UKハウスプロデューサーJax Jones 単独インタビュー もう感じた?英国から吹く新しいハウスミュージックの息吹

デヴューから4~5年のキャリアでグラミーに輝く俊英に成功の秘訣や地元UKの魅力を聞いた
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2018.08.28 09:00

2014年にDuke Dumontと共に制作した「I Got U」が全英チャート1位、USダンス・チャート1位を記録し、さらにその年の第57回グラミー賞で最優秀ダンス・レコーディング賞にノミネートされ、瞬く間にシーンを代表するプロデューサーとなったJax Jones(ジャックス・ジョーンズ)。今年の来日での熱狂も記憶に新しく、世界中を飛びながら最新のハウスミュージックを発信する彼に、シーンでの成功の秘訣や、地元ロンドンの魅力、そして彼のサクセスストーリーをblock.fmが聞いた。


Profile: ジャックス・ジョーンズ

1987年ロンドン生まれ

Fela KutiやNotorious B.I.G.、The Neptunes、Timbaland等のアフロビートからHIPHOPまで影響を受け現在の音楽性を確立。楽器演奏からプロデュースまでをこなす現在のUKハウスシーンの代表的DJ/プロデューサー。

2014年にDuke Dumontと共に制作した”I Got U” (名義はfeat. Jax Jonaes)が全英チャート1位、USダンス・チャート1位を記録し、さらにその年の第57回グラミー賞で、Basement JaxxやClean Bandit、Disclosure、Zhuと共に最優秀ダンス・レコーディング賞にノミネートされ、瞬く間にシーンを代表するプロデューサーとなる。

その後リリースされたオリジナル楽曲”Yeah Yeah Yeah”はFIFA 16のサウンドトラックに収録され、Apple WatchのCMソングにも起用され話題に。オリジナル楽曲のプロデュースと並行してEllie GouldingやMIssy Elliott、Charli XCXなどのリミックスを手掛ける。




突然ハウスを作り始めて、「I Got U」が突然グラミーにノミネートされちゃったってわけさ


- 人生で一番影響を受けたアーティストは誰ですか?


Jax Jones (以下 JJ): 子供の頃からテレビでよくアニメを観てたよ。音楽に限らずコミックアートやアニメーションそれからアンディウォーホールのようなクラシックアートも凄く好きで、多分自然にアート全般には興味があったと思う。音楽的には父親がダンスホールを沢山聴いてて、7インチのシングルとか、フェラ・クティみたいなアフリカンミュージックをよく聴いてたな。それからティンバーランドやネプチューン、ディスティニーチャイルド世代というか、2000年代のHip Hop / R&Bもよく掘ってたよ。


- ハウスミュージックにはどのような形で傾倒していったんですか?


JJ: ハウスはゆっくりと自分に入ってきた感じかな。ハウスプロデューサーのJAX JONESとしてみんなに知られる前はほぼ全部のジャンルの音楽を作っていたし、例えばあるポップバンドのために曲を書いたり。自分で作った曲を他のレーベルで出そうと思ったけどなかなかリリースまで行かなかったりね。そのときDuke Dumontと偶然知り合うことになって、彼のマネージャーから色々アドバイスを受けてDaft PunkやBasement Jaxxみたいなハウスやテクノを聴きながらメジャーからアンダーグラウンドまで徐々に知識を広めていったんだ。それからどこかのタイミングで突然ハウスを作り始めて、毎日続けて5年が経ったんだ。で、2枚目に出したハウスのタイトル'I Got U'が突然グラミーにノミネートされちゃったってわけさ(笑)


- それはすごいサクセスストーリーですね...


JJ: 自分でもおかしな話だと思うよ。R&BやHip Hopとかを聴いて育って、22歳の時にバンドで曲を作り、今はハウスをやってる。多分それぞれのジャンルに興味を持ってその時にどれも熱心に取り組んでたから良かったのかもしれないね。


- 「Breathe」を作った時のインスピレーションはどこから湧いてきましたか?


JJ: 「Breathe」を作ってたときはよくデニス・フェラーを聴いてたね。彼はハウスミュージックのシーンで確固たる地位を築いてるし、彼のプロダクションは自分にとってすごい参考になってたんだ。特に彼の代表曲「Hey Hey」がすごい好きで、どういう音の構成か、どんなストーリーの歌詞なのか研究もしてた。そのあとに一緒に「Breathe」を歌ってくれたIna Wroldsenと出会って、彼女の恋愛観とか過去にヤバかった恋愛の話をコンセプトにしようってなったんだ。彼女はロマンティックに仕上げたいって思ってて、自分の中では今までなかった感じだからどうなるかな?とちょっと心配だったね。それこそ最初にデモをかけたときはあんまりみんな踊ってくれなかった記憶もあるけど...徐々に良くなっていっていつの間にか自分の大事なヒットの一つになったよ。



 



薄暗いスタジオでひたすら制作に没頭しながら願わくば何か起こって欲しいなと思ってたよ


- クリエイターとして成功するために大事にしていることは何でしょう?


