョン・オズワルド自体がそういう人でさ。完全にコラージュだけの音楽なんだよね。で、しかも93年に代表作みたいなのを出していて。「俺らの生まれ年じゃん」みたいな。生まれた時からすでに新しいものがなかったみたいな。そういうことに思いを馳せながら「オズワルド、いいな」みたいな。
TaiTan:なるほどね(笑)。
没:でも、かなりヤバいよね。センスが。しかも、かなり有名な曲をめっちゃバラバラにするっていうか。
荘子it:ねえ。だからDos Monosに近いよね。
TaiTan:なるほどね。じゃあ、没は?
没:俺の今年のベスト? いや、全然本当に新しいやつを聞いてなかったんだけども。今年の最初の方に出ていた100 gecsっていう。その『ringtone (remix)』ですね。リミックスアルバムを出していて、その中の1曲で。Charli XCXとRico NastyとKero Kero Bonitoとやっているやつがあるんだけど。それがめっちゃよかったからかけようかな。100 gecsの『ringtone (remix)』です。
没:そうそう。今年、あんまり繰り返し聞けたポップソングがなくて。その中ではなんかこれはやっぱりすごい曲としてもいいし。女性ボーカリスト3人が、音はめっちゃハイパーなんだけど。その中で声が際どくてめっちゃよかった。1人で寂しい時期にめっちゃ聞いてましたね。
荘子it:まあ、元気が出る女性ボーカル曲といったら、没のお気に入りの070 Shakeも……。
没:そうそう。それもあるね。
荘子it:あれもね、やっぱり声がキラキラでね。
没:『Guilty Conscience』とか。そう。やっぱりそこらへんを聞いていたね。
荘子it:『Guilty Conscience』もあの『Estrus』のリリックで引用までしていたからね。まあ、書いたのは俺だけど。
没:ああ、そうだ。それ、そこからの引用だったの?
荘子it:そう。まあ、バズワードとしては。出どころはそこでしょう。
没:というか、バズったのか、あれ?(笑)。まあ、そういうのも聞いてましたね。でも、今年を総括した時にはあんまりなかったかな? 俺が単純にこもっていただけかもしれないけど。
荘子it:はいはい。でも去年のCaroline Polachekみたいな異様に元気になる曲みたいな。まあ、ある意味ドラッグっていうかさ、そういう曲も……。
没:俺、やっぱりそういうのを挙げちゃうんだよね。そういうので探したらこれになったっていう。まあ、だいぶはじめの方に出てきちゃったけど。去年は、そうだよね。あれを聞いて、しかも外をスキップしながら歩いたりできたわけだからね。
荘子it:俺も『紅蓮華』を聞きながらジャンプして……。
没:そうだよね。ジャンプをして……(笑)。じゃあ、TaiTanはどうですか?
TaiTan:俺もね、本当にない。マジでない。
没:お前が言ったんじゃないかよ(笑)。
TaiTan:ないけど……あれはよかったよ。Saultっていうのかな? ブラックゴスペルみたいな。めっちゃ話題になったやつ。
没:へー。わかんない。
TaiTan:たぶんこれ、ピッチフォークとかでめっちゃ高得点を取った系のやつ。Saultっていう。めっちゃパンチがあるよ。これはね、洋楽っつーか……あんまり海外の音楽に俺はそこまで精通していないけども。これはよく聞いたね。
没:でも、なんだかんだで最新のやつを一番聞いているのはTaiTanだよね。俺、だってSpotifyもやっていないから。
TaiTan:そういうので情報がやっぱり……で、Saultなんて没が知らないっていうのが結構不思議なくらい、めちゃくちゃ話題になってたけどね。でもそれはやっぱり情報の断絶があるんだな。
没:Saultって荘子itも知らないの?
荘子it:知ってる。聞いてる。Son Luxとごっちゃになる。
TaiTan:めっちゃ黒いアルバム。あれはね、聞いてましたね。
荘子it:「Son Luxとごっちゃになる」ってめちゃめちゃ適当な……。いやいや、ジャケのテイストとか評価のされ方とか、似ているなって(笑)。まあ、全然違うんだけどもね(笑)。
TaiTan:じゃあSaultの『Wildfires』です。
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荘子it(MC/トラックメーカー)、TAITAN MAN(MC)、没 a.k.a NGS(MC/DJ)からなる3人組HIP HOPユニット”Dos Monos”による番組『TOKYO BUG STORY』。圧倒的な音楽性の高さと、独自に作り上げた世界観を是非ラジオで体感してほしい。