インタビュー|Lafawndah コントロールから一歩離れて制作したセカンドアルバム『The Fifth Season』

彼女にとっての”The Fifth Season”の意味、コラボレーターとの出会いや制作プロセスについてインタビューした。
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2020.11.13 10:00

シンガー、ソングライター、ディレクター、プロデューサー、音楽家のLafawndah(ラーファウンダー)の作品はどれもとても魅力的だ。 聴く人を安心させる声から自主制作のミュージックビデオまで、彼女が作る音楽は唯一無二の存在感を放つ。


2019年、短編映画、ミュージックビデオでもある「Substancia」が主要なメディアの注目を集め、NownessとBoiler Roomにフィーチャーされた。NPRに「ジャンルを超える作曲家、Lafawndaによる驚異的なソニック」、Noiseyに「それは典型的に、美しく彼女を表す作品だ。一種の素朴な未来派のアルバムであり、珍しい美しさで贅沢」とレビューされた。


普段はアートのあらゆる側面を自身でコントロールしているというLafawndahは、セカンドアルバム『The Fifth Season』でコントロールから一歩離れて、他のクリエイターとコラボレーションすることになった。結果、「今まで一人では制作できなかったものを作れた」と語る。


このインタビューでは、新しい制作プロセス、コラボレーターとアルバムに対する彼らの重要性、そしてアルバムのアイデアがどのように浮かんできたについて話してもらった。




ーアルバムがリリースされて、今はどんな気持ちですか?


Lafawndah:正直今起きたばかりだからなんとも言えないかも(笑)。朝まで友達とパーティーしてて、アルバムを聴かせて、これからリリースするビジュアルを見せたりとても素敵な思い出になった。ずっとアルバムを作ってて、今まで自分だけのものだったのが今は世界のものになって、エクサイティングな気持ちかな。


ー今回のアルバムではプロダクションやライティングプロセスに変化はありましたか?


Lafawndah:うん。前回のアルバムでやってないことを全て今回のアルバムでやったと思う。真逆のプロセスを踏んだとも言えるかな。前回は全てのパーツを自分で手掛けて、どの部分も自分がディレクションしてたけど、今回のアルバムは、自分自身のディレクションだけじゃなく、他の人にも手伝ってもらった。数人のミュージシャンをスタジオに呼んで、グリッドやメトロノームも使わずにジャムから制作を始めて。そうやって彼らとスタジオで作った音を、その後は自分でプロデュースしたよ。スタジオの中でどういったものが作られようとも、その音を使ってこのアルバムを制作するんだと自分の中で決めてて。自分にとってチャレンジだったけど、心の中で強く決めてた。毎回自分の作品で「完璧」を目指しても、大体結果がそうなるとは言えない。縛りを外して自分をもっとオープンにしたことによって、他にも重要な部分があることに気づけて、「完璧」を目標にすることがなくなったよ。


ーアルバムから一番最初にリリースしたシングルが「You, at the End」ですが、SNSに投稿したキャプションに「この世界より重要である女性へのため」というオマージュのようなメッセージが書かれていました。このメッセージを書いた理由、そしてこの曲を先にリリースした理由を教えてください。


Lafawndah:アルバムの中で一番ポップな曲だからかも。どうやってみんなにアルバムを紹介するかを考えてて、「You, at the End」が一番幅広い人に受け入れてもらいやすい曲だと思った。歌詞は新しい神話を作ることについて書いたよ。この曲で物語を語ってるキャラクターは私の周りにいるユニークで強い女性たちを表してるし、同じようにしなやかな女性たちへのオマージュでもある。



ーアルバムからのセカンドシングルがBeverly Glynn-Copeland(ビバリー・グレン・コープランド)の「Don’t Dispair」でした。なぜこの曲をカバーすることになりましたか?


