イギリスの中学校でDJが授業に使われている理由

イギリスでは授業でDJを楽しむ
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2018.07.12 15:53

イギリスでは授業でDJを楽しむ


イギリスで、中学校のカリキュラムにDJが追加された。日本では趣味のイメージが強いDJだが、イギリスではどうして学校でDJを教えるのだろうか。ここではDJを導入した、イギリスの教育者たちの意図を探っていこう。


どんな授業なのか


もちろん日本でもDJを趣味として楽しむ人はいる。しかし、学校でDJを学んだという人は少ない。ましてや、中学校だ。日本では想像が難しいが、イギリスではどのような授業を展開しているのだろうか。


イギリスの中学校でのDJの授業は、音楽活動に必要な知識を学べる講義形式のものと、実際にDJの機材に触れてDJを体験する実技がある。もちろん、プロのDJが指導する。驚くべきことに、DJの機材の扱いに加えて、拍子、ハーモニー、リズム、音程のような、従来の音楽で教えていたような事柄も同時に指導している。授業料は、学生一人当たり一回15ポンドで、日本円で約2200円。いくつかの学校では、家庭の経済的負担を軽減するための援助を実施している。


イギリスの中学校には「GCSE」(The General Certificate of Secondary Education)と呼ばれる卒業試験が存在する。複数の試験科目から、自分に合っていると思う教科を約10科目選び、試験を受ける。その中の音楽の試験科目でDJプレイがあって、合格すると音楽の単位が認定されるのだ。




なぜDJを取り入れるのか


日本の音楽の授業といえば、合唱をしたり、楽器を演奏したりすることがほとんどだ。中学生の時に、音楽の授業でリコーダーをやったという人は多いのではないだろうか。日本の中学校の音楽の授業は、基本的に集団で1つの曲を作り上げることが多い。イギリスでも同様だ。DJは、基本的には1人で複数の曲を組み合わせるものだ。これまでの授業とは一線を画する。どんな理由があって、授業にDJを取り入れたのだろうか。


DJプレイの授業は、Future DJsというDJ専門の教育ビジネスを行う団体が担当している。イギリス国営放送のBBCによると、DJはピアノやバイオリン、ギターなどと同じ、1つの楽器として見なされる。つまり、楽器を演奏する技能を評価できるというのだ。イギリス国内には「ボタンを押すだけで曲が流れるDJは音楽の授業にふさわしくない」という批判がある。しかし前述したとおり、DJでも基本的な音楽の知識は学べる。例えば、拍子はDJを通して学ぶことができる。なぜなら、DJは曲を繋ぐことが必要になるのだが、そのときに曲同士の拍子を合わせなければならないからだ。このように、DJは音楽の授業で扱う楽器として、十分必要なことが学べるといえる。




授業を受けた生徒の声


実際のところ、授業の評価はどうなのだろうか。DJというと、好きなジャンルの音楽を扱い、好きなように曲をミックスできることが大きな魅力の1つといえるだろう。その面白さを、生徒は感じることができているのだろうか。


授業のなかでDJの魅力に気づいた生徒は多い。授業外でも、DJを趣味として楽しむ、楽しみたい生徒も出てきた。中には、将来の仕事にDJを選びたいと考えるほどに、DJが好きになった生徒もいる。そのほかにも、自分のしたかったことだというものもいれば、気分が落ち込んだ時にDJをやると気分転換になると話す生徒もいた。生徒からは、なかなかよい評価をもらっているといえるのではないだろうか。少なくとも、DJの魅力は伝わっている。




まとめ


当然のことながら、反対意見も多い。DJはボタンを押すだけで曲が流れるから楽器ではなく、したがって音楽の授業では扱う必要がないと感じたり、なんのために中学校でDJをやるのか理解できないという人が大勢いる。インターネット上では物議を醸している。DJは音楽の基本的なことである拍子や音程、ハーモニーを学ぶのに有用であるということを、もっと発信していく必要があるだろう。


中学校の音楽の授業にDJを取り入れることは、世界的にみても画期的なことだ。今後、「GCSE」で高評価を受けたDJが、イギリスから生まれて活躍する日が来るのだろうか。


photo: https://www.youtube.com/watch?v=XGcic8JoWU0


written by 編集部

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