「映画『キックス』は最新ヒップホップを理解するための入り口」映画監督の三宅唱と宮崎大祐がヒップホップを語る

ヒップホップムービーを手がけた経験を持つ2人の若手映画監督が作品の魅力について語る試写会イベントが行われた。
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2018.11.30 03:30

カリフォルニア、リッチモンドを舞台に奪われたスニーカーを取り戻そうとする黒人少年を描いた映画『キックス』試写会イベントが11月27日(火)、渋谷・シネクイントにて行われた。 


最新のアメリカのファッション、音楽、スタイルすべてがちりばめられた『キックス』  


イベントでは映画の公開を記念して日本ではまだ数少ないヒップホップムービーを手掛けた経験を持つ三宅唱(『THE COCKPIT』監督)、宮崎大祐(『 大和(カリフォルニア)』監督)という2人の若手注目監督が登壇。作品の魅力ともにヒップホップとの関係が語られた。




宮崎監督は、作品について「最新のアメリカのファッション、音楽、スタイルすべてがちりばめられていて楽しかった」と感想を語るとともに、作品の新しさについて「従来のヒップホップ映画では、貧しい人が勝ち上がっていく姿が描かれるが、『キックス』では奪われたスニーカーを取り返すという冒険譚になっている」と指摘。また自身も新しいヒップホップ映画を目指しているため、シンパシーを感じたとも語った。 


一方、三宅監督は、Wu-Tang Clanなどのヒップホップが劇中で使用されること同作品に対し、「音楽がすごくヒップホップ。作品の尺からもボーナストラックの入ったヒップホップのCDアルバムのようだ。これまで見てきた映画と違い、おもしろいと思ったとともに戸惑いがあった」と語った。

   

『キックス』/12月1日(土)より、渋谷シネクイントにてロードショー  ほか全国順次公開/(c)2016 FIGHT FOR FLIGHT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.


最近のヒップホップMVからの影響を感じる多用されるスローモーションシーン 


続けて2人は劇中で多用されるスローモーションシーンについても最近のヒップホップとのつながりがある部分だと指摘。宮崎監督はそういった映像手法について「スローモーションを取り入れた最近のヒップホップMVからの影響をある種感じる。従来のヒップホップ映画と時間の流れが違う」とコメント。またスローモーションシーンについては、ヒップホップの技法のひとつである”スクリュー”(Chopped & Screwed)も関係あるのではという見解も。



さらに三宅監督は、「スニーカーを”キックス”と言い換えるだけで世界が魔法かけたように変わる。現実には何も変わらないんだけど、それだけで別の世界に行ける。それがヒップホップ」と語った。




『キックス』がヒップホップを理解するための入り口


また「日本ではまだ大ヒットしたヒップホップ映画が生まれていない。日本で広がらない理由は?」という質問に対し、宮崎監督は、「世界的にも逆にこれからの時代は音楽でヒップホップを使わない映画の方が少なくなる。しかし、日本ではまだヒップホップに対する理解度、リテラシーが低い」という現状に対する認識を示したものの、「『キックス』がヒップホップを理解するための入り口になる」とも語った。


 今年はマーベル映画『ブラックパンサー』が大ヒット、さらに来年1月に日本で公開されるロッキーシリーズの最新作『クリード 炎の宿敵』などブラックムービーとヒップホップの融合した映画は大きな注目を集めている。そして、この新鋭ジャスティン・ティッピング監督が描く『キックス』もそういった新しい”ブラックムービー”を語る上では外せない注目作だ。 


(c)2016 FIGHT FOR FLIGHT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.


これは、ただのスニーカーじゃないんだ!”というメッセージが込められた映画『キックス』は、2018年12月1日(土)より、渋谷シネクイントにてロードショー。ほかは全国順次公開される予定だ。最後に両監督は、作品について”金網”が多く描かれているとも指摘している。映画館で鑑賞する際は、そのあたりも注目してみてはいかがだろうか? 


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written by Jun Fukunaga

photo: (c)2016 FIGHT FOR FLIGHT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.





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