Lafawndah:不思議なのは、このアルバムは1月頭に完成したんだけど、この数ヶ月パンデミックや世界中でデモが起きてて、この曲は作った当初に持ってた意味と全く違う意味を持つようになった。この曲は「絶望しないで」というメッセージを与えてるけど、与えてるのが絶望を持っている人みたい。苦労してる人を安心させるような曲だと思う。前回のアルバムに収録された「Joseph」で伝えたかった「大丈夫じゃないときに側にいるよ」というメッセージに少し似てるかな。物理的に守ってくれたり頼れる物がなくても、音楽でそれができる。この曲はハグの代わりになると思う。Beverly Glynn-Copelandのメロディーを聴くと純粋な喜びを感じるよ。“喜び”のような気持ちを音楽で表すのはかなり難しいけど、Beverly Glynn-Copelandはそれを実現してる。


ー完成からリリースまで数ヶ月かかったとのことですが、アルバムのテーマやストーリーが今の世界中の状況に合っていると感じました。リリースまでの間にテーマを今の状況に合わせて変えたりしたのでしょうか?


Lafawndah:全く変えてないよ。前回のアルバムは私が作りたいと思って作った作品で、今回はアルバムが私を選んだようにアイデアが自然に出てきた。アルバムのコンセプトが浮かんだタイミングも偶然だと思ってなくて、予め決まっていたことのように感じる。世界中でいろいろ起こる前からこのアルバムについて頭に浮かんできた。今になって、全てが宇宙に動かされているように感じるよ。参加してもらったミュージシャンたちとの出会い方もそうだし、レーベルに声をかけられたタイミングもそうだし、アルバムタイトルにした、世界の終わりについて書かれた本「The Fifth Season」と出会ったのもそう。今回は事前にムードボードも作らず、全てその場で制作したし、完成までのプロセスが早かった。「今」のためにリリースしたアルバムだと信じてる。


ー「The Fifth Season」はトリロジーの1冊目だと思いますが、そのシリーズから他にもインスパイアされた部分はありますか?


Lafawndah:その本からインスパイアされたとは思わないかも。ふだんいろんな本や映像作品、人生の経験から感動を受けて、音楽にインスパイアを受けているけど、今回はその流れでタイトルを決めたわけでもない。アルバムを制作してる時にたまたまこの本を読んでたんだけど。アルバムが完成したあとに聴き返したら、この本との共通点が多いことに気づいた。自分が考えたタイトルじゃないし、ただ借りてるという形だけど、タイトルもすごく美しいと思う。作品が完成する前にタイトルを決めるパターンあるけど、完成した後タイトルを決めるのに迷うときもある。でも本の内容を何も知らなくても、「The Fifth Season」は一発でいろんなアイデアが浮かぶ言葉だと思っている。クレイジーなサイファイなタイトルでもないし、でも現実で経験しないことでもあって。だって現実には四季だから。「The Fifth Season」を読むと、五つの季節を生きる人は何を食べるか、何をするか考えさせられるし、新しい世界があると表すタイトルでもあるから大好き。この本もアルバム化されたかったと思う!



アルバムリリースと同時に「Le Malentendu」のミュージックビデオも公開されましたが、このビデオはアルバムを制作している間に作りましたか?制作プロセスについても教えて下さい。


Lafawndah:今までは自分のビデオは自分でディレクションしてたけど、今回は初めて他の人にディレクションを担当してもらった。今回のアルバムのテーマ「自分のコントロールを外すこと」に合わせて、Caroline Poggi(キャロライン・ポギー)とJonathan Vinel(ジョナタン・ヴィネル)というディレクターデュオにお願いしたんだけど。二人はフランスの若者で、2年前に彼らの最初の作品「JESSICA FOREVER」をリリースしたんだけど、私はその作品が大好きで。この二人にディレクションしてもらうことも必然だったと思うよ。「フォーマットやストーリーはミュージックビデオらしくしなくてもいい。」というポイント以外に二人には何も伝えてなかった。見れば分かるけど、ミュージックビデオと言うより9分半のショートフィルムに近い。あ、もう一つ二人に伝えたのは、ビデオを見始めたら、冒頭のシーンの前に何かが起こったと伝わるようにビデオをスタートさせて、終わった後に何かが続くことが伝わって欲しいということ。面白いのは、家族と友達のために上映会をしたら、見た人が「このミュージックビデオは映画のトレーラーじゃん。映画はどこ?」と言っていて。そう感じて欲しかったから嬉しかった。ミュージックビデオのストーリーもコロナの前に書かれてたよ。二人とはプロデューサーのCorry Van Rhijn(コーリー・ヴァン・リジン)を通して知り合った。二人とも普段ミュージックビデオを監督しないから、私のためにミュージックビデオをディレクションしてくれて本当に感謝してる。


ー各シングルで異なったビジュアルをリリースしていましたが、これは誰がディレクションをしたんですか?


