モーリー・ロバートソン、玉城デニー知事選や杉田水脈議員の騒動から見た、陰謀論拡散の仕組みを語る

フェイクニュースやデマ、陰謀論がネット空間で拡散する仕組みについてモーリー・ロバートソンが解説!
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2018.10.09 23:00

毎週木曜日夜9時、block.fmで生配信中される、国際ジャーナリストでDJのモーリー・ロバートソンさんの番組の『Morley Robertson Show』。今回の番組ではネット空間に拡散されるフェイクニュースやデマ、陰謀論が拡散する仕組みを解説しつつ、モーリーさんが考えた日本版ピザゲートとも言える陰謀論を紹介していました。



毎週モーリー・ロバートソンのラジオが聴ける番組は、こちらをチェック。


「Morley Robertson Show」

生配信:毎週木曜夜 21:00 - 22:30


モーリー:はーい。遊んでます。ちょっとお話をいたしますね。いま、かけてるのはBro Safari&UFO!の『N.U.M.B.』という、これも新曲なんですけども。


Bro Safari&UFO!『N.U.M.B.』



本当は芸術作品なのに、それをバックにおしゃべりをしてしまうというシャンパン・リベラルな私。そうですね。今日はですね、アメリカの『WIRED』という媒体にとっても長い、英語の原文で読むのに1時間ぐらいかかった記事をずっとドトールで読んでいたんですけども。そこに書かれていたのは、要は人間心理の弱さにつけ込んで、ポピュリズムが極右という形でアメリカを襲っている。そしてトランプさんの選挙対策委員会の周りをうろうろしたロジャー・ストーンという人が、ウィキリークスともロシアとも連携を取って、かなりそのトランプさんに至ったアメリカの扇動の立役者だったんじゃないか?っていう、そういうラインで推理している記事だったんですね。


で、面白いのは結局、そのアメリカの陰謀論ネット放送局であるInfowarsの主催者アレックス・ジョーンズが、いわゆる人力でTwitterに出てくるいろんな陰謀論を彼のフォロワーに対してどんどん広げていくと、それをそこに快楽原則で依存しちゃった右翼系のアメリカ人……オルト・ライトと呼ばれてる人たちがどんどんどんどん人力で拡げていくっていう話なんですよ。ですから、ロシア由来のBotもそこに入っていたけど、これはアルゴリズムでやっただけではなくて、Botもあるんだけれども、そういうところが拡散し続けるデマをですね、アレックス・ジョーンズとかロジャー・ストーンとか、あるいはウィキリークスが積極的に「反ヒラリー」ということで。嘘も本当もないまぜに混ぜていたんですね。


言ってみれば、オレオクッキーをどんどん割って、それをスムージーっていうか、ミックスしてオーブンに入れたら壊れたクッキーがいっぱい入っているマフィンができました、みたいな。まあそういうの、ディーン&デルーカで売っているんだけどね。リースチョコとかM&M'sとか、そういうのの二次使用みたいに1回壊したお菓子が散りばめられていて、そこらじゅうでオレオの味がするっていう。そういう風にして、いわゆるヒラリーに関するデマが非常に効果的に拡散されていた。


で、問題はそれを1回信じたいと思った「I want to believe.」っていう人が、その人の教養とか知性、知力に関わらず、感情的にそこにアタッチしてしまうんですね。それでその結果、どんどんどんな嘘でも信じ始めるという。1回その坂を転げ落ちると、もうジャンキーになっていくっていうそういうお話なんですけど。それで最終的に出てきたのが、一部の方はご存知かもしれませんけども、ホワイトハウス近くのピザ屋さんで小児性愛結社……監禁した子供たちを性的虐待している、そういう組織にヒラリーが入っているっていう「ピザゲート」。ピザ屋さんの地下にあるということで、ピザゲートだったんですけども。


これをみんなでどんどん広げているうちにそのピザゲートが、普通に考えると荒唐無稽な嘘なのに、右系の人たちの間ではそれが真実になっちゃって。最後はショットガンを持ってノースカロライナ州からワシントンDCまで行って、「子供を救出しに来た!」って言って銃をピザ屋さんの店員に向けて、天井に向けてぶっ放して逮捕された人っていうのがいたんですよ。で、こういうことが結構普通に起こっちゃっているということがあって。


それでね、非常に面白かったのは、要は「人が考える力があるかないか」とか、いわゆる日本でネトウヨっていうと、主にリベラル左翼の人は「ネトウヨっていうのは社会の負け組で、彼女もおらず、非正規で働いていて、3・40代でうだつが上がらず、お金も大して持ってなくってカップ麺を食べていて。ずっとパソコンやってるんだろう。だからお前は安倍が好きなんだろう」みたいな、そういうステレオタイプがあるんですけど。


アメリカのこのロジャー・ストーンなどがキープレイヤーになった、陰謀論をネット上に蔓延させたっていうのは、受け手側に相当に頭がいい人もいっぱいいたということなんですよね。そこに逆に怖さみたいなものもあって、簡単にデマをデマとして立証できればそれで鎮火するものではなくて。たとえば今回、新潮45も廃刊に近い休刊担ったんですけども。あれもたぶん、中にいる人たちは被害者意識を持つんですよね。ですから、他の場所に媒体を移し替えて、より濃く同じメッセージを発信するんじゃないか? ということは、そこに連載していた漫画家の方も、たしかどっかに書いてたんじゃなかったかな? 



