先月末行われた第60回グラミー賞では、女性の受賞者が少なかったことや、それに関するグラミー賞を主催するグラミー賞を主催するレコーディング・アカデミーの会長の女性蔑視的な発言が問題となり、ネット上では#GrammysSoMaleというハッシュタグとともにこの問題が議論されていた。
それを受けて、EDMシーンのスターDJ/プロデューサーのSteve Aoki(スティーヴ・アオキ)は、Channel 4のインタビューで、EDMシーンにおける男女差別について語り、女性DJにチャンスを与えるべきだという自らの意見を表明した。
これについて、彼の意見を支持するポジティヴな意見がある一方、そう考えているべきならそのチャンスをすぐにでも与えるべきなどの批判的な意見も多く見受けられた。
Steve Aokiの発言を受けて反応した女性DJのLady Faithは、彼への手紙というかたちで自らが考えるシーンの男女平等について提言した。
Lady Faithは、Stevie AokiのEDMシーンにおける男女差別を指摘したことについては感謝は示したものの、、現在の女性DJはスキルも才能も情熱も持っているため、男性たちとも十分に競い合う力を持っている。そのため、男性DJにわざわざ業界内に女性枠を設けてもらう必要はないと自らの持論を持って、彼女にとってはまだまだ女性DJの現状を知らないと捉えられたSteve Aokiの意見に反論。
Photo: Lady Faith Facebook
その上で、この男女差別問題を解決するためには、Stevie Aokiが運営するDim Makのような人気レーベルが、この業界で生きていくことを決意し、努力を重ねている女性DJやプロデューサーたちをサポートするべきだと訴えった。またもし、レーベルオーナーやプロモーターが今の女性DJたちに敬意を払わないままなら、そのような状況を次代を担う女性DJたちが辿りたいと思うのか? とも疑問を投げかけている。そして、最後にSteve Aokiに対して、問題を指摘するなら解決するように実践するべきだと女性DJとしての意見を表明している。
Lady Faithが訴えるように、最近の過剰すぎるとも言えるポリティカルコレクトの流れに沿って、ただ単に業界の女性枠を増やすだけでは、この男女差別問題は解決しないのではないだろうか? 結局は、誰もが納得するクオリティを音源なり、パフォーマンスなりで発揮できる人間を性差に関係なく、レーベルやプロモーター、引いては賞レースの審査員たちが確かな目で精査することが重要だ。
男性が多数を占める業界こそ、そこで努力を重ねる才能があり、彼らにも引けを取らない女性たちをより多く見出し、キャリア形成をサポートしていくことこそが今、女性たちから最も求められていることだ。それだけに今回のSteve Aokiに対するLady Faithの発言からは、競争の厳しいプロの世界で覚悟を決めて戦う彼女のような才能のある女性は、性差に関係なく実力重視の正当な評価体制こそが真の男女平等だと考えていることとともに彼女のプロのDJとしてのプライドも実感できる。
参考:
http://www.youredm.com/2018/02/06/dj-lady-faith-responds-steve-aokis-remarks-gender-equality-edm/
http://www.youredm.com/2018/01/30/steve-aoki-speaks-women-edm-watch/
Written by Jun Fukunaga
Photo: Channel 4 YouTube