2020年のヒップホップ・シーンにおける3大ニュース

例年多くの事件も起こるヒップホップ・シーンではあるが、力強いムーブメントが生まれる文化でもある。
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2020.12.29 10:00

コロナ感染症による自粛、Black Lives Matter運動の活発化によってこれまでとは違った変化が訪れた音楽シーン。逆境を力に変えてきたヒップホップにとって分岐点となったことは間違いなく、良いニュースもあれば悲しいニュースも多かった。そんな1年を振り返ってみよう。





オンラインバトルシリーズ、Verzuz開催


今年のヒップホップ・R&Bを語る上で外せないのが、ベテランプロデューサーSwizz Beatz(スウィズ・ビーツ)とTimbaland(ティンバランド)がスタートさせた「Verzuz」だ。Instagramのライブ機能を使ってSwizz BeatzとTimbalandがお互いのプロデュース曲をかけあっていた事がきっかけとなり、大きなムーブメントに。プロデューサーだけでなく、ソングライターにまで焦点を当てたこの企画は、出演するアーティストの曲の再生回数が伸びるなど大きな影響をもたらし、8月にはApple Musicとパートナーシップを結ぶほどに。


プロデューサー、ソングライターだけでなくもちろんラッパー、R&Bシンガーも出演。対戦カードにも意味を落とし込んできたVerzuzはついにビーフ(アーティスト同士の争い)を解消する場所ともなり、不仲であったR&BシンガーBrandy(ブランディー)とMonica(モニカ)、ヒップホップでは長らく冷戦状態にあったJeezy(ジージー)とGucci Mane(グッチ・メイン)と、誰もが不可能だと思っていたカードを実現させた。「全てはカルチャーの為に」と大義を掲げるVerzuzは今後も続けていくとのことなので、楽しみにしたい!!




Megan Thee Stallion銃撃事件


人気ラッパーTory Lanez(トリー・レーンズ)と今年1番活躍したであろうフィメール・ラッパーMegan Thee Stallion(ミーガン・ジー・スタリオン)の間で起こった事件は未だ未解決のままだ。事件は7月に2人が出席していたハリウッドでのパーティー帰りに同乗していた車内で口論になりTory LanezがMegan Thee Stallionに発砲したというもの。当初Megan Thee Stallionは犯人がTory Lanezだということを口にしていなかったが、8月になってインスタグラムライブにてTory Lanezに両脚を撃たれたことを明言した。


Tory Lanezは銃の所持で一時逮捕されたもののすぐに釈放。Megan Thee Stallionを撃ったことについては否定を続けている。Megan Thee Stallionは11月にリリースしたデビューアルバム『Good News』の1曲目に故The Notorious B.I.G(ノトーリアス・B.I.G.)のクラシック「Who Shot Ya?」をサンプリングした「Shots Fired」を起用し、事件についても言及。解決に向かうかどうかはわかならいが、Beyoncé(ビヨンセ)やCardi B(カーディ・B)といったアーティストを味方に付けるMegan Thee Stallionに対しての事件ということでTory Lanezが多くのファンを失ってしまったことは確かだろう。




他界した次世代のスター


今年も多くのアーティストが病気や事件でこの世を去ってしまったが、ここでは2人に絞って紹介したい。まずは今年アメリカ国内はもちろん日本でも定着したヒップホップのサブジャンル“ブルックリン・ドリル”の旗手であったPop Smoke(ポップ・スモーク)。メジャー契約を果たした2019年にリリースしたミックステープ『Meet the Woo』がスマッシュヒットとなり、デビューアルバムが待ち望まれていたが2020年2月にロサンゼルスの滞在先で銃撃にあい亡くなってしまった。


そしてシカゴ出身のKing Von(キング・ヴォン)は11月にアトランタのクラブ内で起きた銃撃戦の中で死亡した。彼はDrake(ドレイク)とも共演している同じくシカゴのラッパー、Lil Durk(リル・ダーク)から特に目をかけられていた人物であり、10月にはデビューアルバム『Welcome to O’Block』をリリースしたばかりだった。


2人とも“ドリル・サウンド”を武器とするラッパーであるが、その背景にはギャング・カルチャーが色濃く存在するのもドリル・シーンの特徴だ。2人の死を無駄にすることなく、今後このような事件が起きないことを願いたい。


 




written by BsideNews





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