STBO Recordings初のシンガーAYA GLOOMYとアルバム『陸の孤島』について

アーティストとしてのAYA GLOOMY
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2020.03.05 06:15

アーティストとしてのAYA GLOOMY


東京で活躍するシンガー兼プロデューサーのAYA GLOOMYは、ポップな外見からKAWAiiと形容されるインフルエンサーとして有名だ。しかしAYA GLOOMYの原点はアーティストとしての活動にある。今まで先鋭的なファッションで注目されてきた彼女だが、その音楽活動に関してはあまり触れられてこなかった。そこで今回はそんな彼女の活動に迫ってみる。



STBO Recordingsからデビュー


AYA GLOOMYが音楽活動を始めたのは彼女が高校生のとき。彼女が作曲を担当し、女子3人で始めたプロジェクトが原点だ。プロジェクト自体はメンバーの高校卒業と共にバラバラになっていったが、AYA GLOOMYはその後も1人でソロ活動を続けた。彼女のアーティスト名はその時に使っていた"Gloomy"をそのまま残している。当時お菓子のグミが好きだった彼女が、グミに似た響きの名前にしようと思ってつけたのが「憂鬱な」「暗い」という意味を持つGloomyだった。Gloomyという言葉は彼女のなかにあるダークな面とつながるという。


そんなAYA GLOOMYが高校生の頃よく聞いていた音楽は、Glass Candy(グラス・キャンディ)とChromatics(クロマティックス)だ。ダークなエレクトロニックサウンドに対してネオンを多用したポップな世界観というギャップが魅力だと話す。今でも変わらず好きなのだそうで、現在の彼女の音楽性と重なるものがあることは確かだ。人々の目を引く鮮やかな髪色やファッションから、アーティストというよりはインフルエンサーとして注目されてきたAYA GLOOMY。そんな彼女が本格的に音楽活動を開始しようとしたきっかけは、失恋により制作意欲が急に湧いてきたことだった。まだ楽曲の音源もできていない状態の彼女に、後にSTBO Recordingsを立ち上げる原宿のBig Love Recordsのオーナー仲真史から曲をリリースしないかという声がかかったのだ。


原宿のBig Love Recordsは、AYA GLOOMYが足しげく通っている店だった。当時失恋して1人になったことで時間ができた彼女は、カルチャーに敏感になっていた。最初は店に入りにくかったというが、次第にBig Love Recordsに足が向くようになったという。そんな彼女を温かく迎えいれてくれたのが、STBO Recordingsを立ち上げた仲真史だった。それまでCDやカセットで自主制作してきたAYA GLOOMYだったが、仲真史から曲をリリースする話をもらったことで「自分が何者なのか世の中に提示しよう」と本格的な楽曲作りを決意。BIGLOVEの傘下であるSTBO RecordingsからEP『Ennui Ground』をリリースした。このEPの中でAYA GLOOMYは、自分がさまざまな経験を経て終わりと始まりの間にいた時のことを歌っている。



AYA GLOOMYの音楽へのこだわり


AYA GLOOMYの音楽の基本はドラムを基調にシンセサイザーをのせていくループミュージックだ。クラブミュージックに分類されるが、彼女の理想とする音楽はノイズやインダストリアルよりもポップなサウンドだという。さらに、アーティストとして時代に合った音楽をやるべきだと話す彼女。しかし、ポップな楽曲を目指す反面ダークな部分も持っている彼女は、相反する2つの要素を調和させたサウンドを作りあげることを目指している。


そんなAYA GLOOMYにセレブに憧れる気持ちはない。彼女はお金のためにやりたいことを曲げるようなことは絶対したくないという信念を高校生の頃から持ち続けている。商業的な方面に走ることなく、自分たちのやりたい音楽をアンダーグラウンドで実行しているアーティストを彼女は尊敬しているという。そして彼女は自分と同じような音楽を聴いている世界中の人々に楽曲を届けたいという思いから、EP『Ennui Ground』の歌詞を英語にしたと語る。



アルバム『陸の孤島』について


STBO Recordingsから記念すべき1人目のアーティストとしてデビューしたAYA GLOOMY。彼女のアルバム『陸の孤島』は、EP『Ennui Ground』とは明らかに違った切り口で作られた作品になっている。その証拠に『Ennui Ground』では英語の歌詞のみだったが、『陸の孤島』では日本語の歌詞の曲が増えている。また、それぞれの性質にあわせて整理された楽曲からはクリアで洗練された凛とした印象を受ける。『陸の孤島』には『Ennui Ground』の楽曲が収録されているのだが、アルバムの楽曲との間に若干切り離された印象を受けるのもそのためだろう。


AYA GLOOMYはアルバム『陸の孤島』に関して、「都会なのに何もない。周りにコンビニもない、自分が現在住んでいるところをイメージして付けた名前。」と話す。『陸の孤島』の中で1番気に入っている曲は1曲目の「静かに消える」で、1曲目に印象の強い曲を持ってくる最近のアーティストのアルバムを参考にして楽曲を収録したと語る。



AYA GLOOMYの今後の活動に注目


東洋的なサウンドと奇抜な世界観で音楽シーンを揺るがせたファーストアルバム『陸の孤島』をリリースしたAYA GLOOMY。彼女のアーティストとしての意欲はとどまることなく、金沢21世紀美術館でのワンマンショーやYvesTumor(イヴ・トゥモア)やSilent Servant(サイレント・サーバント)などとの共演を経てさらに進化している。そして2019年8月には待望の新しい楽曲「KANJIRU」をSTBO Recordingsからリリース。AYA GLOOMYが自分でプロデュ―スしたアンダーグラウンドな楽曲は、どこか親しみやすい感じのするエレクトリックなサウンドが特徴だ。更に「KANJIRU」では、自身のパーソナルな感情を綴った全編日本語詞という新境地を開拓している。


彼女の透き通る声と、どこか別の星の言語のように聞こえる不思議な発音の日本語は「KANJIRU」でも健在だ。AYA GLOOMYは「KANJIRU」について「夢みたいに、常に起こる日常のループのような作品になったと思います」と語る。そんなAYA GLOOMYはファッションでも、自身の世界観を表現していきたいと話している。STBO RecordingsのアーティストAYA GLOOMYの今後の活動から目が離せない。




written by 編集部


photo: https://www.ayagloomy.com/


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