80'sカルチャーに影響を受けた新世代ユニット、ORESAMAが語る「今表現したいシティポップ」

シティポップやディスコにルーツを持つユニット、ORESAMAとm-flo☆Takuが対談。影響を受けた音楽から海外での経験まで幅広く語ってもらった。
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2019.09.06 03:00

竹内まりやや山下達郎といった70年〜80年代の「シティポップ」が海外で再評価されていることが、日本でも話題になっている。これは海外に限った話ではなく、80年代の音楽に影響を受けている若手アーティストは日本にもいるのだ。


80'sディスコに現代のエレクトロなエッセンスを加えた音楽を発信する「ORESAMA」という2人組ユニットが今注目を集めている。ディスコ・ファンクをルーツに持つ音楽と、イラストレーターうとまるのアートワークが作り出すORESAMAの世界観が、国内外から評価を集めているのだ。9月12日に開催されるORESAMA主催イベントにm-flo ☆Taku Takahashiがゲスト出演するということで、今回、ORESAMAのメンバーであるぽんと小島英也、そして☆Taku Takahashiによる対談が行われた。


ORESAMA
渋谷から発信する音楽ユニット。 80s‘Discoをエレクトロやファンクミュージックでリメイクしたミュージックを体現。 TVアニメ/CM楽曲起用や、様々なアーティスト声優への楽曲提供、 ボーカル参加等、様々な分野で発信し続ける。
ぽん:可愛らしさと力強い歌声を兼ね備えたボーカリスト
小島英也(こじま ひでや):キャッチーかつ技巧的なポップミュージックを体言するギタリスト兼サウンドクリエイター



「ピチカート・ファイヴにすごく影響を受けている」



☆Taku:今回はイベント『ORESAMA Presents POPUP NIGHT ~DISCO Side~』にお誘いいただき、ありがとうございます。ふたりとお会いするのは今回が初めてなので、いろいろ話ができたらと思ったんですね。ORESAMAには、ナイル・ロジャース的なギターのカッティングやファンクっぽい要素から、80'sの日本のシティポップまでも感じているんですが、ふたりでグループを始めたきっかけを教えていただけますか?


小島:きっかけとしては、僕がいくつかバンドをやっている中にボーカルがいないバンドがひとつあって、ぽんちゃんは歌が上手いという情報を耳にして誘いました。


ぽん:私も一緒に音楽ができる人を探していたので、二つ返事で始まりました。話したのはそのときが初めてだったんですけど。


☆Taku:え? 初めて? 


ぽん:(校舎の)階段の上と下で(笑)。


☆Taku:それはエモい(笑)。どういう音楽をやっていたんですか?


小島:コピーバンドでした。僕が椎名林檎さんが大好きなので、東京事変や林檎さんの曲をやっていました。


☆Taku:そこから今のようなサウンドになるきっかけはあったんですか?


小島:高校卒業と同時にメンバーがバラバラになるのでバンド活動が終わり、上京した僕はひとりで曲を作っていたんです。DTMを使って。でも、自分の声に自信が持てなかったので、ぽんちゃんに「僕が作った曲を歌ってみてくれない?」って声をかけました。その頃ですね、ORESAMAの原型となる曲が生まれたのは。


☆Taku:ぽんさんはどう思われました?


ぽん:今よりも音数は全然少なかったんですけど、メロディがすごく好きだったんですね。なので自然と流れで。




☆Taku:今のORESAMAのサウンドは、ぽんさんとやってみたいサウンドだったんですか?


小島:いえ。僕、ピチカート・ファイヴにすごく影響を受けているんですよ。だから、ああいうサウンドが作ってみたくて。


☆Taku:僕もピチカートマニアなんですが、どのへんの時代ですか? 野宮真貴さんが歌っていた頃?


小島:そうですね。「東京は夜の七時」あたりの曲を聴いていました。ぽんちゃんは可愛らしい歌声もいけるし、歌い上げるのもわりと得意なので、ああいった曲調が合うとも思ったので、(ORESAMAの)原型ができた感じですね。


☆Taku:楽曲のテーマについてなんですが、制作はふたりでディスカッションされてるんですか?


