世界中のミュージシャンがローランド創業者の死を嘆いたその理由

<p><strong>Written by Jun Fukunaga<autobr />Photo by<a href="https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Roland_TR-808_(large).jpg" target="_blank" rel="noopener"> wikimedia</a></strong><autobr /><autobr />先日、発表された日本の楽器メーカーRolandの創業者で、数々の名機と呼ばれる機材を世に送り出してきたことで知られる<a href="http://block.fm/news/kakehashiikutaro" target="_blank" rel="noopener">梯郁太郎氏の訃報</a>が国内外で報じられた。そしてその死は、日本国内だけでなく、海外の大物ミュージシャン達の間でも大いに嘆かれることになり、<a href="https://twitter.com/HudMo/status/848266780334215168" target="_blank" rel="noopener">Hudson Mohawke</a>、<a href="https://twitter.com/erolalkan/status/848262913324453889" target="_blank" rel="noopener">Erol Alkan</a>らが追悼の意を示している。<autobr /><autobr />ではなぜ、彼らは氏の訃報を受けて、悲しみにくれたのか？その理由はひとえに、すでに報じられている彼の生み出した機材による「音楽界の発展」への貢献にあるだろう。<autobr /><autobr />これまでに梯氏が開発に関わったローランドブランドの名機は、ジャンルを問わずプロのミュージシャンのクリエーションを支え、彼らのイメージした音楽を具現化することに欠かすことが出来ないピースとして知られていた。<autobr /><autobr />例えば、Acid Houseを制作する上で、必要不可欠なベースマシーンTB-303は、あの独特のウネるような音色を生み出し、House、Techno、Hip Hopはもちろん、全てのダンスミュージックの基本となるビートメイキングを支えたドラムマシーンTR-808は、ダンスミュージックの進化の過程において、過去から現在までにおいて重大な役割を果たしてきた。<autobr /><autobr />それら機材は、実機だけでなく、現代ではサンプリング音源やサードパーティーのクローン化されたプラグインとして人気を博していることはもちろん、基本的にプリセット音源としてAbleton Liveや、Logicなど有名DAWには、そのエミュレートされた音源が内蔵されているため、プロならずともDTMをしたことがある人にとっては、慣れ親しんだ名前だと言える。<autobr /><autobr />特にTR-808の音色は、そのサウンドが注目された80年代以降はスタンダード化しているのだが、近年のトレンドジャンルとして人気のTrap、Jukeにおいては、その極太バスドラムの音が重宝されており、プロはもちろん、アマチュアのDTMファンでも、リリースされている音源を聴いて、どのようにしてあの音を出しているか気になり、YouTubeのチュートリアル動画を探したという人も少なくはないだろう。また、数年前から注目されるようになったRaw Houseと呼ばれるハード機材を用いたジャンルでも、先述のTR-808や同じくドラムマシーンTR-909は重宝され、新たなダンスミュージックの誕生に貢献している。<autobr /><autobr />また、余談だが、梯氏の生み出した先述のTR-808サウンドは、例えば、昨年のピコ太郎の大ヒット曲「PPAP」でも使われていることから、ダンスミュージックを普段聴くことがない人にも親しまれていると言える。<autobr /><autobr />そして、機材だけでなく、異なるメーカー同士で電子楽器をつなげる世界共通規格「MIDI」を生み出したことも、ミュージシャンのクリエーションを支えてきたもう一つの忘れてはならない偉業と言えるだろう。今では、PC1台と、DAWがあれば、仮想の機材を複数同時に同期させた形で使用することができるが、ハード機材をMIDIケーブルでつなぎ、同期させることで、再生のタイミングがズレることなく使うことが出来るということは地味ではあるが、当時のミュージシャンとしては非常に衝撃的だったに違いなく、ひとつの機材で作った所謂打ち込みデータを別の機材で使えるということは、音色の選択肢の幅を広げ、クリエーションを大いに刺激したであろう。その他にも例えばMIDIがあることで、リミックスを行うときに、音声データを引き直す手間が省けることや、パターンは変えたくないが、グルーヴをピンポイントで編集してみたいといったような要望も叶うことから、音楽制作を行う上で必要不可欠なものとなっている。<autobr /><autobr />今回挙げたのは梯氏の開発した技術のほんの一例だが、もし彼が機材、MIDIを開発しなかったら、特にその影響が大きい、ダンスミュージックシーンにおいては、現在知られているジャンルのほとんどは存在しないことから、世代を問わず、世界中のミュージシャン達が彼の訃報を受けて悲しみに暮れることとなった。<autobr /><autobr />まさに現代の音楽シーンにおいてスタンダードを生み出したゴッドファーザーと言える梯氏。今後も音楽の発展は、彼の生み出したサウンドとともにあることは間違いないだろう。<autobr /></p>


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なぜミュージシャンはローランド創業者の訃報を受けて、悲しみに暮れたのか

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