だからね、要はそもそも陰謀論を信じる背景っていうのは、その自分のナショナリティーや民族性、あるいは自分の尊厳がなんらかの形で、社会の見えないけどゆがんだ力……マスコミとかエスタブリッシュメントですね。権力を持っている人たちに踏みにじられている。だから自分はアンハッピーなんだ。この世の中を劇的に変える必要があるんだ!っていう被害者意識があって、そこにフィードインするんですよ。フィードっていうのはそこに燃料をもらうっていうことなんですけど。


それで俺、思ったんだけどね、日本にはたとえばいわゆるネトウヨビジネスをやってる人の中には、まだロジャー・ストーンとかスティーブ・バノンのような知能犯がいないわけですよね。まだまだね、みんな素朴すぎる。なんか「教育勅語を守れ」とか「日本の尊厳」とか「改憲」とか。あとは「杉田水脈議員は間違ったことを言ってなかった」っていう風に、すごく純朴なんですよ。で、これがもうちょっと、わかっていてやっている、しかもキレる人が出てくると怖いっていうことなんですよね。


たとえば、どういうデマが日本だったら流れるのか?っていう、そのピザゲートを日本に置き換えたひとつの例として想像していただきたいんですけども。たとえば、玉城デニー氏が沖縄知事選挙で大方の予想に反して勝った。特に自民党支持者っていうのは「あんな泡沫候補みたいな人、ラジオパーソナリティーの出身者が勝つわけがない」と思っていたのに、まあ勝っちゃったわけですよね。それで、その直前にいろいろとネガキャンが行われていて、「中国が沖縄を侵略している」とか、その物語がずっとスピンされていたんだけども。


これをですね、ピザゲート式に持っていくとするならば、たとえば今後知事になった玉城さんは……「龍柱」って知っている? 沖縄にある。龍柱っていうのは龍の形をした柱が中国のお土産という形で受け取ったらしいんだけど。海から入ってくる門みたいに象徴的に置いてあるんだけど。それはなんか爪の数をよく見ると、中国に対して冊封といって、「日本が属国です。沖縄は日本じゃなくて中国の属領です」と言わんばかりのシンボリズムがあるんじゃないか?っていうことが保守系の間でかつて、大騒ぎになっていたわけですよ。


なんで僕がもし、ピザゲートやるんだったら、「玉城デニー知事は実はこの龍柱を建て増ししようとしている。なぜなら沖縄を一国二制度にして中国に近づけようとしてるから。そしてその証拠に、龍柱を新しくペンキを塗り直してピカピカにした上、目の中に金とか銀で作った龍の目玉を入れて、中国への忠誠心を表明するつもりだ!」っていうデマをまず流します。


そして、それが一通り「龍柱をどうするんだ!」って普通の右系の議員がそのツイートを見て質問をするような状態になったら、今度は「沖縄中の回収されるiPhoneとか携帯電話の中にある貴金属……都市鉱山と呼ばれていて、機器の中にほんのちょっとある、その貴金属を集めて、県の力で県知事になった玉城さんが龍の目玉を作って、それで沖縄を中国に差し出すつもりだ。だからみんな、それを阻止するためにペンキを買い占めましょう。そしてその貴金属が出ないように古いiPhoneを買い換えず、ずっと使い続けて。スマホのアップデートはやめよう運動をしよう!」って呼びかけるんですよ。


そうすると、本当にそれを真に受けてずーっと、すぐに電源が切れたりとか遅くなったスマホを使い続けて沖縄を守ってるつもりになった人たちが出てくるわけ。そういうのがピザゲートのレベル、次元なんだけど。たとえばピザゲートは真っ赤な嘘で、ピザ屋さんには地下室がそもそもありませんでしたっていうことがたとえ立証されたとしても、信じてる人たちはそこから次にQアノン(Qannon)に移るんですね。


で、Qアノンは実はピザゲートにまつわる、ビル・クリントン元大統領やヒラリーが小児性愛サークルに加担している。そして世界を乗っ取ろうとしている組織は実は、小児性愛者のサークルなんだ、みたいな。フリーメイソン的なもの亜流を作ってるんですよ。で、それを結構Redditみたいな、アメリカの2ちゃんねるみたいな掲示板サイトで拡散して。それでやっぱり信じ続けてる人たちがいるわけですよね。だから1回信じてしまうと、それがどんなにバカげていても、信じ続けるっていうのがあるわけですよね。