小島:どういう曲にするかという打ち合わせを先にしてから作り始めます。でも、僕が勝手に作ったメロディとトラックをぽんちゃんに送って、それに対して歌詞が入る、ということもまだあります。


ぽん:気に入ったら私から返信が(笑)。


小島:そうなんです(笑)。だから、反応がなかったら「この曲はだめだったんだな」と思って新しいのを作ってまた送ります。


ぽん:最近はあんまりないですけど(笑)。最初の打ち合わせでは歌詞が先か曲が先かも決めますね。


小島:印象に残るキーワードを拾ってサビの頭に持ってきて、それからメロディを作るとか。「サビの頭にこの言葉を入れたいから歌詞を組み替えてくれる?」というやり取りもしながら。





「アニメを通じて海外のリスナーとも通じあえた」


☆Taku:僕が最初にORESAMAを見たのはアートワークからなんですね。うとまるさんの、80’sっぽいテイストが入ったイラストが、ORESAMAという世界観の一部という印象が強くて。


ぽん:ずっと一緒に活動しているアートワークチームから「ORESAMAってアニメーションにしたら面白そうだよね」というアドバイスをいただいたんです。私もすごく80年代、90年代のアニメが好きで、特にいちばん好きな作品が『うる星やつら』だったので、そのあたりがうまくつながっています。


☆Taku:ちなみに『うる星やつら』はリアルタイムではないですよね。どっちかというと高橋留美子作品なら世代的に『犬夜叉』や『らんま1/2』が普通でてくるものだと思うんですが、なぜ『うる星やつら』なんですか?


ぽん:私、友引町の住人になりたいんですよね。ギャグのスケールが大きくてハチャメチャで、自分のちっぽけな悩みがどうでもよくなるんです。あと、女性としての自信みたいなところでラムちゃんにすごく憧れています。ラムちゃんが好きなのであたるくんも好きになって、というくらいに。


☆Taku:ちなみに、あたるくんって実は一度も浮気したことないですよね。


ぽん:成功してないですね(笑)。


☆Taku:本気で浮気する気があるのか疑問ですよね。(女の子の電話)番号は好きだけど(笑)。


ぽん:あたるくんの名言に、「好きな人を好きでいるためにその人から自由でいたいんだよ」というのがあって、私はそれがすごくわかるんです。




☆Taku:それ、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』のセリフですね。僕が多分、人生でいちばん好きな押井(守)作品の。あのループ感がすごくよくて、その影響でループものが好きになったと思ってます。ORESAMAはアニメのタイアップも多いですよね。どういった形のオーダーが多いんですか?


小島:テーマがある中でORESAMAの色も入れてください、というリクエストがほとんどですね。


☆Taku:4月の「OPEN THE WORLDS」は今までよりも生楽器っぽい感じがしました。生のドラムンベースっぽい感じもあるけど、ドラムンベースよりちょっと遅い感じで。




小島:そうですね。ディスコ好きなので、125前後のBPMで楽曲を作ることがほとんどなんですが、オーダーで「疾走感」と言われることが多くて。


☆Taku:リクエストあるあるですね(笑)。


小島:それでテンポがどんどん速くなってくるにつれて、ディスコのアプローチが通用しなくなる瞬間が出てきているんです。その中で新しい表現を模索していて、ひとつ見えてきたのがピアノや生楽器の質感でした。150くらいのテンポになるとファンキーな四つ打ちじゃないドラムになってくるので。


☆Taku:アニソンを作ることが増えて、関連イベントの現場も多くなっていますよね。先日は、シンガポール(「ANIME @ NORTH WEST」)にも行っていましたが、アニメと組むことで世界とつながることができる、と意識したことはありました?


小島:シンガポールでのライブを経て強く実感しました。アニメで分かりあえたような感覚があったので。


ぽん:私はめちゃくちゃ意識していました。やっぱりアニメという間口がなければ、今の私たちはまだ海外ライブができていなかったと思うので。


小島:それに海外でライブをすることで作曲に影響が出ている部分もあって。シンガポールだと、ビートが一定でループしているものが盛り上がるんですが、日本だと起伏が激しい方が盛り上がるとか。日本だとあおらないとクラップしてもらえない曲でも、向こうだと皆でクラップしてくれるとか。そのからくりを意識することで、曲作りや音作りに影響が出てきました。なのでもっと海外へ行って、経験をたくさん積みたいですね。


☆Taku:反対に、アニソンを歌う人というイメージが先行することについての心配はなかったですか?


小島:僕は、アニメソングを作っているという気持ちが薄いんですよね。ORESAMAの新曲をアニメで使っていただいているという感覚が大きくて。ただ、アニメの曲を作ることが増えた今だからこそ、シティポップ&ディスコという原点をフィーチャーしたイベントを一度やりたい気持ちにはなったと思います。



「全盛期のディスコを知らないからこそ、“自由に踊る”体験を」


☆Taku:その「POPUP NIGHT」、僕が出演させていただくのはDISCO Sideなんですが、ふたりの中ではどんな夜にしたいというイメージってありますか?


