インタビュー|国内外のレーベルからリリースするプロデューサー・MaruによるEP『Blindfold』制作の裏側

LAのレーベル〈Dome of Doom〉からリリースされた最新作の制作に深く関わったBleep Bloopとの出会い、影響を受けた国内のベースミュージックシーンについてインタビュー。
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2021.05.18 04:00

エレクトロニック、エクスペリメンタルミュージックプロデューサーのMaruがロサンゼルスのレーベル〈Dome of Doom〉からニューEP『Blindfold』をリリースした。


今作は、Maruがロサンゼルスを訪れた際アーティストのBleep Bloopから譲り受けたデジタルオシレーター・モジュール「Mutable Instruments Plait」を使用して制作された作品だという。Bleep BloopのスタジオにいたエクスペリメンタルアーティストEthan Glass(イーサン・グラス)にも出会い、そこで「制作に関してもっとオープンに考えるようになった」そうだ。


『Blindfold』に収録されている数曲はBleep Bloopのスタジオで収録し、完成までの作業は東京で行われている。


Bleep Bloopは「初めてMaruの音楽を聴いた時、すぐに気に入った」と音楽メディア「XLR8R」に語っている。「日本から遊びに来て一緒にモジュラーシンセを組み立てた。私が彼に初めてのモジュールをプレゼントして、彼が帰国してそれを元に自分のシステムを組み上げて、この最強な作品を作った。私はすごくハッピーなんだ。」


『Blindfold』は〈Dome of Doom〉の「genre-defying modular synth project(ジャンルに逆らうモジュラーシンセプロジェクト)」のカテゴリーに属する、日本の伝統的な音をアレンジしたかのような「美意識の向上」を感じさせる作品だ。


そんなEP『Blindfold』についてMaru本人にもインタビューを行った。



EP『Blindfold』制作の背景について教えてください。


Maru : このEPを作り始めたのは約3年前になります。アナログ機材を使ってデジタルでは表現できないような意外性のあるサウンドを楽曲に落とし込もうと、NovationのBass Station2とBastl InstrumentsのbitRangerを使って制作していました。一番最初に「Unchain」が完成し僕の憧れのプロデューサーでもあるBleep Bloopにデモとして送ったところ、この楽曲をすごく気に入ってくれたんです。


さらに2019年にカリフォルニアで開かれたフェス「NOCTURNAL WONDERLAND」でも楽曲をプレイしてくれ、LAのスタジオで一緒にセッションしようと誘ってくれました。



Maru : 僕はすぐにLAに飛んで彼のスタジオを訪れ、Bleep BloopとプロデューサーのEthan Glassと一緒に、彼の持っていたモジュラーシンセサイザーでセッションを行いました。EPのタイトル曲「Blindfold」とリードシングルとしてリリースした「Brute」、最初に完成させた「Unchain」はBleep Bloopのスタジオでマスタリング、ミキシングを行い完成させました。


今でも驚いているんですが、帰り際にはBleep BloopからモジュラーシンセサイザーのオシレーターMutable InstrumentsのPlaitsとケースの4ms 20 HP POD CASEを譲り受けました。「日本に帰ったらモジュラーシンセサイザーを組み立てて楽曲を作れ」と言われたんです。そのセッションでの経験が僕の制作スタイルに大きく影響し、このEPを完成させることができました。




ー今回の楽曲テイストに影響を与えた経験を教えてください。


Maru : LAでの経験もそうですが、日本のベースミュージックシーンにも強く影響を受けています。5年前に友達に誘われて初めて行った、eastaudio SOUNDSYSTEM & PART2STYLE主催のSOUND SLUGGERはとても衝撃的でした。大きなサウンドシステムが置いてあり国内ベースミュージックのアーティストが夜通し低音を鳴らしまくるイベントで、普段ヘッドホンやホームスピーカーでは体験できないベースミュージックのグルーヴを感じることができて、低音域の魅力をより強く感じることができました。


それからGOTH-TRADさん主催のBACK TO CHILLやOUTLOOK FESTIVAL JAPANLOW END THEORY JAPANなど国内で開かれていたベースミージックのイベントに行くようになって、自分なりに音楽の研究をしました。照明やLEDパネルのような派手な演出はほとんどないけれど、とにかく音楽を楽しむスタイルにもとても魅了されました。


SOUND SLUGGERはもう開催されていませんが、2018年のラストのイベントで出演させてもらいとても嬉しかったです。


ー〈Dome of Doom〉からのリリースの経緯を教えてください。


Maru : Bleep Bloopに紹介してもらったLAにあるレーベル〈Dome of Doom〉のオーナーWylie Cable(ワイリー・ケイブル)にデモを送ることになりました。彼は僕の音楽をとても気に入ってくれ、EPをリリースしようと声をかけてくれたんです。リリースしたいレーベルの一つだったのでとても嬉しかったですね。


さらにメディアXLR8RやAlpha Pupに掲載するためのインタビューの英語の添削をしてくれたり、ジャケット用のデザイナーの手配や発注、プロモーターを紹介してくれたりなど細かな部分まで丁寧にサポートしてもらいました。本当に感謝しています。


ー『Blindfold』というEPのタイトルに込めた想いなどあれば教えてください。


Maru : このEPがクラブでプレイされるなら「照明演出やLEDパネルのような視覚的な情報より、スピーカーから鳴る音だけで楽しめる音楽であってほしい」と考え“目隠し”という意味の“Blindfold”というタイトルにしました。また、SNSの普及によって音楽の流行りや新しいジャンルなどをすぐにキャッチできるようになりましたが、こういう時代だからこそ「周りに流されず自分が本当に好きなサウンドを発信したい」という意味も込めています。


ー今回の作品についてコメントをお願いします。


Maru : 自分が今まで国内、海外ベースミュージックシーンで得た経験を、モジュラーシンセサイザーやアナログシンセサイザーをフルに活用して表現しました。僕の集大成となる作品です。楽しんでもらえたら嬉しいです。







【リリース情報】




Blindfold - Maru 

Out on Dome of Doom

Album artwork by Edgar Medall


配信リンク:Maru.lnk.to/Blindfold


Dome of Doom

https://www.domeofdoom.org






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