Lafawndah:それはまだ私が担当してるよ。今までクリエイティブディレクターを入れたことがない。全て私だよ。そこだけは変わってないかな。フランスのアーティストMarguerite Humeau(マルガレット・ヒュモー)って知ってる?彼女にカバーアートを制作してもらった。彼女はなんでもできるから何をしてるって言うのが難しい。彼女は私と同じように、この世界はどう作られたか、そして人間が生きる前の世界がどうなっていたかに興味を持っていて、彼女のアートは未来と過去を美しくつなげるようなコンセプトを持っているよ。CarolineとJonathanと同じように、彼女が普段手掛けない音楽のカバーアートを、私のために時間をかけて作ってもらってすごく感謝。私がカバーに載ってないことにびっくりしてた人も多かったけど、このアルバムは私が作りたいと思って制作したアルバムじゃないから、自分の顔をカバーにするのは違うと思ったんだよね。


ー 一緒にスタジオに入ったアーティストたちとはどうやって出会いました?


Lafawndah:BBCというラジオ局の「Late Junctions」というシリーズがあるんだけど。初対面のアーティストを二組スタジオに呼んで、そのアーティストたちが20分間で一緒に音楽を作って、完成したものをラジオで流すっていう企画。でも私が出た回では、もともと知り合いだったアーティストと、初対面のアーティストを組み合わせてやったよ。今回私のアルバムのパーカッションを担当した、友達でもあるValentina Magaletti(ヴァレンティーナ・マガレッティ)に呼んでもらったんだけど、相手はチューバとトロンボーンを弾くTheon(テオン・クロス)とNathaniel Cross(ナサニエル・クロス)という兄弟だよと言われて、オファーをOKした。私はすごくシャイだから、彼らの前で即興するのは緊張したよ。いつもライブだと知らない人の前で歌ってるけど、それは自分の曲を歌ってるから違うでしょ。普段もメロディーを作ってる時は一人だし、人前でメロディーを作ることはない。でもチャンスだと思ってチャレンジして、結果すごく素敵な仕上がりになったから、すごくいい経験になった。BBCの後に、また会ってほしいと彼らに連絡して、そこから今回のアルバムの制作も一緒にすることになったよ。Nightfeelingsは全作品を手掛けてもらった親友。NYから(ベルリンに)来てもらって、キーボードを弾いてもらったし一緒にプロデュースもしてくれた。Aaron David Russも私のアートに重要な存在。そして、最後の曲にフィーチャリングされてるフランスのラッパーLala &ce(ラレイス)は、去年フランスのイベントで共演したのがきっかけかな。彼女の音楽のファンでもあるよ。この曲を書いてる時に二人でデュエットしてる夢を見て、絶対に彼女と一緒にやらないとと思った。彼女も普段私が作ってるような音楽の上でラップをしていないから、一緒にやってもらったことはすごく感謝してる。


ー最後に、このアルバムで一番自慢できる部分はどこですか?


Lafawndah:そもそも自慢するという気持ちがあんまりわからないけど、もっと自分が達成したことや成功したことに関して自慢できるようになりたいよね。自慢というより嬉しいのは、今までコントロールしないとできなかったことが、自然と起こってくれたこと。


ーありがとうございました。


【アルバム情報】




September 8, 2020 LP / Digital


TRACKLIST

Old Prayer 4:32 

Don’t Despair 5:12 

You, at the End 4:12 

The Stillness 8:06 

L’Imposteur 4:58 

Le Malentendu (feat. Lala &ce) 5:04


FEATURING

Theon Cross

Nathaniel Cross 

Valentina Magaletti 

Nick Weiss

Lala &ce


ARTWORK

Marguerite Humeau 


Photos by Charlotte Krieger


Interview by Amy


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