それで結局、なにが言いたいかというと、これは別に日本であってもアメリカであっても人間の脳がそこに吸着するっていうことは変わらないと思うんです。そしてもうひとつは右でも左でも実はいいということなんですね。いまのそのピザゲートに至るちょっとバカげた話っていうのは3.11のショックがあった時に「放射能で関東はいまから3年以内に人が住めなくなる」っていうことを有名なテレビ出てる大学の先生が言い放ったし、なんかあらゆるデマ……あとはEM菌とか、もうとにかくいろいろありましたよね。福島の子供の甲状腺ガンとか、本当にいろんなバージョンのデマが飛び交ったんですけども、1回やり放題になるとみんな「怖い! 怖い!」って信じてるから、次に来るデマを難なく受け入れちゃうわけですよ。


で、それが結局染み込んだ結果、後で「大丈夫なんだ」ってわかっていても、ずっと「もしかしたら……」っていうことが残るわけですよね。で、こういうメカニズムっていうのがネットによって拡散されてるいま、それを止める方法がない。たとえば言論を中国式にも統制してしまうぐらいしかないんですよ。だから人間に自由が与えられた結果、なんでも信じてしまうっていう方向に行っているわけね。それでもうひとつ、自分が考えたそのピザゲートに近いデマなんだけども……。


要はね、改憲と教育勅語と杉田水脈議員の生産性。これを3つの三点セットにして、「実は改憲っていうのは教育勅語を復活させるための改憲で、日本を戦前の天皇制に戻そうとしている」っていう。まあ、共産党がずっと言ってることなんだけども、それをすごくまことしやかに言う方法があって。それはいま、保守系の皆さんが私の教育勅語に関するコメントでそれを多分に誤解して怒り狂って人もいるんだけど。要は「日本から出て行け!」っていうのが多いんですよね。あとは「お前のように日本でいい思いをして、日本人の金を吸い上げてるやつはこの国にいらない!」みたいにすごい排外的で。


あと、「日本は天皇家を中心とした均質なひとつの国なんだ」みたいなツイートがあるんですよ。で、これに対して私が仮にひとつひとつ丁寧に拾っていく。そのヘイトのツイートに。それに冷静な答えをつけて議論をしながらそれを拡散すると、自分の風下にはですね、93000人のフォロワーがいるんですよ。大概の人は真ん中からリベラル寄りの人なんですよ。中道か真ん中が多いんですよ。でね、その人たちに1日に10個、こういうやり取りをツイートするっていうことは、延べで言うと9万×10で90万回の個別のツイートがいろんな経路で流れるっていうことでしょう?


でね、それ以上のネガキャンは保守にとっても改憲したい人にとってもないんですよ。「改憲をすると、こういう人たちばっかりの日本になる。外国人に『出ていけ!』って言う人たち、自分たちの意見がちょっとでも違うと、ひたすら憎しみしかぶつけず、挙句の果てに皇国史観とか教育勅語の裏にある軍国主義みたいなものを平然と言い放つ。『それのどこがおかしい?』っていうことをリアクションしてくる人たちの日本になる」って。


で、俺がひたすらそれを広めて言うと、結局は保守が自分で自分に、僕を触媒にして大ネガキャンをして、改憲を自らオウンゴールで遠ざけているという。これでは安倍総理も非常に改憲を発議しにくいんじゃないのか?っていうか。そういうトラップを仕掛けることができるんですよ。だからみんなを怒らせておいて、怒れば怒るほど改憲を遠ざけるメカニズムっていう、そういう罠も作れるじゃん!って思った時に、ちょっと嬉しくなっちゃったの。それで別にね、「それをやる」ってって言ってるんじゃないんだけども、あのなんていうのかな? 人間って結局、自分の感情のコントロールっていうのが本当に大変で。それをやるには、やっぱり魔術。魔術を勉強するべきだと僕は思うんだ。ということでSnails x Big Gigantic『Feel The Vibe』。


Snails x Big Gigantic『Feel The Vibe』



番組情報


 「Morley Robertson Show」

https://block.fm/radios/28


生配信:毎週木曜夜 21:00 - 22:30



モーリーのアンテナがキャッチする波動は、ひと味違う。あなた自身が住んでいる「不思議の国」を味わってほしい。気が付いたら、地球防衛軍に入隊していたとしても、不思議ではない。ここでは毎日が入隊記念日。いろいろな旅をする人のための時間。いっとき、モーリーの視点から世界をのぞいてみてください。




written by みやーんZZ



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