小島:僕はディスコ全盛の時代に生まれていないので、映像でしか見ていないんですが、あの、皆が自由に踊っているギラギラした空間に憧れがあるんです。だからまずは「踊る」というところを体験できたらいいと思っています。自然に体が揺れるような「踊る」ですね。クラブっぽいライブイベントにしたい気持ちがあります。


ぽん:せっかく、DISCO Side、POP Sideという形で開催するので、アニメから知ってくださった人にORESAMAのディスコやシティポップの面をもっと知ってもらいたいですね。今の自分たちだからこそできるイベントという場所につなげていきたいとは思っています。あと、POP Sideのセットリストは私が決めるんですけど、DISCO Sideは小島くんが決めていて。そういう面でも楽しんでもらえるとは思っています。


☆Taku:嬉しいから聞くんですが、なぜに僕は呼んでもらえたんですか?(笑)。


小島:実は僕がとても尊敬していて。


☆Taku:そんな(笑)。ありがとうございます。


小島:僕が音楽制作を始めようにも何をしたらいいかわからなかったとき、『BEAT SPACE NINE』というアルバムを聴き直しながら「こういうふうに音を組み込んでいくんだ」とか「コード進行はこうなのか」と、音の作り方を学ばせていただいたんです。それと、あのアルバムは("m-flo )loves( Who?”)での2枚目のアルバムで。あれを聴いて、「誰かに歌ってもらえるような曲を作れる人間になればいいんだ」と気が付いたんですね。作曲家として、裏方としての仕事にも力を入れていきたい気持ちがすごく強くなりましたし、そのあと、いろいろな方に曲を書かせてもらえる経験を重ねられたので、きっかけは『BEAT SPACE NINE』だと思っています。それからずっと、尊敬、憧れの方でした。




☆Taku:さっきから僕ばかり質問して答えていただいてますが、僕に聞いてみたいことってあります?


小島:え……、あの、どういう環境で音楽を作っていらっしゃるんですか? スタジオに缶詰なのか、それともスタジオから離れたところで作るのか。


☆Taku:時期によって変わりますが、今はこもりますね。スタジオの小さな部屋にiMacを1個置いて、少しだけアウトボードのサンプラーがあって……。でも、時期によってはカフェにラップトップを持っていって作りますよ。ヘッドホンしながら。知り合いがやっているカフェで朝11時から夜中の1時まで席にいたこともあります。そこで三食食べました。


一同:(笑)。


小島:もうひとつ聞いてもいいですか?


☆Taku:いくつでも(笑)。


小島:ボーカルレコーディングがあまり好きじゃないという話をインタビューで読んだんですが。


☆Taku:そう、あまり好きじゃないですね。しますけど。そこは考え方がふたつあって、アカペラが来た感覚でリミックスするのか、自分が持っていきたいようにディレクションするのか、なんですね。僕はボーカルが自分の中で浮かんだアイデアどおりに歌わなくてもいいと思っていて。違ったものが出てきても面白いから。ボーカル録り、好きですか?


小島:いや、僕も好きではなくて(笑)。


☆Taku:(笑)。それにボーカルレコーディングって、うまくいっているときはふたりともハッピーでも、互いに同じ苦悩を抱え合うじゃないですか(笑)。しかも、そういうときにディレクション側は何もできなくて。大袈裟に言えば、「出産」みたいなんですよね。しかも自分が歌うわけでないんで、なんとかしてあげたくてもなんもできない。そのメンタルのエネルギーから来るダメージが大きいんですよね。


☆Taku:今度はまた僕からの質問です。一緒にDISCO Sideに出るDÉ DÉ MOUSEさんや僕にしてもらいたいことはありますか?


小島:えー……(苦笑)。おこがましいですが……。


☆Taku:ラフな気分でリクエストしてください(笑)。


小島:ORESAMAの楽曲要素をちょっと。


☆Taku:ヘッドライナーの曲はかけないという暗黙の了解があるんですが、いいんですか? かけちゃって。


小島:大丈夫です。むしろありがたいです。


☆Taku:じゃあDÉ DÉさんに伝えておきます。「かけなきゃ小島くんが怒るよ」って(笑)。



【イベント情報】


ORESAMA Presents POPUP NIGHT ~DISCO Side~


■日時:9月12日(木)OPEN 18:30 / START 19:15

■会場:Shibuya WWW X

■出演:ORESAMA / ☆Taku Takahashi (m-flo, block.fm) / DÉ DÉ MOUSE (Trio Disco Session) / MONICO ※ OPENING DJ


ORESAMA Presents POPUP NIGHT ~POP Side~


■日時:9月17日(火)OPEN 18:30 / START 19:15

■会場:TSUTAYA O-WEST

■出演:ORESAMA / エドガー・サリヴァン / kevin from fhána /ASCA


チケット一般発売中

ローチケ https://l-tike.com/oresama/

e+ https://eplus.jp/oresama19/

ぴあ https://w.pia.jp/t/orsm-t/


※両イベントへの参加者には「POPUP NIGHT」限定ステッカープレゼント。


ORESAMA公式サイト:http://www.orsm.jp/



text:清水耕司 Koji Shimizu

photo:塩崎亨 Toru Shiozaki

makeup(Taku):水野明美 Akemi Mizuno



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