冬の街を幻想的に彩る『長崎ランタンフェスティバル』の魅力とは?

極彩色の世界へと誘う『長崎ランタンフェスティバル』
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2020.03.11 06:18

極彩色の世界へと誘う『長崎ランタンフェスティバル』


肌に触れるもの全てをキーンと冷やす冬の夜、長崎の街は華やかであたたかなランタンの灯りに包まれ、至る所に飾り付けられた幻想的なオブジェが道行く人々の目を奪う。長崎の冬の一大風物詩である長崎ランタンフェスティバルの概要と、このイベントの魅力をお伝えしたい。



異国情緒あふれる灯りの波を泳ぐ


そもそも長崎ランタンフェスティバルは、中国でもっとも重要な祝日とされている旧正月を祝う行事の「春節祭」を起源とするものであり、かつては長崎新地中華街のみで開催されていた。しかし1994年にその規模を拡大して以来、毎年約100万人の観光客を集める一大イベントとなったのだ。国内に限らず海外からも人気の高いこのイベントは、中国の旧暦の1月1日(春節)から1月15日(元宵節)を開催期間とされているため、毎年日程に変化はあるものの、1月から2月の間の約2週間、催しを楽しむことができる。


ランタンフェスティバルを心待ちにしている人々の楽しみと言えば、街を煌びやかな光で埋め尽くす数多くのランタン(中国提灯とも呼ばれる)や大小様々なオブジェの鑑賞が最たるものであると言えるだろう。このランタンは、前夜祭の18時に市内中心部で点灯式が行われ、その数およそ15000個の光が一斉に灯り、その瞬間に長崎の街中が極彩色に彩られる。ランタンやオブジェは新地中華街を中心に、他にも唐人屋敷や中央公園、孔子廟など、長崎市内の中心部にあるいくつかの会場に設置されているため、会場ごとにそれぞれ異なる魅力を発見することができるのだ。また、ランタンの設置場所である新地中華街近くの湊公園から中央公園の会場へは、「福」という字が逆さまに書かれている「倒福ランタン」が設置されているため、それを目印に辿れば道に迷うことなく両会場を行き来することも可能だ。長崎へ訪れるのが初めての人でもじゅうぶんに催しを楽しめるように考えられているのである。また、雨天でもランタンは点灯しているため、天候に左右されずに鑑賞することができることも魅力のひとつだと言える。





中国独自の文化に魅せられて


ランタンフェスティバルという名前だけを聞くと、ランタンの光が映える夜の時間帯のみに開催されていると思われてしまいがちだが、実はそうではない。開催期間中は毎日、昼間の時間帯にもイベントが数多く用意されているため、年齢や性別、参加できる時間帯にもとらわれずに楽しむことができる。特に、家族で楽しめるイベントはいくつかあり、スタンプラリーはそのうちのひとつだ。長崎市内中心部の会場を巡って、各所で配布されている用紙にスタンプを集めて応募すると、抽選でプレゼントが当たる。その他にも、子どもと一緒にランタンを手作りすることができるコーナーや、土神堂、天后堂、観音堂、福建会館の四堂を巡り、ロウソクを灯して祈ると願い事が叶うと言われている「ロウソク祈願四堂巡り」など、各会場で多様な企画を楽しめる。


特に土日はイベントが数多く開催されているため、ステージ上でのイベントや路上でのパフォーマンス、ショーの観覧などもランタンフェスティバルの魅力のひとつであると言えるだろう。鎖国時代に中国との交易を唯一許されていた長崎は、文化や宗教などにおいて中国から多大な影響を与えられたため、中国とは歴史的に見ても特に強いつながりを持っている。両国の深い関わりを思わせる伝統芸能や、民族楽器の演奏などのパフォーマンスのレベルの高さを間近で体感することのできるまたとない機会である。極彩色の衣装を纏い、中国独自の打楽器のみで演奏される中国獅子舞や、中国では五穀豊穣を祈る雨乞いの神事だった龍踊り、江戸時代に長崎に入港した唐船の乗組員たちが航海安全の神である媽祖を媽祖堂に安置するに至る行列を忠実に再現した媽祖行列など、日本にはない中国独自の文化や宗教を表現した企画が目白押しだ。





伝統を守り、新しさを取り入れる


中国の伝統的な文化を体感することができるランタンフェスティバルだが、2019年には新しい試みとして、中国の春秋・戦国時代を舞台にしたTVアニメ作品である『キングダム』とコラボレーションした企画を立ち上げている。コラボグッズの販売やアニメのキャラクターを用いた手作りランタンを作成できる催し、展示コーナーの設置など、これまでにない新しい企画を通して更に多様な層の観光客に楽しんでもらえることができるように考えられている。より親しみやすく、わかりやすい方法で中国の文化を体感できるように、多くの観光客で毎年賑わいを見せるこのイベントも変化してきている。


また、長崎の地元ガイドと一緒にまち歩きを楽しむことができる「長崎さるく」も、ランタンフェスティバルの期間限定で特別コースを歩くことができる「ランタンさるく」の企画を立ち上げており、地元ガイドの詳しい説明を受けながらイベントを楽しむことができるため、ランタンフェスティバルをもっと深く楽しみたい観光客への配慮もされている。空気の澄んだ真冬の時期、五感で思い出づくりをすることができるランタンフェスティバルの魅力を、ぜひ間近に感じてみよう。




written by 編集部


photo: https://www.youtube.com/watch?v=nPtSRPch6xI


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