JJ: うーん、単純に人気になるってだけだったら実はすごく簡単だと思う。でもそれだと絶対に長続きすることはないんだ。だから誰も観てなくても自分のエナジーを好きなことに注いでそれを続けること。それから毎日色んなことをクリエイトして、自信と勇気を持って何事にもチャンレジすることが大事。それから自分の作っている音楽、自分のクリエイションを明確にすること。

成功した時には、今までより謙虚に振舞って今までやってきたことにフォーカスして高いレベルをキープし続けることかな。なぜなら今まで起こらなかった他の出来事が次々起き始めるからね。あとは自分に影響を与えた色んな出来事をうまく取り込んで、今の自分に満足しないことかな。


- 実際に自分もいくつか成功を収めて、生活が一変したと感じますか?


JJ: そうだね。というのも毎年自分の生活が目まぐるしく変わってて、最初にハウスミュージックを作った時はまさに「冒険の始まりだ!」って感じだったけど、薄暗いスタジオでひたすら制作に没頭しながら願わくば何か起こって欲しいなと思ってたよ... Duke Dumontと仕事をしてOcean Driveをリリースしてから少しずつお金とかが入ってきて、よし、これを続けて行こう!ってなった。でもその同時に「自分のプロジェクトも進めなきゃ!」と思い、また一からリスタートを切って、ようやく「Breathe」が生まれるまでに至ったんだ。実は去年始めて自分の国以外でツアーをし始めるようになったばかりだし、ヨーロッパやアメリカをツアーし始めて観客が自分の作った曲を歌うようになった。なかなかスタジオに戻る機会が減ってきたけれど、さっきも言った通り、常にクリエイトしないとすぐに終わるのもわかってる。毎日スタジオに籠ることはなくなったけど、できる限り制作にも時間を割くようにしてるし、ツアーから戻ったらすぐにスタジオに戻って作業するようにしているよ。




- 出身地のロンドンからはどのような影響を受けて、作品に反映していますか?


JJ: ロンドンはまさしく自分の街だし、このカルチャーが自分のDNAなのは間違いないね。ハウスに関して言えばもともとアメリカで生まれたカルチャーだけど、イギリスもそれを取り入れて、独自の方法で育てていったと思う。アメリカに比べたら多分イギリスのサウンドってもっと埃っぽくて、ローファイな気がするし、よりグルーヴに力を入れているんじゃないかな?


- EDMシーンは今後どう進化すると思います?


JJ: 面白いのが、EDMってまずイギリスで一度もブームになったことがないんだよね。Calvin HarrisやAlesso、Swedish House Mafiaなどは全部ラジオの世界のハナシになってるし。それにハイエナジーなエレクトロニックミュージックであればそれこそEDMって言えると思うから、正直自分もシーンについてはよく理解できてないんだ。でもアメリカや日本、その他アジアの中ではラジオの飛び出して、大きなフェスでヘッドライナーを飾るアーティストがいるのは本当に凄いことだと思う。幸運なのはCalvin Harrisを筆頭によりハウスなサウンドに近づいてることや、世界中の人が自分に関心のある音楽を特定のジャンルに縛られず追いかけるようになっていることだよね。インターネットの普及で誰もがいろんな音楽にアクセスできるようになったし、クラブでかかってる音楽とラジオで聴ける音楽もずいぶん違うよね。EDMはまだ歴史が浅いから地域や人気のある国によって少しずつカルチャーとして浸透して行く可能性もあるんじゃないかな?


- 逆にUKにそのような音楽が入ってこない理由は何でしょうか?


JJ: イギリスは「レコードカルチャー」が音楽のメインになってるよね。うまく表現できないけど、EDMは僕らにとってチョット「ハイエナジー」すぎるところもあると思う。踊れることに特化しすぎず「聴く」っていう感覚を大事にしているのかもしれないね。それにEDMは音の構成的にもの凄い作るのが難しいし、ハウスが簡単な音楽とは言わないけれど、より作りやすい部分もあるからプロデューサーが生まれやすい部分もあると思う。


- 日本の若手DJやクリエイターが音楽で成功するためにアドバイスがあれば教えて下さい。

 

JJ: そうだな。目の前にある他の音楽を真似ばかりしないようにして、できる限り自分が本当にどんな音楽に影響を受けたかをしっかり考えながら活動すること。自分がどんなバックグラウンドでどんな音楽を聴いて育ってきたかで自分の表現できる音楽が変わると思うし、それが自然な流れだと思って大事にしてほしいな。それからあまりジャンルに縛られず、とにかく音楽なら何でもトライして作ってみること。自分自身もそうやってたくさんの音楽を作って来たからね。

そしたらいつか自分の音が見つかって、それを続ければ自ずと結果は出るはずさ。




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Jax Jones最新リリース情報



タイトル:リング・リング feat. メーブル&リッチ・ザ・キッド

リリース日:2018年6月22日

詳細:https://umj.lnk.to/JJrr


http://www.jaxjones.co.uk/

https://www.universal-music.co.jp/jax-jones/

https://twitter.com/JaxJones

https://www.instagram.com/jaxjones/


Interview & written by M.A

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